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1 あそこに立っているのは、……死者である。君にはそれがわからないのかい?

 果てしない時間


 登場人物


 月音 ずっと元気だった少女 いなくなる


 歌 美人で有名な子 ここにいる


 弓 いなくなった女の子 小学五年生


 プロローグ


 君のいる場所。私のいる場所。(……なんだか、すごく遠いね)


 私たちはいつも自由である。……いつも、今までも、今も、ずっと、(そしてきっと)……これからも。


「やあ。久しぶり」

 とにっこりと笑って、君は言った。


「……おっす。本当に、久しぶりだね」

 と、泣きながら、にっこりと笑って、私は言った。


 本編


 月に戸惑う


 あそこに立っているのは、……死者である。君にはそれがわからないのかい?


 歌が月音と出会ったのは、真っ暗な夜の暗闇の中だった。

「月音? 月音だよね?」

 月音は歌に背中を向けていた。

 でも、その見慣れた、歌と同じ高校の制服をきたあの後ろ姿は月音に違いないと歌は思った。(その確信が月音の親友である歌にはあった)


「月音!!」

 思わず歌は大きな声で月音を呼んだ。


 すると月音と思われる後ろ姿の少女はゆっくりと歌のほうにふり向いた。……すると、その少女の顔が見えるようになった。

 その少女は、……やっぱり月音だった。

『あのころのままの月音』がそこにはいた。


「やあ、久しぶり。元気だった?」

 にっこりと口元を動かして、笑って、月音は歌にそう言った。

 そのどこか憂鬱な笑顔をしている月音は、まちがいなく、歌のよく知っている、あの月音だった。


「月音!! 今までどこに行っていたの!! すごく心配したんだよ!!」と、とても大きな声で、(まるで叫ぶようにして)歌は月音にそう言った。(それは嘘ではなかった。なかには月音のことを、あまり心配していない人たちもいたけど、歌は本当に、本気でいなくなった月音のことを心配していた)


 歌が、ちょっとだけなきながら、そう言うと月音は髪の毛をかいて、あまり申し訳なさそうとは思っていないような、小さく笑った(いつもの月音の)顔をしながら、歌に「ごめん。ちょっと旅に出ていたんだ」と明るい声で歌に言った。


「旅? 旅ってどこに?」と歌は言う。


 すると月音はその人差指を自分の胸の前あたりで一本だけあげてから、「あそこだよ」と歌に言った。

 歌が見上げると、そこには明るい、真っ暗な本当に深い(深海の中みたいな)闇の中で光り輝く(まるで太陽みたいな)光り輝く月があった。

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