第15話 問い
…体が物凄く重い。
ケルビィさんと戦った荒野で気を失っていた僕は日が落ち初めた頃に目を覚ました。
なんとか体を起こし、取り合えず周りを見渡すと、倒れて気を失っている桜さんとその横で座っているケルビィさんが居た。
「桜さんは無茶をしすぎましたね。
まだ目が覚めることは無いでしょうが命に別状があるわけでもありません、なので今はそっとしておいてください。」
「あの、僕は斬波を撃ったあとから記憶が無いんですけど、結果はどうだったんですか?」
「結果を答える前に1つ質問しても構いませんか?」
「……それは最後の作戦についてですか?」
「そうです。
あなたは桜さんを攻撃することに何の迷いも無かったのでしょうか?」
「…迷いました。
桜さんは動きを止るのは任せてって言ってましたけど、あんなやり方をされたら技を放つ直前、手が止まりそうになりました。
…それでも、自分の作戦に乗ってくれた桜さんに対して僕がすることは桜さんの身を案じることじゃないと思いました。」
「そうですか…あぁ、結果ですが合格ですよ。
これからのことは明日説明しましょう。
取り合えず帰って晩御飯にしましょう。立てますか?」
ケルビィさんは手を差し伸べて僕を立ち上がらせてくれた後桜さんをおんぶして皆で家に帰った。
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-その日の夜 孤児院-
そこにはみんなが寝静まったであろう時間に二人の姿があった。
「どうしたのディア姐、こんな時間に呼び出して。」
「…何を聞きに来たか分かってるでしょ?」
「うーん、瞬閃の避け方を二人に教えたこと?それともいつからディア姐の考えに気付いていたかってことかな?」
笑いながらそう答えたウロにケルビィは同様をした。
「これは失言だったかな?まぁいいや。
先に言っとくけどあの二人が何処の誰で、なんでディア姐が面倒を見てるのかは知らないよ。
ただ二人をかなり強い魔物と戦わせたり、ディア姐が二人の相手になったことを考えてそう思ったわけ。」
続けて放ったウロの言葉にケルビィは何も返答出来なくなった。
疑問に思う点が増えたからだ。
ケルビィは当初、二人が対人戦に関しある程度の知識を持っていたことからウロが相談されアドバイスを与えたものだと考えどんなことを教えたのかを聞きに来たつもりだった。
「…あなたが教えたのは瞬閃の避けかただけ?
それに瞬閃に避け方なんてものがあるの?」
「空に避けられた後、光弾が当たらなかった?
ディア姐が技の構えを取ってからその後ろで桜が光弾を打つでしょ、で同時に空がディア姐に向かって仕掛けるふりをしてディア姐の姿が消えたタイミングでその後ろに見えた光弾の軌道上から外れると、まぁ距離とかにもよるけど避ける事はできるんだよ。
教えたのはその事だけだし、後は自分達でやってみればいいんじゃない?って言ったよ。
今の二人からしたら初見殺しなのは瞬閃だけかなって思ったからね。」
「あなたにはたまに凄く驚かされることがあるわね。
…でもそれ以上にあの子達の可能性を技のレパートリーや威力で決めてた私の浅はかさにも気付かされたわ。」
「その言い方だと空と桜には見込みがありそうだね。
これからが楽しみだよ。」
「ここまま二人を送り出せば私が見た未来になるかも知れません。」
「それはそんなに避けたいことだったの?」
「……二人が殺される未来よ。」
「誰に?」
「八王の一人フェイト・ウル・フレスヴェーゼ。」
「彼女が?」
「あの方を知っているの?」
「あぁ、いや、そりゃさ!”八王十姫“の中でも特に有名だしさ!
ってか本当にそうなの?」
「私の能力は知っているでしょう。
未来は簡単には変えられないわ。」
「そっかわかった、それじゃ俺は目が届く範囲で守れる用動くよ。
だからさもうちょっと二人には自分達で物事を決めさせてあげなよ。」
「…そうね。」
会話を終えケルビィは今後の事を決め自宅に戻った。