閑話 “彼”の託したもの
-ケルビィと空、桜が戦った日から数日後-
ここは各種さまざまな職人達が集い出来た事で有名な町“職人街アート”
空と桜がいつものように孤児院に出掛けている中、ケルビィは女呪に会うため彼女の住むこの地に訪れていた。
「久しぶりだね!わざわざ来てくれたの?
前もって連絡してくれればまたそっちに行ったのに。」
「今日は私の弟子に作ってもらう武器でお願いしたいことがあったから私の方から来たの。」
そう言いケルビィはアイテムボックスから大きめの箱を女呪に渡した。
「?、この前の試作品を少しいじってるけどなにかケルビィさんから付けて欲しい機能でもあるの……って、これって…」
話ながらその箱を開ける彼女は中に入っていた石を見て驚き固まった。
その石は“ジェネレート鉱石”と言う大昔に神々が神器を生み出した際に用いられた物で、その入手方法は不明とされており今に至っては伝説上の物となっていたからだ。
「これをその試作品に組み込んでもらえないかしら。」
「…いやいやっ!私も流石にこれを扱ったことなんてないし、まずこれ何処で手に入れて来たの!?」
「これは“あの御方”が私に預けた物の一つよ。
扱い方はあなたのやり方で好きなようにやってくれていいわ。
これは作る人よりも使う人に影響される物だから。」
「私は会ったこと無いんだけど、ケルビィさんが言うあの方って空座の王のこと?
本当すごい人だね、こんなものまで持ってたなんて。
でも預けられた物なんでしょ、勝手に使っちゃって良いの?」
「あの御方は最後の戦い前夜、私に“残禍”とこの“ジェネレート鉱石”、そして文の最後に『必要になるから持っておけ』って書かれた手紙を残していったの。
私は今がその時だと思うからこれを使うのよ。」
「そうなんだ。
うん、わかったよ、やれるだけやってみる。
それにしても偉くあの二人を気にかけているよね?
なんだかんだケルビィさんが弟子をとったのも始めてだし。」
「フェイトの考えは分からない、でも空さん桜さんがあの御方に繋がる存在だと言うことは何となく感じ取れる。
だからまだ弱い二人の面倒を見ることにした、それだけよ。」
「それにしても割りと過保護な方だと思うけどね。
やり方も回りくどいし。」
「…それは前に知り合いにも言われたわよ。」