三十一章 四季祭「春」 其の拾肆
サクラコ裏話
神秘の三段階目。
神秘応用。
能力の向上と神秘の量の引き上げ。そして、新たな神秘の能力を付与することが出来る。
神秘とは。
人知では推し測れないような神や天地の秘密であり、秘匿。今の人類は因果を引き出し武器にし、それを通じて神秘の力を解放出来るのが幻想換装である。
自身の因果の中に眠る神の力を使い、圧倒的な力を持つ彼らを人々は頭上に現れるヘイローを見て、輪っか持ちなどと呼ばれていた。
だが、神秘には段階がある。
神秘の解放。
神秘の拡張。
そして、神秘の到着点。
因果に眠る神秘の力を200%まで引き出すことが出来、自身の持つ特性に追加してもう一つの力を得ることが可能である。
即ち、神秘の応用。
名を神秘応用。
その領域に至った者を人々は因果の到達点とし、畏怖と尊敬、両者の交わらぬ意味を込め、剪定者と呼んだ。
襲い掛かる重力の中で、アランは笑い、自身の神秘の開示を終えていた。
「神秘応用、両性有神球」
握られていた銃は球体へと変化し、アランの頭上の輪っかは三つに増えた。
球体はどこから見ても丸く、地面に付着する面積がない、真球と呼ばれるものであり、それは何をもたらすのか、何を起こすのか、さっぱりわからない。
だが、確実にそれがレイズの脅威になることだけは理解しており、彼はすぐに更なる技を繰り出そうと口を開いた。
「夜乃神監獄・連鎖高重力」
重力のミルフィーユ。
それをアランにかけた瞬間、レイズの体が、地面に向かって落下した。
先ほどよりも大きな音と共に地面が沈むとレイズの体が、アランが受けた同様か、それ以上の重力を受けている。
「あ、が、」
声が漏れ出るもそれは聞こえず、そんな彼の目の前に、アランが立った。
レイズの神秘を受けていたのにも関わらず、平然と立っており、それどころか彼を嘲るように不気味に笑みを浮かべていた。
「両性有神球・共有」
そう一言残すと続けるように口を開く。
「僕の受ける神秘を君に共有する。それが神秘応用により生まれたもう一つの能力。君の神秘を受けているけど、僕は僕の神秘で自分の体を覆うことでそれを中和してる。あ、これ神秘の開示ね。こっからはもっと神秘の力が強まるから早く解かないと死んじゃうかも」
自身の力が牙を向け、自身を傷付ける。
アランへの攻撃全てが自傷へと繋がるという理不尽。
レイズは更に重力が重なる前に、その神秘を解いた。
自身の体を押さえつける神秘は無くなり、立ちあがろうとした瞬間、アランはレイズの顔を蹴り上げる。
ゴツリと鈍い音が鳴るとアランの顔にも同様の痛みが走った。
両性有神球は武器ではなく、神秘を供給するだけの球体である。役割は、アランへの神秘の供給と彼が持つ能力の適用。
神秘の応用により、アランの肉体には自身の体に眠っていた神秘がかつてないほどまわっており、それにコーティングされた拳を振り抜いた。
自身が相手を傷つければ、自身もまた傷がつく。
だが、そんなのはお構い無しにとレイズの体を痛め続けた。何度も、何度も、蹴り上げては持ち上げ、持ち上げては殴りつける。
鼻から血が、口から粘りを含んだ赤い唾液がむせ返り、地面の一部を赤く染めた。
そんな中、レイズは淡々とその暴力を受け続けるも彼はまだ、勝利を諦めていなかった。
アランも同様の傷を受けるも自身の傷に関心はなく、むしろ、他人が傷つくことに興奮を覚え、更に暴力を加速させた。
感想、レビューいつもありがとうございます!
嬉しくて狂喜乱舞です!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!
自作の続編でもあるのでもしよろしければこちらも是非!




