幕間 四季祭「春」 沈黙
サクラコ裏話。
マガツ・シューヴァルは読書好き。
よく好んで読むのは古典SF小説。
緊急治療室に運ばれる結衣達を止める様にソドラ学園風紀委員長であるマガツ・シューバルが立った。
「うちの馬鹿がやり過ぎたって聞いて来たけど、本当に面倒なことをしてくれたわね」
「マガツ委員長、もしかしてお手伝いなさってくれのですか? 」
一人がそう言うとマガツはため息を吐き、その場で自らの神秘を解放させる。
「神秘解放、堕天」
黒い輪っかが頭上に現れ、マガツの背後には白い羽が生えると結衣のおでこに手を置いた。
「堕天・再生」
マガツが纏っていた白い神秘が結衣を包むと折れ曲がっていた腕や足が徐々に元の形に戻って行く。
呼吸が安定したのを確認するとマガツは解放を解き、眠っている結衣に対して頭を下げた。
「うちの生徒が迷惑をかけたことを学園の長として謝罪するわ」
そう言うと結衣に背を向け、その場を後にした。
マガツ・シューバル、彼女は学園都市エデンにて三人しか居ない、他対象治癒が可能な神秘を持つ。
そして、学園都市最強との名高い実力者。
***
「ツクヨ、今回の件に対して意見はあるかい? 」
ツカサ・ヴォーダインはそう言うと銀色の前髪を少し弄った。
学園の政を執る長達には大会期間それぞれの専用のルームが与えられ、ツカサ達が居る部屋はエデン学園のモノである。
ツカサの言葉を聞き、ツクヨは微笑みながら答えた。
「無いよ。でも、試合はもっと速く止めれたんじゃ無いかなって思うな」
「それはそうだ。気を失うまではと決めていたがあそこまでの残虐行為を見過ごしては行けなかった。そうだね、今回、試合に介入したのは不問にするよ」
互いに目と目を見ながら話終わると手前にあった飲み物に手をつけた。お互いの飲み物は珈琲であり、それを口に含めるとツカサが再び口を開いた。
「旧巣結衣さん、だっけ?あの子とアラン・カロくん、彼らには痛覚遮断機構が施されてる。あれが施されてるってなると彼らは塔の子供達ってことかな? 」
「そうだね、結衣ちゃんは8年前までそこで生まれそこで育った。塔の子供達、戦争孤児が戦争孤児を育てて、戦争を引き起こす。純粋無垢なる戦争屋と言ったところかな。結衣ちゃんは塔の子供達の最後の戦場、ブリューゲルの悲劇が起きた地域のリーダーをやっていた。それはそうと根掘り葉掘り聞いてくるね、ツカサ君」
「事情聴取の一環と思って欲しいな。後は、まぁ、うちにも塔の子供達の役員がいるしね。一応、頭の片隅には入れておきたいんだよ」
「ふーん、まぁ、でも、私が知ってるのはここまで。噂レベルの話をすると戦争を終わらせたのは魔王の気まぐれってくらいかな」
魔王という言葉に少しだけ興味を示すもすぐにツカサは切り替えるとニコリと笑顔を浮かべた。
「うん、わかった、呼び止めてすまなかったね、ツクヨ。より良い運営をするために努力するよ」
***
「結衣」
桜子は結衣が眠る病室の横で座っており、彼女が目を覚ますのを待っていた。
「他人の心配とは随分な自信だな、桜子」
そう言うとレイズは部屋に入ると桜子の横に座った。
「そう言いながら結衣のところに来るのはらしいと言えばらしいね、レイズ」
「俺はただ、明日のために病院に来たついでで寄っただけだ」
レイズは袋にあった飲み物を取り出すとそれを口に近づけた。そして、桜子にも袋に入っていた飲み物を手渡す。
「やっぱり、レイズは優しいね」
「たまたま、三つ飲み物を買っていたから渡しただけで」
「ふふ、そう言うことにしといてあげる」
桜子がにこりとはにかみながらレイズにそれを向けると彼は少しだけ目を逸らし、舌打ちをした。再び口に飲み物を運び、ゆっくりと時間が流れて行く。
感想、レビューいつもありがとうございます!
嬉しくて狂喜乱舞です!
続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます!




