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初めてのパーティ登録

エリシスのパーティ登録を済ませた後に問題が発生した。


「なんでイオリは冒険者登録出来ないんだよ。おかしいだろ?」

俺は感情のままに職員を怒鳴りつけた。


「いえ、彼女、ノリン病にかかってますので冒険者にはなれませんよ。」

しかし、こういったことは慣れているのか、三つ編み眼鏡の職員が特に表情も変えず冷静に答える。


「だ、か、ら、なんでノリン病にかかってたら冒険者になれないんだよ?」

俺は思わず机をバンバン叩いていた。

なんで、イオリばっかりこんな目に合わなければならないんだよ。


「そう言われても、ノリン病の方はそもそもお店などにもほとんど入れませんから冒険者ギルドが特別おかしいわけではないんですよ。」

それでもさすがというべきか、職員は丁寧に説明してくれていた。


「いや、、でも、、おかしい、、だ「ごめんなさい、私はいいですからまずは簡単な依頼でも受けて連携の確認でもしましょうねと思うよ。ほんとに私は気にしてないと思うし。」

俺が尚も食い下がろうとするも、イオリが横から口を挟み諦めるように促した。

それでも俺は納得いかなかった。


「‥‥あ、でも、やっぱりおかし「リーダー、そこまでにしておいたほうがいい。益々イオリ殿の立場が悪くなるだけではないかな?」

尚も、俺は反論しようとするが、周りをみると俺達に冷たい視線が注がれている。


俺にだけ注がれているのであれば特に気にならないのだが、一番多く視線が集まっているのはやはりイオリだった。さっきまで俺の頭に集まっていた熱が一気に氷点下まで冷える、、、余計なお世話ってやつだったんだな、、、


「ご、ごめん、イオリ。何か依頼さがすか?」

イオリに悪いことをしてしまった。それでどうしても嫌な空気を入れ替えたくなったので、皆で手頃な依頼を受けて気分を一新することにした。


「リーダー、これなんてどうだろう?」

エリシスがオススメを教えてくれた。

火トカゲの討伐依頼と書いてある。


「あー、火トカゲか?危なくないか?」

正直エリシス以外は戦力にならないのであまり無理したくはなかった。


「リーダー知らないのか?火トカゲは赤いだけで火は吐かないんだ」

じゃあ赤トカゲでいいんじゃないか?

干物にしたら精力剤とかになりそうなイメージだな。

今夜は寝かせねぇぜ、エリシス、、、とか?


「じゃあ、この依頼でいこうか?イオリもこれでいいか?」

俺はイオリに同意をもとめたが、、、


「私の意見は聞かなくてもいいって何回も言ってると思うよ。」

俺の言うことに従うって意味合いなんだろうけど、

それってどうなんだよ?


「うーん、イオリは奴隷だけど別に何かを矯正するつもりはないからね。」

奴隷とか実は良くわかってはいないんだよな。

日本にはそんな制度なかったし、要は人権無視だろ?奴隷にいいイメージは無いしな。


まぁ、エリシスが奴隷だったら『服を脱げ』とか言ってしまいそうな気がするけど、、、それはそれで俺がどうなんだって話だよ。


「変わった主従関係なんだな。まあ、依頼はこれでいいか。」

そして、そのままエリシスは依頼書をギルド職員のところに持っていって手続きしてくれた。




「ところでイオリ殿の装備はそれでいいのか?」

依頼を受けてギルドを出たところで、今気付いたのかそう尋ねるエリシス。


「あっ、私はただの荷物持ちなので全然問題ないと思うよ。」


「えっ?イオリ殿はそんなに魔力があるのに本当にただの荷物持ちなのかい?」

エリシスは目を丸くして驚いている。

そんな姿も美人だ。


「えっ、あっ、あの、、えーと、私は魔力は強いんですけど魔法は‥‥‥病気で‥‥‥」

イオリは言い淀む。


「‥‥すまなかった。ノリン病の影響なのだな。」

そして、聞いたエリシスの表情が曇ってしまった。


「気にしないで下さいエリシスさん」

それを見たイオリは努めて明るい表情でなんでもない事のように振る舞う。本当によく出来た娘だよなぁ。


「エリシス???鑑定のスキルの効果か?」

暗い雰囲気を変えたくて、なんで魔力の数値がわかったのかエリシスに聞いてみると、


「鑑定??いや、パーティ同士はステータスが見えるのだからそれを見ただけなのだが。」

エリシスがそう答えるので、2人のステータスを見てみる。



名前.エリシス

職業 冒険者

状態 普通

レベル37

生命力153

体力 162

筋力 127

敏捷 175

耐久力 104

知力 112

魔力 60

運 63

スキル 五段突き 耐異常 狂人化バーサーク

所属 無名

所持 乙女心




名前.イオリ

職業 奴隷(所持者 シンヤ)

状態 ノリン病

レベル 22

生命力41

体力 42

筋力 37

敏捷 91

耐久力 40

知力 145

魔力 382

運 35

スキル カルテット

所属 シンヤ

所持 無し


なんだこれ?

