七章 月夜を照らす 其の漆
サクラコ裏話 ステータス編
ステータスは攻撃、防御、技術、射程、機動、知力、成長性、戦闘IQ、精神力、神秘量の10個を評価するよ!(数値基準表1〜3欠陥、3〜5標準、5〜8優秀、8〜10卓越、10〜超越)
7回目
乙骨イチカ
攻撃力 8
防御力 8
技術 10
射程 8
機動 10
知力 7
戦闘IQ 7
精神力 9
成長性 7
神秘量 6
総合評価 80
このステータスは第一部春を参考に作っております。
ボロボロで、傷だらけ。それでもツクヨは自分のことがどうでも良く、心底頑丈だなとしか思えていない。
だが、そんな自分を心配して駆けつけてくれた者がいた。自分のために不良達を倒し、自分のために声を荒げてくれた。
そんな人が、いや、そんな人を初めて知り、理解するとツクヨは自然と泣いていた。無意識のうちに流れる涙は止まることを知らず、ツクヨは初めて、自分を心の底から想ってくれている人がいることを知った。
手足が拘束されており、拭こうとしても出来ずに頬を濡らす。
「おいおい! 泣くなよ! 助けに来たのに泣かれたら困るだろ?! どうした?! 拘束が痛いのか?! 今解くから待ってろ!」
突然泣き出したツクヨを心配し、慎一郎は拘束具を破壊すると彼女は慎一郎に抱きついた。
「?! ツクヨ!? どうした?!」
「うっさい、でも、少しだけ、ほんの少しだけこのままで居させて」
ツクヨの言葉を聞き、慎一郎はそれを受け入れると何も言わずに彼女の言う通りにした。
***
夕陽に照らされながら二人の影が伸びる。
「マガツか! ベッドは可能な限り用意してくれたか? おうおう、言わなくても知ってる! 風紀委員会に連絡しといたからそっちに大量の病人が行くから心して待っててくれよな!」
慎一郎はそう言うと電話を切り、ツクヨと学園都市を歩いた。合わない歩幅を慎一郎は合わせてくれ、ツクヨの歩くスピードでゆっくりと前に進む。
「ツクヨ〜、その傷は流石に医務室行こうぜ。せっかくの美人な顔が台無しだぞ」
「・・・・・・」
慎一郎が何度も話しかけるもツクヨは応えることなく、無言を貫いた。
「なぁー、ツクヨ〜」
一方的なやり取りをしている間に、いつの間にか学園都市を通り過ぎており、ソドラ学園に到着していた。
二人は無言で校門を潜るも彼らは何処に向かうか言葉を交わさずとも理解しており、そのまま足を止めることなく進む。
約束した場所、そこに彼らは立つとようやく、ツクヨが口を開いた。
「決着つけましょ」
「やっぱりそういうと思ったよ。ツクヨ、ゲームは後ででも出来る。今は、医務室行って傷を見てもらおう」
「いいえ、今じゃなきゃダメ」
「はぁー! もう! わかったよ」
慎一郎はツクヨから距離を取ろうとするものの彼女は急に彼の裾を掴んだ。引っ張られたと同時に慎一郎はツクヨの方を振り向くと彼女に問いかける。
「ツクヨ?」
「私の負け」
「ツクヨ?!」
唐突な敗北宣言に再び驚愕するも、続けてツクヨは喋った。
「約束、すっぽかした。それに、あなたに助けてもらった」
「おいおいおいおい、そんなんで俺は決着って思わないし、納得もしないぜ。傷が痛むなら明日でも、明後日でも、いつでも受け入れるからよ。最後の一日はまだ終わらせねえぞ」
慎一郎は本当に納得がしておらず、今日の行動全てが彼女を思ってのことであるがためにそこに何か意図があった訳でもない。
それがツクヨにも伝わるもののそれでも、彼女はもう慎一郎と争う気持ちは無く、彼のことを生まれて初めて、人を、他人を信頼したいと想ってしまっていた。
故に、ツクヨは慎一郎に自分が見せれる一番の笑顔を向けた。
鋭く冷たい自身の目つきを出来る限り穏やかに、ぎこちなくても、それでもいいそう考えながら微笑んだ。
自分が慎一郎を信じたい、頼りたいと言うその気持ちが伝わるならば。
「私のために学園を建てるなら、いや、建てようとするなら私にもその手伝いをさせて欲しい」
くしゃりとした表情で、笑顔と呼ぶにはぎこちないがそれでもその感情と言葉に嘘はない。
慎一郎は初めて見せるツクヨの表情を見て、目を輝かせるとその言葉に嬉しそうに応えた。
「そっか。だが、うん! お前がやる気なら仕方ないな! よっしゃ、じゃあ、建てるか! 学校!」
こうして運命は、動き出す。
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