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あなたの来世に幸せを  作者: 朧月夜
第一章 異世界転移編
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第11話 嘘

「…成る程、戦う前に試作を作って来てくれていた訳ね?

でもそう言うのは前もって教えて欲しかったんだけど…ねぇ女呪?」


「いやぁ…あはは……うん、ごめん。」


洞窟から戻ってきて僕達が休憩している所から少し離れた場所で女呪さんがケルビィさんに怒られていた。


ケルビィさんの考えでは僕と桜さんが訓練用に渡した武器で戦いに挑み苦労してなんとか倒すものと想定していたらしく、僕の剣は威力縮小で桜さんの杖には付与効果抑制の術式が組み込まれている物だそう。

対して女呪さんのくれた試作品は威力強化、範囲拡大、付与効果増強、効果時間延長など僕達が楽に倒せるようバフをいっぱい盛った物だった。

結果としてあの後もう5、6体程魔物を倒したが全て瞬殺だった。


お説教がおわったらしく、二人が戻ってきた。


「少しイレギュラーではありましたが今日のノルマは終わりにします。このあと私は買い出しに行くので二人は孤児院で子供達と過ごしていてください。

キプロスと女呪は私の手伝いをお願いね。」


…ケルビィさんは怒らせると怖いと言うのが今の女呪さんを見てよく分かった…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はははっ、それで今日は来たんだね。

まぁ女呪さんは良かれと思ってやった訳だしそりゃ災難だったね。」


「僕としてはあんまり討伐した実感が湧か無かったけど無事に終われて良かったと思うんだけどね。」


「まぁレベルを上げるためにも魔物を倒すのは必要な事だしね。レベルはどれくらいになった?」


そう言われ僕と桜さんのギルドカードを見てみるとお互いに討伐前のレベル3から17に上がっていた。


「ところでレベルを上げるために必要な事って言うけどレベルが上がると何が良いの?」


「…んーとそうだね、許容魔素量は体内に入れられる魔素量を指す言葉なんだけど、この世に存在するものは全てそれと別に自身の回りに魔素を纏っていてその魔素量が多いと相手の攻撃が効きづらくなったり体の動きがよくなったり、あとは五感がより鋭くなったりするんだよね。

でもその纏える魔素量って言うのは正確に計れたりしないから、それならいっそ魔物の強さを示すレベルってくくりで表記しようってなったわけ。」


「…もうちょっと簡単に言うと?」


「…まぁめちゃくちゃ簡単な例を上げると今の空や桜が17より下のレベルの人にただの剣で切られても切り傷程度で済むってことだよ。」


「成る程ね!…って、えっ!?」


レベルに関して理解出来たけど、正直剣で切られて切り傷で済むと言われても想像出来ないしちょっと信じられないなって思った。


「ははっ、斬られてかすり傷で済むなんて言われるだけじゃ信じられないよね。

まぁその内実感出来る機会もあるさ。

さて、ディア姐達が戻って来たようだし晩御飯の準備をしようか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


-数時間前、洞窟にて-


空、桜の二人が孤児院に向かわせた後キプロスと女呪は真剣な表情でケルビィの前に立つ。



「ねぇケルビィ、なんで嘘をついたの?」


「強すぎる力はそれに応じた器が必要よ、あの子達には本来の力を知る前に1ヶ月の間でそのことを理解して欲しかったの。」


「…違うでしょ?」


「うん…ケルビィさん、なんでスケルトンなんて言って“グレートヌート”と戦わせたの?私の作った武器と桜さんの攻撃増強の付与があったから一撃で倒せたけど、もし一撃で終わって無くて私達も付いていない状況なら間違い無く死んでいたよ?」


二人が問い正したのは空と桜に本来の力を出させないようにしたことでは無く、レベル3だった二人に()()1()0()()()()のレベルの魔物と戦わせたことだった。

スケルトンとは空の想像した様な人形骨系(ボーンタイプ)でありレベルは1~3程とされている魔物だった。それに対し獣骨系(ビーストホーンタイプ)のヌートと言う魔物はレベル2~10程、より狂暴さを増すハイヌートならレベル10~30、より多くの魔素を取り込み体が巨体に成長したグレートヌートになるとそのレベルは30~50まで上がる。

最初に空が倒したものがグレートヌートの中でもレベルが一番低いもので、女呪の武器と桜の付与で斬翔の威力がかなり上げられたものだとしても一撃で倒せたことは奇跡的なことであった。


「……キプロス、あなたも同じ質問?」


「そうね大体そう、まぁ私達が付いていたから戦わせることに異論はなかった。

だからケルビィ、もう一度聞くけどなぜあの二人に嘘を?」


「……」


観念したのか、ゆっくりとケルビィは口を開く…

彼女の話に二人は唖然とし言葉を失う。



この時それぞれの行動がすれ違っていることに誰も気付かない。


そしてそれが“作為的”であることにも…




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