*ヴェイル視点 6
『私に出来ることはありますか?』
不安そうに岩竜の報告を聞いていたステラが、真っ直ぐに俺の目を見て、そう訴えてきたのだ。
その姿を見た時、俺の心が震えた。
只々、彼女が愛しいと。
ステラを見る度に、会話をする度に、彼女に惹かれていく。
既に俺は、ステラとの距離の取り方も分からなくなっていた。
どうしたらいい?
俺はこの先、どうステラに接すればいいんだ…。
答えを出せなかった俺は、苦しい胸の内を何重にも虚栄で包んで、ステラへの想いを無理矢理隠すことにした。
拠点の一画には、魔物討伐に参加している各国の騎士達が、既に武装を整え、集まってきていた。その騎士達の顔は、一様に硬い。
当たり前か。
これから伝説の魔物と戦わねばならないのだから。
俺は剣を引き抜いて、整列した騎士達を見回した。
「全員聞け!これから俺達は、強大な魔物と戦う。だが、俺達は負けない。あれを倒し、この地を魔物から取り戻す。いいか!日のある内に必ず、竜の首を討ち取るぞ!」
おーーー!
集まった騎士達が、森の中に響き渡る程の雄叫びを上げた。
皆の勝利への意志が、次々に伝播していく。
必ず勝つ。
ステラと約束したのだから。
俺はマントを翻し、暗雲が立ち込める森の先へ足を踏み出した。
1時間程歩くと、巨大な岩竜はすぐに見つかった。
竜は、切り立った崖を背に、俺達を警戒している。
「デカいですね。」
名前は、確か、アレンだったか。
サージェントの騎士団長が、俺の横で竜を観察していた。
「手筈通りにいこう。」
「分かりました。では、我々は背後に回ります。ご武運を。」
この男は、どうもいけ好かないが、作戦を任せるには、十分な実力者だった。
俺も行こうか。
俺は、剣に異能の力を込めた。
案の定、この力に気付いた竜は、首を擡げ、俺に視線を定める。
長い眠りから覚めた竜は、相当腹を空かせているのだろう。
あいつは今、この場で最も強力な魔力を持つ俺を、極上の餌と判断した。
さあ、来い。
俺の元まで。
竜が動いたのと同時に、俺は木々の合間を一直線に駆け抜けた。




