ガレージ
「アームズ・フレームか……。コイツが出来てから戦場はすっかり変わっちまった。100000人に1人ほどの僅かな適性を持つパイロット。しかし、それが2~3人もいればそれだけでガラリと戦況が変わってしまう。お前がいなければとっくにこの基地も占拠されていただろうな。」
大層なクレインの言葉に遠慮がちに頬をかくウルスラー。
苦笑いをしながら話しを逸らす。
「今回の作戦……。せめて何かしらの成果があれば良かったのですがね。」
ウルスラーの言葉に大きなため息をつくクレイン。
そして心底苛立ったように舌打ちをした。
「あのバカ社長め……中途半端な作戦ばかり指示しおって! こんなんだからいつまで立っても終わらんのだ!」
密林に潜む反政府軍のゲリラと、ウルスラー達政府に雇われた零細民兵会社の小競り合い。
当初、数週間でカタがつくと思われていたこの争いも気がつけばもう半年にも及んでいた…。
「しかし、お前さんも義理堅い男だな。今だにこんな辺鄙なところにいるんだ。その気になればAFのパイロットなんざ引く手数多じゃないのか?」
「いえ……それは……」
「あーーもーー!! いつになったらちゃんと整備してくれるの!!」
ウルスラーの言葉を隣のガレージから響いた怒鳴り声がかき消した。
男ばかりのこの部隊で女性の声はよく通る。
「お……向こうでもやってるな……。」
半ば呆れたように苦笑いするクレイン。
ウルスラーはため息をついて頭を抱えた。
この頭痛は決してM=FCによる神経ダメージなんかではない……ハズだ。
「こないだからなんっっにも変わってないじゃん!!今日には出来上がるって言ってたのに!!」
「いや、だからそれは……」
基地の中とはいえ、その少女の姿は戦場にはあまりに不釣り合いだった。
サイズがないのであろう、ダボダボの軍服。
決して背の高くはない整備長、しかしそれにしてもあまりある身長差なのだ。
その姿はせいぜい10代前半……。
そう。どう見ても彼女は幼すぎる。
「全くどうしたってんだよ…カナリア。」
「お兄ちゃん!?帰ってきてたの!?」
カナリア・ハナフブキ。
それがウルスラーの妹分たる、この少女の名だ。
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