ふたりとも俺より遥かに強いんですけど。


ちなみに俺のステータスは

名前.シンヤ

職業 冒険者

状態 普通

レベル3

生命力30

体力 20

筋力 1.9

敏捷 25

耐久力 18

知力 5

魔力 1

運 3100

スキル ダーツ召喚

所属 無

所持 最強の美少女嫁、神具スヌホ



そのまま、エリシスの案内で町外れの森の入り口に着いた。エリシスの話ではどうやらこの辺りが火トカゲの出現ポイントらしかった。

しかし、残念なことにホーンラビットが2匹現れた。


「エリシス、頼む」

「任せてくれ」

俺が指示するとエリシスがホーンラビットと向かい合う。

そこでエリシスは一旦深呼吸を行う。

そして、次の瞬間ホーンラビットが1匹絶命した。


それを見たもう1匹のホーンラビットが逃げ始めたが、エリシスが短刀を投擲して命中。

そのあと悠々とトドメを刺してしまった。


「す、すごいと思います。私が知っている冒険者の100倍の速さで魔獣を仕留めたと思うの」

え〜〜、エリシスは確かに強かった。


しかし、それより何よりイオリのまさかの裏切り発言に驚いた。


「いや、全くもって大したことなどないよ。ホーンラビットは雑魚中の雑魚なんだ。そんなものを倒しても誇れるものでもないよ。」

事も無げにそう答えるエリシス。


しかし、意図せず俺がディスられているが、発言したエリシスに全く悪気はないんだろうな、、、彼女の性格は一言で言うと真面目だ。


「ま、ま、ま、まぁ、そ、そ、そうだよな?ところで火トカゲはホーンラビットよりはちょっと強い感じなの?」

俺は冷静を装って会話を繋いだ。

全く装えなかったけど、、、


「まぁ、手強くはないですね。リーダーや私なら相手にはならないレベルなのだからね」

エリシスは本当にそう信じて発言しているようだが、そんな態度に俺はますますプレッシャーを感じてしまい、逃げ出したい衝動に駆られた。


「そ、そ、そ、そうだな‥‥‥そう言えば俺、お花を摘みに行かないと」

あれ?俺は動揺のあまり走って逃げてしまっていた。

おかしい、こんなハズじゃぁ、、


そこにタイミングの悪い事にヴゥーッ、ヴゥーッ、ヴゥーッ。

スマホのバイブが鳴る。


メッセージが来た。

どうやら凛からのようだ。

『さっきはありがとうね。お陰で食事も宿も取れたよ(*^_^*)』

「よかったね、ちゃんとしたとこ泊まれそうで」


『うん、それにしても旦那様は天才だよね。女神様にお願いして神とペンも用意してくれたし、ほんとにありがとう』


「いや、言われるほどのことはしてないんだけど。でも、つぎはどうするかだよね。俺は冒険者になって稼いで東に向かっていく予定なんだけど凛はどうする?」


『実は、私も最初から冒険者になるつもりだったんだよ♪( ´▽`)気が合うね。これでも私、強いみたいだし。』


「そういえば最強の美少女嫁だったよな、凛って。でも、何か困ったことがあったら何でも聞いてきてもいいからな。」


『ありがとね。ごめんね、頼ってばっかりで。私、強くなったから色々頼られると思ってたけどこういう所はまだまだ弱いままだね。( ; _ ; )』


「ん?なんで謝るんだ?俺は嫁に頼られて嬉しいとおもってるんだからもっとどんどん頼って俺を嬉しくさせてくれ」


『ふふふっ、旦那様は面白い人だよね( ^ω^ )』


「シンヤ殿?いきなりどうしたんだ?」

凛とのメッセージに夢中になり過ぎた俺は、背後からいきなりエリシスから声を掛けられて驚いた。


実は俺がメチャクチャ弱いことを正直に話すべきか?話さないか?


決断の時は迫っていた。


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