05
机に座る僕。目線は虚空をさまよう。机の前には学級委員ちゃん。ニヤニヤしながら僕を見ている。
「あれぇー、それなにー?」
頬を冷や汗が伝う。
僕の手の中には、画面を覗き込めば一目でそれとわかるゲーム機。なんで覗くんだよ。
まずい。とてもまずい。
存在すらあやふやな空気のような人間という自負のもと、バレるはずないと思いゲームをもってきていた。しかし、無駄に目ざとい学級委員ちゃんに見つかった。
存在感のない僕が、さらに校則を破る人と知れ渡れば、いよいよ学校に立場は無くなる。いや、それだけならまだいい。元々立場なんてないようなものなのだから。先生に話が伝わり、奨学金の話が無くなれば冗談では済まない。
「あの……できれば……誰にも……」
くそっ、こんなときまでコミュ障が。
「えーー」
いや拒否するなよ。見逃せよ。
「なんとか……」
「うーん」
学級委員ちゃんは首を傾けて「どうしよっかなー」と呟いている。
沈黙し、断罪の時を待つ。
さっきまで学級委員ちゃんと一緒にご飯を食べていた女子たちが、不思議そうにこっちを見ている。
そりゃそうだよね。奇妙だよね。
「よし、決めた」
「え……なに」
「じゃあ、今日から毎日勉強教えて」
は。何言ってんだ。
こっちは学級委員ちゃんが頭いいの知ってんだぞ。なんだ? 新手のいじめか?
流石に断るか。
「………………」
怖くて断れねえええええ。
「じゃあそういうことで」
うわあああああ。
放課後、毎日図書室で勉強会をやることになった。




