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初めての10倍返し


ん?ん?

あれ?


目がさめると知らない部屋に居た。


「あっ、起きた?ボヤボヤしてないで早く起きたら?それとも体調が悪いなら‥」

目の前に宮下さんの顔がある。

しっかし、残念ながら相変わらずの塩対応だ。


「もうちょっと心配してくれてもいいんじゃない?これでも俺は宮下さんのこと大切な仲間だと思ってるのに。」

だから、ついつい非難口調になってしまったが


「あっ、なんじゃ?起きたのか?死んだかと思ったぞ。というか、そこの娘がそわそわし過ぎてこっちまで落ち着かなかったんじゃが」

思わぬところから、宮下さんの本音が聞けて彼女の方をチラ見する。


宮下さんは照れ臭いのか下を向いてしまってとても気まずい、、、


「宮下さん、心配かけてごめん。それにしても、ナツミさんスゴイよ。至近距離にいながら1番の死角である背後からの攻撃が出来るなんて。」

俺が宮下さんに謝りつつ、ナツミさんを褒める方に話題を転換する。

もちろん、ナツミさんにこれ以上嫌われないように下心丸出しだったりする。


まぁ、最初の攻撃はなんとなく後ろから来そうだったので前に飛んで避けることができたが、最後はあんなに至近距離で目の前にいられたまま背後から攻撃されたら、トモヤさんですら避けられないかもしれない。



「‥ゴブリンくん、ワザとやってる訳じゃないんだよね?」

焦ったような口調でナツミさんがそんなことを言う。


何かボタンを掛け違えてしまったような感覚があるがそれが何かが全然わからない。


俺、変なこと言ってないよな?


もしかして、ナツミさんばっかり褒めたから宮下さんが拗ねてしまったのだろうか?


そんなわけないか?

やっぱり俺にはオンナゴコロはわからないな。



「ナツミさん、ごめんなさい。どういうことか教えてもらってもいいですか?」

結局わからないのでナツミさんに聞いてみることにした。


「そ、それは私の口からは‥「橋本、ごめんなさい。私がやったの」

ナツミさんが言いよどんでると、宮下さんが自白した。そう、真犯人は宮下さんだった。


どうやら、宮下さんは俺の後頭部めがけて思いっきり木刀を投げつけたようだ。



「ど、動機はなんなんだ?」


「‥るせなかったのよ。」


「‥ん?なんか言ったか?」


「許せなかったのよ。綺麗な女の人とイチャイチャなんかして、、」

そう言って宮下さんは悔しそうに顔を歪める。


それで鈍感な俺ですら、宮下さんの言いたいことに気付いた。


俺が『ナツミさんの胸の谷間に顔を埋めていた』のが殺したい程許せなかったのだろう。


なぜなら、宮下さんの胸では谷間なんて一生作れないからだ。


俺はなんと言ってフォローすればいいか分からず、


「すまなかった。宮下さんの気持ちとか考えない軽率な行動だった。反省してる」

そう言って深々と頭を下げた。


「えっ、、、あっ、、、違うのよ、気持ちとか、、、か、か、、勘違いしないでよね。別になんとも思ってなんかいないんだから。」

そう言って一生懸命に誤魔化そうとする宮下さんを見た俺は彼女のデリケートな所【胸】について触れてしまったことを反省した。


「わ、わるかった、、、そ、それより、試合っていつからなんだ?」

だから、俺は無理矢理話題を変えてセツナさんに質問したら、


「試合はもうすぐじゃ、早く支度をするんだぞ、朴念仁。」

訳の分からないあだ名をつけられてしまった。




そして、闘技場に着いた。

しかし、入り口でまるでヤのつく職業のような殺気むき出しの男3人とぶつかった。


「はぁん?試合前の大事な身体にキズをつけてくれたな。」

そう言って男が見せた手の甲にはちょびっと申し訳なさそうにかすり傷がついていた。


「いや、そっちが飛び出してきて「うるせーっ、ほれ。」

俺の言い分を最後まで聞かずに俺の顔を殴りつけた。俺は恐怖で膝が震え出して反撃なんかできなかった。そう、こんな怖い人達に一方的に殴られるようなことははじめてで俺の心は完全に折れていた。


縋るような目でセツナさん達を見ると、そこにはもう誰も居なかった。

そう、逃げたのだ。


その後は3人に殴る蹴るされた挙句、飽きたのか3人は去って行った。

その後、しばらくしてあきれた様子のセツナさんがたっていた。


「なにしておるんじゃ?試合に遅れてしまうじゃろ?早くいくぞ」

そう言って俺を無理矢理引き起こし、会場まで引っ張って行くと、俺をそのまま寝かせて、

「一回戦は寝ておれ。2人でなんとかしてやるのじゃ」

そう言ってニカッと笑うセツナさんをみると俺は気が抜けてしまった。



そして、とうとう俺たちの一回戦が今始まろうとしていた。


「そこまで、、、一回戦はキリングマシーンの勝利。皆さん、1人で勝利したセツナちゃんに惜しみない賞賛と拍手とお捻りをお願いします、」

『おっ、可愛い娘が居る。』なんてよそ見していた俺が司会者の声を聞いてツッコミたかったポイントが2つ。


1つ目、

なんて名前のグループ名をつけるんだよ?


普通女の人2人ならスリーピングフォレスト【眠りの森】とか、カプリシャスウイッチィズ【気まぐれな魔女達】とかつけるんじゃないの?



2つ目、

闘技場に伸びてる男達はさっきの3人組だった。


「10倍返ししてやったんじゃが、足りんかったか?」なんて言うセツナさんがますます男前に見えた。



3つ目、

いつの間に試合が終わったんだよ。

セツナさんがちょっとチート過ぎて俺が一回も戦わなくても優勝できそうな気がしてきた。



そう楽観できていたのは隣の円形リングで木刀を、振るっていた見知った男の姿をみかけるまでの短い間だけだった。


なぜかその姿をセツナさんもジッと見つめていた。



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