第13話 VSケルビィ
桜は訓練で身に付けた攻撃魔法“光弾”と“火弾”を5発ずつ円の外からケルビィに向けて放ち、それと同時に後ろにいる空は円の外から斬翔を2発放った。
ケルビィは目を閉じたまま空の方を向き斬翔を受け流しつつ桜の攻撃を避けた。
それを見て桜は一発も当たらないという予想外の結果に驚く。
「桜さん!次!!」
「えっ…あぁ、うん!」
桜は円の周りを走りながら光弾を一定の間隔で出現させる。
一周回って計36個の光弾を設置し終えた桜はケルビィに向け全て同時に放った。
「くっ…これでもダメですか。」
そう言ったのは円の中でその一撃をケルビィに受け止められている空であった。
彼は桜の放った光弾の後に続き彼女の至近距離で斬翔を放とうとしたが、ケルビィは取り囲む36個の光弾を全て同じ位置で消し、空の斬翔が発動する前に彼の刃を受け止めたのだった。
「円の外から攻撃すると言うところは良いでしょう。
ですがあなた達の攻撃は遅く、そして弱い。」
そう言うと彼女は一撃で空を円の外まで吹き飛ばした。
そしてケルビィは二人に液体の入った小瓶を投げ渡す。
「それはポーションと言って傷や体力を回復させる道具です。
それぞれ1つずつ差し上げるので各々のタイミングで飲んでください。」
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-ケルビィ視点-
“フェイトが二人を殺す未来を見た。
私は未来を変えたい、そのためにあの二人をもっと強くしなければならないの。
……それが上手くいかなければ二人に私の力をもって諦めさせるつもりよ。”
以前の魔物討伐の際、私はキプロスと女呪にそう言った。
私の持つスキル“星詠”は物事を1つだけ限定することで未来の景色を見れる。
そして“二人の未来”と言う指定のもと能力を使った結果、フェイトが持つ剣で二人が斬られ倒れる景色を見てしまった。
まだ足りない…やはり二人には諦めて貰うべきなのかもしれない…。
彼女は目を開き、すでに息があがっている二人を見据えそう思うのだった。
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二人はその後もいろんな攻撃を仕掛けるが全てケルビィには通用せず満身創痍の状態であった。
「はぁ…はぁ……どうする空くん、作戦全部ダメだったけど…」
「…………」
「…空くん?」
「僕に考えがあるんだけど…多分この作戦で無理ならどうしようもなくなるんだよね…」
「やってみようよ。やれるだけやってその上で後なんて考えればいい。」
「…うん、そうだね。」
そうして僕と桜さんが話し合いを終えた後、渡されたポーションを飲み干してケルビィさんに武器を構えた。