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エピローグ

「…ママ!ママ!」


「こら、エリー。お母様を起こしちゃ駄目だよ」


「そうだぞ、エリー。ほら、兄様が抱っこしてあげるから、こっちにおいで」


「あっ!兄様狡い!ぼくもエリー抱っこしたい!」


「お前はまだ、力が弱いから駄目だ。だから、次は俺の番だよ。ね、エリー?」




子供達のはしゃいだ声が聞こえる。

上の子達は、もう勉強が終わったのかしら?


楽しそうな声に誘われて、ゆっくり瞼を開けると、愛しい子供達が私の周りを取り囲んでいた。



「ママ!」


「あら、エリー。ごめんね、眠っていたみたい」


今日は、天気が良いから庭を散歩していたんだった。

それなのに、いつの間にかガゼボで寝ちゃったのね…。


膝によじ登ってきた末っ子を抱き上げると、心配そうにしている息子達と目が合った。



「お母様、そろそろ部屋に戻りましょう。風も冷たくなってきましたし」


「そうね、ありがとう」


私は、フフっと笑って、五人の可愛い子供達を見つめる。

ヴェイル様と結婚して、すぐに長男を授かった。その後も立て続けに、三人の息子が生まれて、我が家は一気に賑やかになったのだ。


そんな息子達は、みんなヴェイル様にそっくりの美少年。何だが、小さなヴェイル様が沢山いるみたいで、少しおかしい。

笑うのを我慢した私は、腕の中の娘の頭を優しく撫でた。


四男の誕生から少し空けて生まれた娘のエリーは、最近二歳になった。待望の妹が可愛いらしく、毎日息子達が取り合うように世話をしている。



幸せ…。

お母様が言っていたことは、本当だったわ。

もう、私の人生には、幸せしかないみたい。



子供達の微笑ましい姿に釣られて、昔のことを思い出していると、私の上に大きな影がかかった。



「ステラ、もう日が傾きだした。この時期は冷えるからもう戻るぞ」


「ヴェイル様、お帰りなさい」


「ああ、ただいま」


エリーごと私を抱き上げたヴェイル様が、私の唇に軽い口付けを落とす。

「子供達の前でこの人は」と、内心思いつつも、いつもの事なので、私も大分慣れてしまった。でも、後々のために、少しだけ無駄な抵抗はしておく。



「パパ!」


「エリー、ただいま。お土産を買ってきたから、兄達と開けてみなさい。リアン!」


「はい、父上」


「エリーを」


長男にエリーを託すと、ヴェイル様はエリーのぷっくりした頬に唇を寄せた。

息子達が、何だが冷めた目で、父親を見ているのは気のせいだろうか。



もしかして、反抗期?


子供達の成長を感慨深く思っていると、ヴェイル様の腕に少しだけ力が込められた。



「ステラ、まだ悪阻が辛いのだろう?こんな所に一人でいては駄目だ。貴女とお腹の子に何かあったらどうする。次からは、俺に声をかけてからにしてくれ。いいな?」


「はい、ごめんなさい」


私は目を伏せ、自分のお腹に手を当てる。まだ膨らんではいないけど、確かにここに新たな命が宿っていた。

私とヴェイル様の六人目の子供。



「次はどちらでしょうね、お母様?」


「うーん。みんなはどっちだと思う?」


「妹!お母様とエリーみたいに、綺麗な赤い髪の!」


「ぼくも妹がいいなー」


息子達は、断然女の子がいいようだ。既に兄弟で盛り上がっている。



「ヴェイル様はどう思いますか?」

私は、すぐ近くにあるヴェイル様の顔を見上げた。



「どちらでも良い。無事に生まれてきてくれれば。」


「フフ、そうですね。」


エリーを抱き上げたリアンを先頭に、私達は温かい我が家に戻った。







この後、リンヴェルム家に生まれる異能者によって、サウザリンド王国の魔物は一掃され、最も平和な時代が到来する。

そのきっかけとなった初代リンヴェルム公爵家は、いつまでも、国民に愛され続けた。


 

ありがとうございました(●´ω`●)

ご縁があれば、また次回作で

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