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無自覚少女と夏空
その日――澄んだ青色の空に雲はなく、太陽だけが浮かんでいた。
気のせいか、いつもよりほんの少し陽射しが痛い。針で刺されているような、そんな感覚だった。
夏休みが目前に迫った七月中旬、金曜日の昼下がり。
山に囲まれた高原の小さな町。その南端にそびえる丘の上に建つ校舎の屋上。
辺りに陽の光を遮る物はなにもない。そんな場所で私はなにをするでもなく、地べたに腰を降ろして頭上を覆う大海原をただぼーっと眺めていた。
袖の短い白のブラウスは汗を吸ってうっすらと透けてしまっている。それでもここを離れるつもりはなかった。冷房の効いた室内は確かに過ごしやすい反面、密閉されているせいかどこか息苦しさを感じて落ち着かない。
それよりも人のいないこういう所で風に当たっている方がよっぽどいい。
肌を撫でるそよ風に、擦れ合う木の葉が奏でる爽やかな音色。