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三十六章 四季祭「春」 其の拾玖

サクラコ裏話

アランの趣味は人間観察。

観察した人間の真似をしたりして、自身が同じ人間であるかを確かめてる。だからか、神秘の影響もあって相手の感情を読むのに長けてるよ。


 桜子(さくらこ)の一言は、アランの怒りの琴線に触れる。自分に向ける言葉には一切の容赦と躊躇いがないことは彼女が纏う感情のオーラで理解しており、それに対して、アランもまた、怒りを露わにした。


 アランの怒りは桜子(さくらこ)が自分へ向ける嫌悪の感情と言葉に子どもの癇癪の様な理由でアランは桜子(さくらこ)に、自身の神秘の本領を見せつけた。


「僕の神秘は感性を司るモノ。その感情を僕に向けるな! 秤桜子(はかりさくらこ)! お前の言葉も、怒りも不快で不快で大嫌いだ! 潰れろよ、僕の神秘の前に、押し潰れろ!」


 握る得物に神秘を込める。

 頭上に浮かび始める三本目の輪っか。

 最後の一言を、アランは添えた。


神秘応用(アプリケイション)両性有神(アンドロギュノス)(・スィンヴォロ)


 アランの神秘の到達点が見せる真球。

 彼の頭上には三本目の輪っかと変化した得物。

 体に回るモノは比べ物にならないほど底上げされ、それにより、アランは自身の神秘に酔う。


 高揚感と全能感。

 あらゆるものを凌駕出来るであろうという自信と悦。


 だが、桜子(さくらこ)はそんな彼を冷ややかに、彼女が他人を見るときであり得ざる程に冷たい視線を送っていた。


「どうしたんだい? 桜子(さくらこ)! 僕が僕の神秘が怖いのかい? なら! そう言え! 言って、僕に恐怖しろ! 怖れろ!」


 アランが発する言葉に対して、桜子(さくらこ)は全く動じない。それどころか更に冷やかな目で彼を見つめた。


「そうか、答えもしないなら死ね。死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死んでしまえ!」


 そして、自身の神秘の能力を、アランは解放する。


両性有神(アンドロギュノス)(・スィンヴォロ)共有(キノス)


 他人と自分の痛みの共有。

 嫌いな相手でも、好きな相手でも、これがあれば自分は世界と繋がれる。アランはそう思い、桜子(さくらこ)と自分が繋がり、ようやく繋がらない、繋げられない人間はやはりいないと確信し、安心感を覚えた。


 だが、そんな彼の安心を、安寧を、安定を、桜子(さくらこ)は許さない。


 共有された感覚の中、桜子(さくらこ)は駆ける。

 そして、アランの目の前で自身の更なる力を解放させた。


「魔剣気、2nd(セカンド)


 三本の浮遊剣が地面に転がると放っていた残りの一本を自らの手に呼び寄せると浮遊剣(それ)は自身の操作を失うも、桜子(さくらこ)の糧になり、神秘(ちから)となる。

 

 二刀流となった桜子(さくらこ)はアランとの間合いを詰め、容赦なく彼の体に得物を振るった。


「魔桜二刀流奥義、撥咫硝子(やたがらす)


 頭、体、右腕、左腕、右腿、左腿、右脚、左脚。

 目にも止まらぬ連撃は容赦なくアランに襲いかかる。

 痛みが、傷が、生まれる度に、アランは桜子(さくらこ)と繋がる感覚を共有出来る、そうすれば、自分を嫌う彼女は居らず、お互いを初めて知ることが出来る、そう思った。


 だが、それを彼女の神秘は許さない、いや、許容することは無い。


 神秘はその人間が持つ因果により、能力が決まる。

 能力は先天的なものではあるが能力の幅を広げるのは後天的なモノであり、自己の解釈と柔軟性。それらを持って神秘は進化し続けた。


 桜子(さくらこ)伊織(いおり)との戦いで神秘の拡張性の高さを知り、そこから学び自ら生んだ能力(オリジン)


 桜子(さくらこ)の神秘は無色であり、透明。

 何色でも染まり、何色に成れる特異なるモノ。

 何者にもなり得る可能性を秘めるがその可能性を慢心した場合、彼女は体を自身の神秘により潰されてしまう。 

 

 故に、魔剣気には段階がある。

 魔剣気を開放後は一本ずつ浮遊剣の操作権を捨てることで神秘の総量を跳ね上げた。3rd(サード)は神秘による、武器の形状変化及び、射程距離(リーチ)の延長。


 そして、2nd(セカンド)は神秘の全自動(フルオート)中和。アランの神秘の一切を拒み、自身の神秘により中和する。

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自作の続編でもあるのでもしよろしければこちらも是非!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 技名のセンスがずば抜けてるんだよなぁ 正直嫉妬を覚えるレベル ただ2ndと3rdだけちょっと気になるかな… 雰囲気に合わせるなら、他の技みたいに当て字にするとかの方がハマる気がするなぁと…
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