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初めてのロ‥‥なんとか

先々歩いて行くけるべろすに付いていくと洞窟の様なものの前で止まった。

俺を見て『ワンッ』と吠えると尻尾を振っていた。まさかと思うけど、『褒めろ』ってこと?

近づいて俺が頭を撫でようとしたら、けるべろすは俺が近づいたと同じぶんだけ後ろに下がった。


あれ?俺の勘違いだったか?

しかし、ある意味勘違いではなかったらしい。


今度は宮下さんが近づき、頭を撫でると更に尻尾を振るスピードが早くなり『クゥン』とか甘えた声を出していた。


「よしよし、良い子ね。うーん、可愛いわ。

橋本なんかに勿体無いよね。ウチの子になる?」

なんて言うとけるべろすはコクコク頷いていた。うん、コイツ人間の言葉分かってるだろ?


とはいえ、けるべろすの正体を暴いている余裕はなく、俺たちは洞窟に入る。と、中にネットの人が居た。


うーん、名前が思い出せない。

ネットの人ってなんて名前の人だっけ?


「ネットくん、なんでこんなとこにいるんだよ?」


「‥ケンタだよ。元クラスメイトなのに覚えてないの?」

ケンタ?そんなクリスマスを連想させるような名前だっけ?



「なんで、俺がイジメられてるのに無関心だった奴のことを覚えておかないといけないんだよ?」

なんだろ?胸の中にモヤのようなモノが広がっていくようなそんな感じがした。


「あー、まぁ、そうかもな。悪かった。悪いついでに言わせてもらうと勇者隊の仲間を助けてくれないか?みんな祠の魔神に支配されてしまったんだ。」

‥胸の中のモヤにドス黒い色が宿った。


「そんな態度で俺が力を貸すとでも?せめて土下座くらいはしてくれないと」

感情が自分の言うことを聞いてくれず、ひどく冷たい口調で俺はそんなことを口にしていた。



「そうだよな、、」

ネットはそう言うと土下座をしようとした。

しかし、そこに宮下さんが止めに入った。



「ちょっと、、橋本、、やり過ぎよ。一体どうしたのよ?」


「やり過ぎ?どこが?‥‥100歩譲って、前世のイジメのことを水に流したとして、それで、今度は俺に助けてくれってのはムシがよすぎると聞こえるのは俺だけなのか?宮下さんは俺の器が小さいって言いたいのか?」

‥仲間と離れて心細い所に昔のイジメられたことを思い出して妙に攻撃的になってしまっていたのかもしれない。


「でも、私のことも助けてくれたわよね。」

宮下さんがいい事を思い付いたかのような様子でそう言ったけど、


「宮下さんは俺と同じで奴らに切り捨てられたからね、俺は見捨てたりなんかしないよ」

宮下さんが切り捨てられていなければ彼女を助けたりすることはなかったし、この世界でも俺を裏切った勇者隊の奴らに復讐したいとすら思ってしまっただろうな。


イオリ

エリシス

アヤ

コトハさん

‥忘れてた、トモヤもだったよ。


まぁ、今は仲間が大事だ。

過去のことなんかにガラにもなくマジになってなんか恥ずかしい。

たぶん、仲間にこういう自分の姿を見られなくてホッとしている自分が居たりする。


この2人を口封じ、、じゃなかった、口止めしたい。しかし、下手に言い訳する程こういうものは広がってしまうものだよな。


「悪かった、ネットくん。俺が感情的になり過ぎた。でも、俺は勇者隊を助けないよ。俺は仲間が大事だから、仲間を危険に晒すようなことはするつもりはない。力になれなくてごめんな。」

俺は頭を下げた。


「いや、俺もよく考えると都合が良すぎたかも。俺はバカだよ。レンに言われて何も疑問に思わなかったんだからな。」

ネット君は頭こそ下げなかったがその表情からは悔恨に満ちた表情ではなく、、、

『やっべ〜、俺やらかしちゃった?』って表情をしているあたりがまだ学生気分が抜け切っていない証拠だ。


ネット君、よくここまで無事で生きてこられたよな。


「ネット君これからオツキ村に行くからそこまでならついてきていいよ。」

俺はなるべく明るい声でネット君に声をかけた。


「あぁ、そうだよな。ありがとう橋本君。その後は俺1人で何か頑張ってみるよ。」

ネット君はそう言って頭をかきながらも、真顔で俺を見つめる。


こいつはこいつで仲間思いなのかもしれないな。まぁ、俺には関係ないけど。


そうして、結局3人で山越えすることになった。



「ところで、宮下さんと橋本君の2人旅なんだね?俺が居るけど気にしないで2人でイチャイャしてもいいよ。」

山越え中にネット君がいきなりそんな事を言い出した。


「ケンタ、何言ってんのよ。私は橋本のことなんてぜんっぜん好きなんじゃないからね。」


「お〜、リアルツンデレ、初めて見た。」


「あのな、、、ネット君。君は宮下さんの新スキルを知らないからそんな事を言ってられるんだよ」

下痢にされたらどうするんだよ?


