三章 アマルスクール 其の弐
アマルスクール。
最近設立された学園の一角。
設立者は斗南ツクヨ、学園都市の中で最大の神秘を所有する者。
本題という一言により、黒髪の眼鏡をかけた生徒が再び桜子達の前にタブレット端末を渡すと口に優しそうな笑みを浮かべ、喋り出した。
「こんにちは、皆さん。アマルスクール生徒会、会計兼広報を担当しております。セラ・コトリです。みなさんに今日集まってもらったのはあなた達に生徒会の役員候補になっていただこうと思いお呼びしました」
セラがそういうと渡された端末を起動させ、目の前に彼女が作ったであろうチラシのようなものが映し出された。そこには可愛らしくデフォルメされた生徒会役員達が描かれており、説明文がしっかりと書かれているもののそれよりも可愛い絵に目が行く。
「セラちゃん〜、随分可愛く作ったね」
ツクヨはニコニコしながらセラに喋りかけると少し顔を赤くしていた。
「え!? 可愛すぎました? えー、あ、でも、たしかに可愛すぎます。すみません、生徒会としての威厳がなくなってしまう様なチラシを作ってしまい」
「ん、自分は悪くないと思うよ」
生徒会役員の銀髪で童顔の男子生徒がチラシを見ながらそう言うとセラは少しばかり安心した表情を浮かべてコホンと咳払いをして再び喋り出した。
「ま、まぁ、これは例なので気にしないでください。それで、あなた達三人は在校生の中でも素晴らしい実力をお持ちになっているので、役員候補生として生徒会に所属していただきたいと思っています」
「ここに入って俺にメリットはあるのか? 」
桜子の横にいた水色の髪の男子生徒の悪態にもセラは気にすることなく、丁寧に答えた。
「そうですね。学園都市エデンでは生徒達は自分でバイトなりをしてお金を稼がないと行けません。寮では食事は出ますが普段使うための資金などは自己負担です。しかし、役員は役員という職に就いているのでお金の方が給料として支給されます。それと、超干渉権能を持つエデン学園への推薦も行うことが出来ます」
「質問! 役員に入っても部活とか出来ますか? 」
次は桜子が手を上げて問うとそれにも嫌がることなく端末に情報を送り、画面に映し出しながら説明する。
「勿論、出来ます。役員だからと言って学生の自由を奪うのは言語道断。実際、私も文芸部に所属していながら生徒会役員をさせてもらっているので桜子さんが部活に入りたいのであれば、報告さえしてくれれば可能です」
一通り説明が終わり、セラが一息をつくと席に座り、続いてツクヨが喋り出した。
「という訳で君達には生徒会役員候補になってもらいたい。条件は悪くないと思うんだがどうかな? 」
「そ、そのー、わ、私、別に生徒会に入りたい訳じゃないので辞退したいんですが」
結衣はオドオドした口ぶりで言うとツクヨはニコリとしながらもキッパリと断言した。
「他の二人は断れるんだけど、ごめんね、結衣ちゃん。あなたは推薦で入ったから断れないの」
「ひぃん」
結衣が泣き出しそうな声を上げるも桜子は気にすることなくツクヨの問いに応える。
「私は、結衣が入るなら入りたいな! お母さんも世間を知ってこいって言ってたし。ツクヨ先輩と一緒にいれるなら入るよ!」
「桜子ちゃんはオッケーって事でいいね? よかった。なら、最後は君だ。どうする? レイズ・ヴァリティタスくん」
「入る、だが、利益がないなら辞めるだけだ。あんた達がこの学園内で一番強いヤツらと聞いてたからな。あんたらと戦えることが出来るならやってやる」
「オーキードーキー。三人とも了承が取れたね。なら、今から始めようか」
ツクヨが立ち上がると他の生徒会役員達が立ち上がる。
そして、残った新入生の三人にツクヨはこれから始まるモノを勿体ぶる素振りもなく、淡々と告げた。
「これから役員試験を始めるよ。三人とも準備して」
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