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初めての離婚宣言



「ふぅっ、宮下さん、結構集まってきたけどどうしよ?」

俺は困って宮下さんに助けを求めた。

何しろ、住人がわらわらと集まってきたからだ。これは逃げられないかもしれない。


「どうしよう?先の展開を考えてなかったの?私は橋本に任せておけば大丈夫だと思ってたのに」


「だよな。迷ってると終わりそうだ。手薄な東を抜けるぞ」

俺はそう言って東を抜けた。

なんて思っていると目の前に大男が居た。

こいつは見たことがある。


デルタだ。


「よう、また会ったな。お腹の調子はどうだ?」

俺は自信満々にそう言った。

もちろん、ハッタリだ。



「むむぅ、またお前達か?まさか、あの術をまだ使う気か?」

しかし、それが上手く効いたみたいでデルタが一歩後ろに下がる。


「別にくらいたければそれでもいいよ。ただ、まだ調子わるそうだし、今度にするな。」

俺たちはその隙をついて逃げ出すことに成功した。


「待て、ここで逃げられると今代の魔王に合わせる顔がない。今度は負けん。」

そうして腕を十字にクロスしてポーズを決める。そのふざけたポーズに反して、彼の纏う威圧感が俺の動きを止める。それどころか、息すらマトモに出来なくなってしまった。


「宮下さん、ディアッレーラだ。」

それでも、なんとか宮下さんにお願いすると、


「ちょっと待て。卑怯だぞ。正々堂々と戦え。」

デルタはそんな無茶振りをする。

こんなムキムキの魔族に勝てるわけないだろ。

前回も死にかけたし。


「いや、ダメだ。まだ腹痛になって貰うぞ。重ねがけすると苦しさは2倍ではなくて2乗だぞ?本当に耐えれるのか?」

取り敢えず脅すだけ脅し尽くすしかない。


「あっ、俺様、ちょっと急用を思い出したぜ。そう言えばおつかいを頼まれてたんだった」

お前どう見てもおつかいを頼まれる風貌はしていないだろ?


デルタは見え透いた嘘をついた挙句、尻尾を巻いて逃げて行った。


もちろん、俺たちもデルタを真似て村から逃げ出した。


「…生き延びたな。なんか俺たち、運とハッタリで乗り切ってる気がするのは気のせいか?」

思わず言葉に出たが、俺たち2人は戦闘には向いていないんだよな。このままで大丈夫か?


「気のせいな訳ないでしょ。でも、私は橋本が無事で嬉し…私が無事で嬉しいわ」



「いや、おかしいだろ?態々言い直さなくてもウソでも俺が無事でよかったと言ってくれても良いんだよ」

たぶん、これってツンデレなんだと思うけど、

宮下さんは素直にデレてくれないので全然嬉しくないな。


「俺は宮下さんが無事で嬉しいな。実際、同級生でも死んだ奴もいるしな。ホントに嬉しいよ」

俺はツンデレではないので宮下さんに素直に自分の気持ちを伝えると、彼女の瞳から涙がツゥーッと流れ落ちた。


えっ?なんで?

なんてことは思わなかった。


彼女は彼女で張り詰めていたのだろう。

俺は彼女をそっと抱きしめて彼女の涙が止まるのを待った。


その態度はまるでイケメンみたいで何とも言えない気分になったが、なんとか我慢していると、ヌマホが震えた。



『旦那様、浮気してる?』

そして、そのメッセージを見た途端俺の顔から血の気が引いた。


えっ?監視されている?

いや、どちらにしてもこのシチュエーションはマズイ。


「あれ?ど、ど、何処かから見てる?いや、抱き合ってるけど、これは浮気じゃないから。ホントにホントだから。凛、信じてくれないかな?俺って正直に言うと全然モテないし、釣り合わないかもしれないけど。出来ればこの関係を続けていきたいと思う。ダメかな?」

なんとかメッセージを作って凛にすぐ送った。


しかし、返事がない。



『離婚ってどうすればいいか分からないけど、リヴさんに聞いてみるよ٩( 'ω' )و(いつも迷惑ばっかりかけてるから)頑張ってみる(o^^o)

あっ、今男の人待たせてるからまた後でメッセージするからね。』

やけに楽しそうな離婚宣言のメッセージが来たので俺は膝から崩れ落ちた。

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