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三十四章 四季祭「春」 其の拾漆

サクラコ裏話

桜子(さくらこ)の神秘について。彼女の神秘は時間が経てば経つほど彼女の体に眠っている神秘が溢れる様になっており、逆境になればなるほどその溢れる速度も早まる。ただ、自身の神秘で亜号奈々の様な事は出来ない。あれはそういう風に成れる、成ってみせるという亜号ならではの神秘であり、桜子(さくらこ)はまだ何者にも成らない染まりやすいキャンバスの様なモノ。


神秘拡張(エキスパンション)両性有神(アンドロギュノス)饗宴(・シュンポシオン)


 初めて、他人に対して嫌悪という感情をアランは向ける。だが、それは桜子(さくらこ)も同様であり、自身が持つ、剣を持ってアランへと立ち向かった。


 頭上の輪っかは二本となり、ライフルは更に大きく変化すると、そこからライフルのパーツが開き、六機のドローンが放たれた。


両性有神(アンドロギュノス)饗宴(・シュンポシオン)狂想曲(カプリチオ)


 ドローンは桜子(さくらこ)の逃げ場を無くし、彼女を完全に捉えると何度もその神秘を纏った攻撃を放つ。


 先程よりも強力な神秘を纏い、放たれる弾丸を桜子(さくらこ)を縦横無尽に駆けながら避けると浮遊剣を使い、アランを牽制した。


 互いに飛び道具を用いた戦闘は、観客をまだかまだかと熱くさせ、会場全体の熱が高まっていく。


 そんな中、桜子(さくらこ)はそのドローンの攻撃パターンとタイミングを、アランは桜子(さくらこ)の浮遊剣が放たれるタイミングと彼女の駆ける速度を互いに分析しあっていた。


 そして、読み合いの最中、最初に仕掛けたのはまたしても桜子(さくらこ)であった。自身の体に回る神秘が徐々に大きくなり、ギアが入ってくると同時に、アランとの距離を詰めようと浮遊剣を自身の周辺に集めて回転させる。


 浮遊剣達も神秘を纏っており、ドローンの攻撃を弾きながら徐々に桜子(さくらこ)はアランとの距離を積めると再び相手に一撃を叩きつけようと声を上げた。


「魔桜五刀流、夜燕(よつばめ)一月(ひとつき)


 神秘を纏った四本の浮遊剣によるドローンへの攻撃、それらは綺麗にドローンの銃口へとぶつかり、六機の内、四機を破壊する。


 本来の浮遊剣であればそれらを破壊することは出来ず、せいぜい止める程度が関の山であった。


 だが、今は違う。


 桜子(さくらこ)が神秘の扱いとその使い方を理解した故に、浮遊剣達にも神秘を纏わすことができ、そのドローン達を破壊することも可能となった。


 六機の内、四機を破壊されるも桜子(さくらこ)を守る浮遊剣は彼女から遠ざかっており、無防備なその背中を狙う。


 そして、それと同時に、アランも自分に迫る桜子(さくらこ)へと銃口を向けていた。


 アランは躊躇いなく引き金を引く準備ができており、ドローンもまた、その銃口から弾丸を放つ直前であった。


 人を簡単に殺せるモノであり、持ち手の感覚を潰すドローンという存在。人は戦いにおいて、人を殺める感覚を徐々に失い始めた。


 アランはそれを使って、いや、使い続けた結果、他人に対して引き金を引くことに何の迷いもなく行えてしまう様になっていた。


 かつての戦争で目覚めたこの神秘。

 合理的に、いかに自分が人を傷つけないか、いかに自分の手を汚さずに人を殺せるか。それだけを考え、それだけを目的に、彼の武器は形成されている。

 

 今は無き、戦場の感覚と痛み。

 それを分かち合えない疎外感。


(終わりだ、桜子(さくらこ))


 そう思い、アランは引き金を引き、弾丸は彼女の胸一直線に放たれる。


 だが、桜子(さくらこ)は笑った。自分を狙う三つの凶器に対して、レイズと結衣(ゆい)を傷つけた相手に対して、己が持つ全力、ここまで戦って来た好敵手(ライバル)達への敬意を、新たな境地を見せるために、叫んだ。


「魔剣気、開!」

 

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