プロローグ 1
新連載始めました!よろしくお願いします。
物語の主人公になれるのは、生まれながらに特別を与えられた人間だけ。
それは、出来損ないの私では決して手の届かない高みの配役だ。
所詮私は、永遠の脇役なのだから。
それでも、私は期待してしまった。
私にも生まれつき特別な印があったから。
もしかしたら、私もお姫様のように、誰からも愛される特別な存在になれるかもしれないと。
そう、思ってしまった。
でも、違った。私を迎えに来てくれる王子様なんていなかった。
私のような凡人が、特別なんて期待してはいけなかったのだ。
「痛い。痛い。痛い。」
体中に刺さった針から流れてくる黒い液体が、内側から私の体を焼いていく。
「助けて...、誰か、助けて。お父さん、お母さん...。」
お願い助けて。
もう高望みなんてしないから。
何一つ望まない。
だからお願い。
ここから出して。
「ああ、残念。君も失敗だね。久しぶりに良い実験体が入ったと思ったのに。」
「...た、助けて...、痛い...。」
「あれ?凄いな。まだ生きてるんだ。フフ、可哀想な子、死んでた方が楽だったのに。君、今からその体を隅々まで切り刻まれるんだよ。君は結構高かったんだから、最後まで僕達の役に立ってね。」
ベッドから強引に降ろされた反動で、体に刺さっていた針が、私の皮膚を裂きながら抜けた。
痛みで動けない私の体を、男が笑いながら引き摺っていく。
やめて、あそこへは行きたくない!
あのドアの先に連れて行かれた人達は、誰一人戻って来なかった。
助けて!誰か助けて!死にたくない!
こんな所で、死ぬのは嫌...。
どんなに叫んでも、私の声が、外に届くことはなかった。