プロローグ:2
死の直前に俺は祈った。
どうかもう一度人生をやり直させてくださいと。
この勇者どもをぶっ殺す為に。
気づけば真っ暗な空間に俺はいた。
ここは......俺は死んだのか?
「死んだとも。ああ、君は死んだね。愚かにも人間と仲良くなんてするからだよ。」
真っ黒な空間に声が響く。
自分の声ではない、誰かの声が。
なんだこれは?声が出ないが、会話ができている?
「ああ、君の精神体と直接話しているから特に気にしなくて良い。」
そうか......あんた誰だ?
神か?
「まぁ、そうだね。僕は人間からすると邪神と言われている存在だ。魔族は信仰とかないから知らないと思うけど。」
邪神か、人間にとって邪神なら俺ら魔族の味方なのか?
「味方、といえばそうなるのかな。魔族には興味なかったんだけどね。
君の人間を滅ぼしたいって気持ちが強かったから、協力できるんじゃないかなと思ってここに呼んだんだ」
そうか......でも死んだんだろ?俺も神にでもなるのか?
「いや、君を〝やり直させる〟ことが出来る。同じ生命として、赤ん坊からね。」
なるほど、理解した。
「うん、いいね。理解が早いのは。愚かな人間はこういう時質問ばかりしてくるからイライラするんだよね。」
そうか、まぁお前が人間を嫌いだってことは理解できた。
それで、お前の目的は人間を滅ぼすことだけか?
「今はそうだね」
今は......まぁいい、俺は人間を滅ぼすと言っても勇者を殺すことが第一目標で、全員殺したいわけじゃないんだが、それでも良いのか?
「勇者は僕もいない方が良いからね。
人間の中には僕を邪神ではなく普通の神として崇めてくれている部族もあるし、
全員を殺して欲しいわけじゃないんだよ。」
なるほどな、でもお前を信仰している人間なんて俺にわからないぞ。
「大丈夫。それは〝わかるように〟しておくよ。その人達には僕から神の言葉で、君に協力するように言っておく。
神託ってやつだね。」
そうか、まぁ会ってみたらわかるんだな。
「そうそう、まぁそのうちにね。
で、とりあえずの目標は【勇者を殺す】でいこうか」
ああ、一回戦っているから強さもわかっている。
成人するまでは鍛え続けて確実に殺したいから、実行に移すのは20歳あたりになりそうだ。
「タイミングは君に任せるよ。
まぁ勇者だけじゃこの世界は変わらないんだけど......それはその時話すよ」
うん?まぁわかった。
「よし、じゃあ送るよ。{レワマカウワ}」
それが生まれ変わりの魔法か......
じゃあな、また勇者を殺した時にでも話そう。
「うん、頼んだよ。」
そうして俺は生まれ変わった。