十二章 アマルスクール 其の拾
龍仙学院
学園の中でも唯一幻想換装について深く追求せず、独自の神秘の引き出し方を学んでいた。
生徒会ではなく、龍真会と言う組織が学園の政を執り行っている。会長は李 刃。
***
アマルスクール入学三日目。
桜子は誰よりも早く教室に足を運び、元気良く自己紹介をし、学園生活を楽しんだ。昨日のことが嘘かの様に、誰よりも新しい生活を満喫していた。
そして、放課後、生徒会としての活動があると呼ばれ、三人は生徒会室へと足を運ぶ。
「ん〜〜〜!!!!学園生活最ッッッッッ高!!!! 」
生徒会室に向かう内に結衣とレイズと合流すると桜子はニコニコしながら口を開いた。それに対して、オドオドしながら結衣が応えた。
「さ、桜子ちゃんは、やっぱり、元気だし、コミュ力あるから誰とでも仲良くできそうだね」
「え〜、そんなことないよ!私は話せるだけで仲良く出来るわけじゃないし〜、実際、こうやって放課後過ごすのはレイズと結衣なんだから〜」
「別に俺はお前達と仲良くしたい訳じゃない。行く道に勝手にお前達がいるだけだ」
レイズがそういうも桜子はニマニマと彼の顔を見ており、それに気づき再び声を上げようとするもののその直前、生徒会室に着いた。
桜子がドアを叩こうとした瞬間、生徒会室から何かが飛んでくる気配を感じた。
バキリと音を立て、ドアが壊れると銀髪の青年が刀を持って姿を現した。
桜子達は気配を察し、なんとか避けているものの何が起きたのかさっぱり分からずにいた。
「ヒビキィ!あんた、私の取っておいたプリン食べたでしょ! 」
甲高い声がすると生徒会室内では水色の髪を靡かせ、両腕に双剣を携えた少女が立っており、ヒビキと呼ばれた青年を吹き飛ばし、ドアを壊したのは彼女であることがわかった。
「ん、美味しかった」
吹き飛ばされた青年は罪を認めるも悪びれる様子は無く答えると、握っていた刀の柄を強く握りしめ、双剣を携えた少女との距離を詰めながら得物を振るう。
刀と双剣の刃がぶつかり火花を散らしながらぶつけ合う。互いに譲歩することなく、生徒会室という場を一瞬にして戦場に変えた。
少しして唖然としていた三人の横を気にすることなく斗南ツクヨとセラ・コトリが通り過ぎて、生徒会室の中に入るとそれに気づいた二人の戦士は武器をしまった。
そんな二人を見ながらため息を吐き、アマルスクールの生徒会長であるツクヨが声を上げた。
「二人とも〜、また、やってるの? 」
怒りはなく、そこにあるのはただ諭すだけの言葉ではあるものの彼らを静かにするには十分なものであった。
それを眺めていた桜子達は彼らが言葉で表すには難しいなんとも言えない存在であることをこの場で理解した。
「まぁ、ここまでにしましょう、ツクヨ先輩。一年の皆さんが来ているのでこれからのスケジュールと活動について話さないといけませんし」
セラの言葉でようやく場が収まると少しイライラしている水色の髪をした少女が最初に口を開いた。
「二年、乙骨イチカ。担当は監査、キビキビ働かないやつはいらないから。しゃんとしてね」
イラつきが隠せていないイチカの横に立っていた青年は、自らが原因であるものの彼女を気にすることなく続いた。
「二年、ヒビキ・ルプス。担当は副会長。君達の実力はこの前見たから歓迎するよ」
二人の自己紹介が済むとすぐにツクヨが話し始めた。
「セラちゃんは以前やったから〜、うん、ここにいる人は自己紹介が済んだね。本当はもう一人いるんだけど今日は予定があってね〜。それじゃあ、今日の活動についてセラちゃん説明お願い」
ツクヨの言葉を聞き、セラは端末をプロジェクターに繋ぐと生徒会室の電気を消し、そこから絵を写す。
四季祭
大きく三文字でそう書かれており、セラは端末をいじりながら説明を始めた。
「今日、集まってもらったのは学園都市エデンの伝統行事であり、一年の四季合わせて四度行われる学園の序列を決める戦いである四季祭について説明するためです」
プロジェクターの絵を変え、そこには画面が春、夏、秋、冬と別れて書かれており、セラは再び口を開く。
「四季に則り行われる大会は、春が一年生限定の個人戦、夏が学園内でチームを組んで戦う団体戦、秋が文化を競う文化祭、冬が一年から三年までの全生徒が参加出来る個人戦となっております。そして、今回、皆さんに参加して欲しいものがこの一年生限定の個人戦である春です」
セラがそう言い終わると桜子がすぐに手を挙げた。
「質問!これは絶対参加しないとダメ? 」
セラは問いにすぐに応じる。
「そうですね、今、皆さんはまだ役員候補生です。候補生は申し訳ないのですが半強制的に参加してもらうことになってしまっています」
「じゃあ、参加して勝てばどうなる?なんか貰えたりするの? 」
「いい質問ですね、答えはYESです。優勝した生徒の属している学園の地位が上がります。地位が上がれば学園内の施設や、設備を充実に出来る他、エデン学園に対しての逆干渉権能を使えるようになります。この逆干渉権能とはエデン学園は六つの学園に対して超干渉権能というものを持っているのですが逆に、エデン学園に対して干渉することができる権利のことです。また、優勝した学生は学園都市内で解決出来るモノであれば凡ゆる願いを叶えることができます」
セラは一気に話すと、少し疲れたのか体に空気を入れようと呼吸をした。人前で話したことによる緊張と疲労感が襲いかかるもすぐに桜子達の方を向き、笑顔を浮かべ、問いかけた。
「ここまでで何か質問はありますか? 」
少し間が空いて、レイズが手を挙げた。
「何でもというのはたとえばどこまでだ?学園外にも効くのか? 」
「学園外に対しての願いであれも世界に否定されないモノであれば可能です。私は可能と聞いております。他にはありますか? 」
「はいはい!いつからですか? 」
「ああ、そうでしたね、お伝えするのが遅くなってしまいました。例年通りなら6月ごろなのですが、今年は少し違って、来月からになります」
セラはそう言うと一息ついた。
ツクヨは説明が一通り終わったことを確認すると後は自分に任せてと視線を送り、それを確認したらセラは後ろに下がった。
「てな訳で〜、君たちの最初の活動は四季祭「春」の参加だ。ここで成績を残せば役員候補生から一気に役員になれるかも知れないし、そうなれば色々自由な時間が増えるからね〜。それじゃ、今から始めよっか、特訓」
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