「スキル?彼女のスキルは『魔獣支配』だろ?知ってるよ。それより、いい加減名前で呼んでくれたりしないかな?」

ネット君はあいも変わらず馴れ馴れしくそんなことを言うのだ。


「違う、そんなチャチなスキルじゃない。」

俺はネット君の肩を掴んで力説した。

もし、ダイニングとかで話しているシチュエーションなら確実に机をバンバン叩いて力説していただろう。


「‥橋本、、どういうこと?もしかしてデュアルスキル持ちなのか?」

この世界の用語は横文字が多いよな、俺もどこかのミスターみたいに横文字使いまくろうかな?


「そうだ、しかも魔獣支配なんて比べ物にならない恐ろしいスキルなんだよ。宮下さんを絶対に怒らせたらダメだ。」



「お、おぅ。わかった、最善を尽くしてみるよ。」

俺の真剣さが伝わったのかネット君は縦にブンブン顔を振ったかと思うと宮下さんをチラ見しながらそんな事を言っていた。


「ところで、出発しないのか?」

ネット君はそう言うが


「いや、少し休んでから出発したい。とにかく動きっぱなしだったからな」


「いや、俺の立場でこんなこと言えた義理では無いんだけど、レン達が無事な内になんとかたどり着きたいんだ。」

確かに言えた義理ではないがネット君の気持ちも分かるので俺はオッケーだった。だから、宮下さんに顔を向けると彼女は無言で頷いた。




山道を登ること1時間はたっただろうか?

まったく会話がなくて気詰まりするんだけど。


いくら俺が話しかけなくとも元クラスメイトなんだから宮下さんとネット君だって話くらいするだろうと思っていたが甘かった。


こいつら仲悪かったんだっけ?


「宮下さん、宮下さん、ネット君とあまり仲良くないのか?」


「えっ?なんでそんなこと聞くの?もしかして気になるのかしら?」


「あぁ、きになるよ。」

これから少しとは言え一緒に旅をする仲間がこんな状態だどやっぱり気になる。



「ふぅん、気になるんだ?そうね、特別に教えてあげるわ。あの男、さっきからチラチラとイヤラシイ目で私をみてくるのよ。」


「えっ?それは本当なの?」


「当たり前じゃない。女の子っていうのは男の人のそういう視線に敏感なものなのよ。」

やっべ〜、思わず宮下さんの胸に視線を走らせるところだったよ。それにしても腑に落ちないな。彼女をイヤラシイ目で見る男なんて居るのか?

可愛いとは思うけど、なんというか胸のあたりが寂しいというかなんというか。


???

あっ、そういう事か?

すっかり失念していたよ。

ネット君、彼も立派な勇者隊の一員だったんだよな?


確か勇者隊のメンバーは皆『イオリを狙っている』って話だったからね。

つまりは全員『ロ』から始まり『ン』で終わる不治の病に侵されているということか?


そう言えば、ヤマトは俺を狙っているとか言っていたよな?なら、ネット君が俺を狙っている可能性だってあるかもしれない‥‥思わず全身に寒気が走ったが、それなら宮下さんをイヤラシイ目では見ないだろう。


とにかく、こんなに切羽詰まった状況だ。

風紀を乱すわけにはいかない。


「ネット君、ちょっと2人で内密な話があるんだけどいいかな?」


「いいけど、どうしたんだ?」


「あんまり女の子をイヤラシイ目で見ない方がいいぞ、そういうのって女の子は気づいてるものだからな。」


「???はぁ???意味がわからないんだけど。俺がいつイヤラシイ目で女の子を見たんだよ?ってこの場で女の子って宮下さんだけだよな?嘘だろ?もしかして俺、ロリコンの疑いをかけられてるのか?俺の巨乳好きは有名かと思ってたんだけど。」

‥なぜか急に熱く語り出し、聞きたくもない秘密を暴露してくれたりネット君。それにしても、宮下さんの言うことを真に受けた俺が馬鹿だったよ。


「ところでこれは興味本位で聞きたいんだけど、アヤとかどう思う?」

アヤの名前を出したのはアレだ‥‥胸の自己主張が激しいからなんだけど。


「走ってる姿とか揺れ揺れで最高だとおもうぜ」

親指を立てて爽やかに答えるネット君に殺意が湧いた。

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