幕間 龍仙学院
サクラコ裏話。
李 刃は自作の散華のカフカと同一人物。
並行世界での彼は妹共に仲良く暮らしてる。
龍仙学院訓練場。
凡ゆる武を極めんとするものが集う学園で唯一無二たる才を持つ男が新入生と打ち合っている。
「あははは!いいね!いいね!崩!君のその強さは最高だよ! 」
三つ編みの髪を靡かせながら龍仙学院の政を執る龍真会党首である李 刃は声を上げると目の前に立つ男と拳をぶつけ合う。
拳に蹴り。
蹴りに拳。
そして、互いに同時に声を上げた。
「覇号鉄鋼山」「覇号鉄鋼山!!!!」
二人の男の背中から放たれる体当たりがぶつかり合うとドンと言う大きな音が響き渡った。
「いいねぇ!凄くいい!!崩!やっぱり君は最高だ! 」
黒い髪を三つ編みにしている崩と呼ばれた青年が刃の言葉を聞き、口を開いた。
「師匠、そう言ってもらえて光栄です」
「いやはや、今年の入学生で君を見つけられたのは僕に取っての最ッ高の幸運だよ! 」
刃はそう言いながら突きや蹴りを放つと崩もまた、同様に交えた。
それを遠くから一人で眺める少女がいた。
水色の髪をした彼女は眠そうに刃達を見つめており、興味がない様に見えるがしっかりと彼らが互いを高め合っているのを感じていた。
(兄様、楽しそう。最近はマイケルとも組み手してたし、今日は崩と組み手。ここ最近はずっと崩に付きっきり。つまんない、そろそろ私も構ってほしい)
少女がぼんやりとそう思いながら刃と崩の組み手を見ているといつの間にかそれが終わっており、彼女の背後に一つの影が迫っていた。
「つまんなそうにしている子猫はここかな! 」
唐突に背後から抱きしめられ、少女は頬を赤く染め上げると背後から抱き付いた相手の顔に目掛けて肘をぶつけた。
ゴツんと鈍い音が鳴ると抱きついた男の鼻から血が流れるも気にすることなく抱き続けた。
「あははは!勿!ごめんよ!最近かまってあげれなくて!寂しそうに見てたから今日は早めに切り上げたよー♪勿がだぁい好きな兄様とこれから遊ぼ! 」
「うっさい、兄様、別に寂しくなんかない」
そう言いながらも勿は嫌な表情はしておらず、むしろ、緩みそうになるものを全力で阻止しようと顔に力を入れていた。
すると、そんな彼らへ背を向けて、崩が一人帰ろうとしていた。
「崩、どこ行くの?」
勿の呼び声にピクリとし、彼らの方を向くと崩は丁寧な口調で彼らの誘いを断った。
「勿様から、師匠を多くの時間をお借りしていたので自分はこれにて失礼させて頂きます」
「えー、崩帰っちゃうのー?僕、寂しいなー」
刃がぶーと言いながら残念そうな表情をするとすぐに勿が割って入る。
「兄様はちょっと黙って。崩、一緒に都市に行かない?今日の特訓は終わりなんだし」
勿の一言に少しばかり考えるもすぐに再び口を開いた。
「いえ、自分などが勿様と共に都市に向かうのは」
「じゃあ、良いわ、私からの命令よ。崩、私たちと一緒に都市に行きなさい」
李 崩という人間は真人間という言葉を具現化させた様な人間である。それ故に、自分が慕い、従う相手に対して命令という形を取られると断ることができなかった。自分に課せられた命令を理解すると崩はすぐに応えた。
「承知しました、ですが、一旦シャワーを浴びさせてください」
それを聞き、勿はニコリと笑みを溢すも刃に視線を向けると厳しそうな表情を浮かべ彼に向けて声を上げた。
「兄様、あなたももちろんシャワーを浴びていくのよね? 」
「モ、モ、モ、チロンダヨ〜」
ぞくりとした悪寒を感じると刃は震えながら誤魔化そうとした。
「崩、もう一個命令、兄様もお風呂に入れて」
追加の注文、それに対して崩はこくりと頷くと師匠と呼んでいた男の服の背後を掴み引きづりながら訓練場を後にした。
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