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ワイズマン・プライド  作者: 曇天
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次の日、俺は外に出て買い物していた。



「おい、ノゾム、明日大量殺人が起こるんだぞ。 こんなことしてていいのか、お前......」



「わかっている。 俺の質問に答えろ、ガイコツ」



「俺はサマエルと言っただろう。 お前は記憶力ゼロかよ」



「黙って答えろ。 アプリの機能の事だ」



 ライフトレード、アプリのルール



 1・自らの寿命を対象と交換増減できる。*(一度の使用で最大10年増減可能《最大100才まで》)



 2・ゼロになると死亡するが、死ぬまで5時間の猶予がある。*(同じ対象への使用は1日のインターバルが必要)


 

 3・使用には本人のフルネームを知ることが必要*(本人をスマホで写せば不要)



 4・アプリをいれたスマホが破壊されると全ての効果が消滅する。*(寿命を移動した対象が死亡していた場合は戻らず、その寿命は使用者に移ったままになる)



「それで、全部なのか」



「ああ、多分な、そもそも、人間しか使えんから、俺は使ったことがない」



「何の為にこんな物、人間に渡すんだ。 面倒事しか起こらんだろ」



「知るか! 神に言え、更正のチャンスを与えるためらしいがな」



「更正?」



「何でも、命の選択を迫ることで死んだ後の罰が変わるのだと」



「でお前達は何でいるんだ。 アプリだけ渡せばいいだろ」



「無能みたいにいうな、物も触れるぞ! 人には触れんがな。 それに誰にも見られなくできる。 例え天使にだってな......いや、そんなことはどうでもいい。 あと今日と明日しかないんだぞ。 どんな方法で大量殺人起こすかわかんねえだろ」



「わかってるよ」 

  


「!?」



 驚くサマエルに俺は話す。



「原発だ。 事故を起こさせるか、破壊するんだろう」



「どう言うことだ」



「このアプリの機能で明日の大量殺人なんて無理だろ。 あの観光客の外国人の寿命見てみろよ」 



「ああ、確かに数字のブレがないな」



「つまり、この街近くで起こるんだ。 それなら近くに原発がある、なら決まりだろ」



 そう言って原発反対のデモ隊を見て俺は言った。



「それより、ガイコツ、昨日言ったようにしろよ」



「わかってるが、お前大丈夫かよ」



「大丈夫だ顔はマスクで隠してる。 直接会ってもバレやしない」



 俺がそう言うと、サマエルは姿を消した。



 そして俺は自分の大学へと来た。



(必ず今日の間に犯人は来るはず俺を探しに......明日には原発に何かをする。 それを俺が止める為には、ここか、志賀のいる刑務所しか犯人と接触する接点がないからだ。)




(サマエルは犯人が原発で死ぬことを狙って、無視するかもといってたが、犯人も死ぬつもりなら、教授と死刑囚がどこかに移動されるのは困るはずだ)



 そう考えながら、まばらに学生のいる大学のキャンパスを歩いて、命教授を探していると、

  


(......いた。誰かと話してる、パーカーを着てフードを被ってる奴と話している......あいつ、まさか)



 教授と話をしていたフードの男は、会釈すると振り返り杖をつき歩いていくのを俺は後追った。 校舎の角を曲がったところで、



「君が僕の邪魔をしているのか......」



 フードの男はそうこちらを見ずに言った。



「やっぱりお前が......一体何のつもりだ。 何でこんなことをする......」



 フードの男はこちらを振り返りもせず、



「あえていうなら......復讐かな......」



「ふざけるな。 どう考えても、関係ない人間が多すぎるだろ」



 俺が語気を強めると、男は少しこちらを見て、



「......それより、アプリを見た方がいい......」



 そう言うと歩いていく。



「待て......いや、アプリだと......まさか......」



 命教授の名前を入力して見ると、数字がゼロになっていた。



 その時、



「うわあああああ!」



 と言う教授のの叫び声が聞こえた。 俺がその場に向かうと、教授が倒れ、手に血のついたナイフを持った後ろ向きのロングコートの男がいた。



「よう......お前が奴が言ってた寿命を交換できるアプリを持ってる奴か」



 男はこっちを向きそう言った。



「お前は!? 志賀! 志賀翼!!」



 前にいたのは昨日アプリで殺されかけていた死刑囚の志賀翼だった。



「どうして......お前が......」



「昨日、警察病院に搬送され朝に死亡確認されてから、遺体安置所で俺は息を吹き返した。 そして逃げ出したんだ。 お前が助けてくれたそうだな、逃げた後あいつにあって聞いたよ」



(俺にわざと助けさせた!? こいつを殺すつもりはないのか......)



「あいつは、俺に面会に来てな。 ご丁寧に、死なないから落ち合う場所まで話していった。 まあ刑務官が聞いてたが、出られるとは思ってないからスルーしてたぜ。 まあ俺でも信じちゃいなかったが、まさか、本当に遺体安置所に行くとはな。 その後合流して色々聞いてな、これもあいつから貰った」 



 そう言うと志賀はナイフを見せた。



「でだ、お前のスマホ俺にくれよ」



(大声で助けを呼ぶか......ダメだ、こいつに殺される......どうするアプリで......)



「俺の方がそいつを有意義に使える」



「......どう使うつもりだ」



「俺の寿命を伸ばし続けるのさ! そうすりゃもっと殺せる! ひゃはははは!」



 志賀は狂ったように笑いだした。 そして、笑い終わるとこちらを睨んで、



「......そいつを渡せば、命だけほ助けてやるよ......借りがあるからな」



 俺は志賀をスマホを越しに見ながら、気づいた。



(一か八か......)



「......断る」



「断るか......クックックッ、ありがとうよ! これでぶっ殺せる!」



 志賀は狂ったようにナイフを振り下ろし、俺はそれをかわしながら、スマホを志賀に向けた。



「そいつは一度使うと、同じ奴には1日使えねえんだろ! 知ってんだよ!」



 そう言って飛びかかって来る。 俺はロングコートを掴むと思いっきり引っ張った。 服の前のボタンが飛び体勢を崩す、そこで膝で股間を蹴りあげた。



「ぐがあああ!」



 と、志賀は目を白目にしながら崩れると、ピクピクと痙攣している。



 すぐに俺は救急車を呼んで、教授の側に行った。


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