6 ナナ、ドジっ子になる!
数Ⅱの追試のために勉強しなければならないのに・・・スマホが手から離れない・・・これは病気です!
6 ナナ、ドジっ子になる!
今日は、魔物の森の近くで野営をする予定であった。
毎日、城と魔物の森を往復しているので気分転換である。また回復魔法に余裕ができたので2日分は在庫があった。
おまけではあるが、よこたんが自前でヘブンファイアが打てるように、よこたんのレベル上げも目的であった。
パーティーを組みことによって、魔物を倒した時の経験値を二人で分けることができるようになる。ただ、よこたんの場合は経験値100倍ではなく、通常の経験値での獲得だった。
よこたんの許可があれば、城の方からは「どうぞご自由に」とキャンプが行えた。さすがは魔法学校の校長先生である。
それでも聖女であるルカの参加は不可だったが、今回は私たち2人と御者と護衛の4人に侍女が2人参加していた。
いつも城に籠るよりも、たまには、リフレッシュが大切である。
こちらの世界では、町と町との間に距離があることと移動手段の馬車の速度の関係で、どうしても野営する必要があった。
しかし、わたしにとっては初めての試みなので、とても楽しみだった。
わたしとよこたんが同じテントで野営し、それを隣のテントで侍女たちが待機し、もうひとつのテントが護衛と御者という組み合わせで、日本でいるキャンプファイヤーみたいなことはなく、単純にただ休むだけであった。
それでもわたしはよこたんと一緒に寝れるので、修学旅行みたいで楽しみだったのだ。
その夜は、よこたんから魔法学校時代の教え子でもあるハゲる前のダイーチの話やルカのあるある日本での話で盛り上がった。
次の日も朝から討伐を続けていると、あることに気が付いた。魔法陣が大きくなっているのだ。
最初は10キロ四方だった魔法陣が、今では縦横2倍の20キロ四方になっていた。最初のころの4倍の威力だ! 練習しているうちに上手になったのかもしれない!
どんどん魔法を唱えていると、魔法陣の大きさはさらに広がり、魔法の森がすべて焼野原のなった頃には、30キロ四方になっていた。最初から比べて9倍の広さだ。
「よこたん、終わったよ」
「ナナたん、お疲れ様でした。ボクも早くヘブンしたいです」
飛行魔法で魔物の森の端まで移動すると、そこには幅1キロメートルはありそうな大河が流れていた。その先は、草原があり、さらに奥、森があるのが微かに見え、その先には高い山が見えた。
「あの山の東にわたしの故郷のエルフ国があります」
よこたんは山の右側を指してた後、今度は左側を指した。
「そして、山の西がドラゴン国です」
「やっぱりドラゴンっているんだ」
わたしとよこたんは、ぼんやりと大河を眺めていると、山の西の方から、何かがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。その小さな物体は複数であり、それが近づくにつれ、その正体がわかった。
「よこたん、気のせいかな? あれドラゴンに見えるんだけど」
「ナナたん、奇遇ですね。ボクにもそう見えます」
小さな塊は物凄い勢いで、こちらに向かってきている。そして、対岸の草原にびしばしと着地していった。
レッドドラゴンだ。
大きさは大型トラック一台分ぐらいあるのだろうか? それが500頭ぐらい群れをなして、草原に集合していた。とにかく大群だ!
「よこたん、ちょっとこれはみんなが危ないよ」
「え、ナナたん、待って」
よこたんの制止を無視して、わたしは魔法を唱え始めた。
次の瞬間、レッドドラゴンのいる草原の上空に巨大な魔法陣を出現させた。
「ナナたん、やめて、レッドドラゴンは言葉を話すからだ・・・」
「大丈夫だよ。ドラゴンはわたしが倒すから!」
よこたんの言葉が終わる前に、すでに魔法陣は完成していた。
突然、上空に現れた魔法陣に、ドラゴンたちは慌てていた。翼をばたつかせて逃げるために飛び立とうとしている者もいた。しかし、無情にもすぐに、ヘブンファイヤの魔力は地上に向かって、激しく撃ち落された。
ドドドーン! カミナリの咆哮をも超える凄まじい熱量がドラゴンたちを飲み込んだ! 炎の洪水が周囲を蹂躙し、そして、熱風が消え去った後には、レッドドラゴンたちが倒れていた。
「あれ? 魔石にならないね」
「ああああ、ナナたん、た、大変ですよ。ドラゴンは魔物ではなくて龍人なんですよ」
「え?どういうこと?」
「このままですと龍人国と人族の国との戦争になる可能性があります」
よこたんの説明をまとめると、この世界ではドラゴンやエルフも国家を成立しているのだ。
通常のドラゴンは魔物として討伐する対象ではなく、ドラゴン国の国民なのである。独立した国として認められて、人族、エルフ族、ドラゴン族、獣族など種族単位で国家になっているのだ。
そのような国々がまとまって世界を形成しているのである。
地球で言う日本とかオーストラリアなどであり、それが集まって国際連合ができていような感じだ。
わたしがしたことは、地球でいうならば、異国の軍隊にいきなりミサイルを撃ち込んだようなものらしい。
攻撃された相手の国は、怒って戦争になる可能性もあるのだ。
「ええええ、よこたん、ど、どうしよう」
「とりあえず、回復魔法を唱えて少しでも被害を減らしましょう。あとは、知らないふりをして、ごまかしましょう。ボクたちは、何も知りません」
よこたんが可愛い顔で黒い笑みを浮かべた。
「よこたん、これからどうするの?」
「急いで、助けに行きましょう。飛行魔法で草原に向かいます」
「よこたん、お姫様抱っこかな?」
「いえ、ボクも先ほどの攻撃でレベルが99になったので、飛行魔法を覚えました」
そう告げるとよこたんとわたしは、ちょっと跳ね上がってイエーイ!と喜びのハイタッチを交わした。
「それでは、ボクも飛行魔法、使います。初飛行になります」
「うまく飛べるか心配だから、よこたんの隣を一緒に飛ぶね」
わたしたちは、飛行を唱え、大河を越えた。それからドラゴンたちが倒れている草原へと向かった。
みなさま、読んてみて1ミリでも面白いな、または、続きが読みたいなっと思われた方は評価をお願いします。評価があると嬉しくて続きを作成するエネルギーになります。どうかよろしくお願いします。