第6話 覚悟
ご飯を食べたあと、僕達3人は夕方頃に家に着いた。
僕と桜さんは個別に用意された部屋に案内されたあと今日買ってきた家具や用品を整理し、部屋に付いたお風呂で汗を流した。
辺りも暗くなり寝ようかと思っていた頃にギルドカードを通じてケルビィさんから朝に説明を受けた部屋に呼れた。
(なお、ケルビィさんが使った様にギルドカードには自分のステータスを見る以外に、カードに登録された他の人とメールや通話ができる便利な物で、元の世界で言うところのスマホみたいだと感じた。)
そして部屋に着くとそこには一緒に呼び出されたであろう桜さんも居た。
「揃いましたか。
それでは今日の最後、二人に話しておかなければいけないこと…いいえ、聞いておかなければならないことがあります。」
ケルビィさんは今日見せてきた温かみのある優しい表情とは一変、冷たく少し恐ろしさを感じる程、真剣な表情で話を始めた。
「今日の最後に寄った場所は戦争で親をなくした子供達を私とウロで集めて出来た場所です。
…この世界で生きて行くと言うのは戦争に巻き込まれる事然り、外にいる魔物やギルドに加盟してない国、整備が行き届いていないスラムの人々と争う事態に遅かれ早かれ発展してしまうでしょう。
あなた達は向こうの世界で死んだ身とは言え、私達の身勝手な都合でこの世界に呼ばれ、戦いにその身を置く事に覚悟はありますか?」
ケルビィさんは自分達のせいで僕達がこの世界に来たことを責めるようにそう言った。
きっとケルビィさんやあの神様の願いは僕達が考えている以上に険しく難しい事なんだろう…
「なぜそれを今、私達に聞くんですか?」
僕も桜さんの言ったこと同意見だった。
それこそ僕達が生きてきた地球、もとい日本では”戦う“と言う行為が身近ではない。
この話をすれば僕達は協力を拒むかもしれないのに。
「誰かが自分のために理不尽を強いられたり不幸な人生を歩むことを私達が救いたい“あの人”は絶対に望みません。
故に私はあの人を救う計画のために召喚される二人の気持ちを聞いておかなければならないと思っていたのです。」
「私達が今ここで投げ出したらどうなるんですか?」
「あなた達に戦う覚悟がないと言うのなら私がフェイト様にお願いして、元の世界で生まれ変わり生きていけるようにしましょう。」
ケルビィさんの話は今の僕達にとって平和な人生を歩む選択肢をくれているのと同時に、覚悟がなければこれから先の道はとてつもなく厳しいと言うことなのだろう。
今なら投げ出せる…それでも僕は。
「覚悟…と言われると難しいことですけど僕はやります。」
ケルビィさんに真剣な表情で僕はそう伝えた。