アルマゲスト
その魔法書の名前は、アルマゲストという。僕のひいおじいさんが初めの所有者だ。ひいおじさんは、僕が生まれる少し前に亡くなった。だから僕はひいおじいさんの顔を生で見たことはない。けれど、この魔法書でひいおじいさんが生前なんの呪文を唱えたのは、それは刻銘に記されている。最初はだれもがする、ファイアーの魔法から始まって、ものを空中に浮かばせる魔法と続く。
その記録によると、こんなことも書かれてある。
当時、ひいおじいさんは十五歳だったとのこと。ある日、気になった女の子がいて仕方なかったから。この魔法で最後にする。と決めて、
「僕と一緒にいてください」
と云ったという。
そしたら、アルマゲストはそれを認めた。
ひいおじいさんとひいおばあさんは結婚しておじいさんを生んだ。
使いものになくなったアルマゲストは青春の思い出としてひいおじいさんは保存していた。あるとき、おじいさんが本を開けて「わあ、きれいだな。これはなんだろう」とその本、アルマゲストをこっそりと抜き取って部屋に置いていたらしい。これもアルマゲストに書かれてあることだ。おじいさんが同様に十五歳のときだった。ひいおじいさんもひいおばあさんもいないとき、「僕は友達が欲しい」とふと、アルマゲストの前でつぶやいた。アルマゲストはその願いを認めて、おじいさんに友達がたくさんできるようにした。おじいさんはうれしかった。そうして役割を終えたアルマゲストは、また押し入れの中にしまっていた。
次は僕の父だ。僕の父は本屋で魔法書を買っていたとき、天体魔法学の本重要な魔法書があることを知った。魔法書の名前は「アルマゲスト」。そのころ、ひいおじさんがなくなった。まだ七十歳くらいだっただろう。細かいことは、僕は知らないのだ。大好きなおじいさんのことが忘れられない父は押し入れにある魔法書を引き出して、何か使えないのがないかを探した。そして何かの導きのようにアルマゲストがまた出てきたのだ。アルマゲストを開いたとき、父は「おじいさん(つまり僕のひいおじいさんのことだ)が生き返ってほしい」と願った。それに対してアルマゲストは「それはできない。人は必ず死ぬからだ」と答えてがっくりした。それでアルマゲストを押し入れにしまった。
最後は僕だ。僕は今、魔法学校に通っている。押し入れを掃除していたときに、たまたまアルマゲストという魔法書が出てきた。僕はこれをだだっぴろい空間の中で開いた。人は僕以外、だれもいなかった。そして驚くほど静かだった。「お前は何を望む?」と聞かれたから、「ううん、僕は何も望まない」と答えた。そして僕はアルマゲストを閉じて、元に、戻したのだ。
ヤフー知恵袋での意見をもとに少し書き換えました。
指摘していただいた方、ありがとうございます。