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初めてのレン回


「昨日はすまなかった。ちょっとショックなことがあり気弱になってしまったようだ。」

なぜか翌日にエリシスが俺に頭をさげてくる。


よくわからないけど、やっぱりあの時のエリシスはどうかしてたってことなんだろうか?


っぶねぇ〜、もう少しで娶るとかなんとかを間に受けるとこだった‥‥


道中、俺が余計なことを考えている間に勇者隊と別れるポイントまで来ていた。


「また、イズモンで会おう。とにかく無事でね。」

そう言ってレンと勇者隊が去っていった。


うん、また元のメンバーでの旅だな。いや、宮下さんが居るからちょっと違うかもしれない。しかし、アヤは意外と面倒見が良いのか、しきりに宮下さんに話しかけている。


エリシスはまだ調子が悪いのか少しボーッとしているし、コトハさんはしきりに頰に手を当てて何かもどかしそうに考え事をしている。

いつもと同じなのは俺にベッタリのイオリくらいか?こんなことでカモーン海峡を突破出来るのだろうか?


ちょっとマイナス思考に陥ってしまったけど、心配は杞憂に終わったようで無事にカモーン海峡の下を通るカモーン洞窟についた。




一方、レン達勇者隊は船が出航するモジモジ港に着いていた。

そして、今まさに船に乗り込もうとした時に、、、、化け物が現れた。

という話だが、あいにくレンはもう船に乗り込んで積荷の確認をしていた。

そこにカスミが飛び込んでくる。


「レン君、、、敵があらわれたよ。皆を助けて。」

カスミにしては結構長く喋ったほうだが、私は肝心なことを聞けていない。

敵とはなんだ?ということだ。

港に魔獣が乗り込んでくるなんて考えづらいし、帝国の追っ手が来ないように、ちゃんとオトリも用意してある。


とはいえ、カスミから根掘り葉堀り聞き出すのが時間がかかることは経験からよく分かっている。

ここは現場へ直行するしかないだろう。


「わかったよ。すぐ行こう。」

私がそう答えるとカスミが目に見えてホッとした顔をした。いやいや、まだ何も解決していないんだけど。ちょっと私を頼り過ぎなんじゃないかと思う時が屡々ある。


そして、カスミの案内で現場に赴くと、眼前にはバフォメットのような姿をした敵に蹂躙されている仲間達が居た。

話に聞いていた冒険者狩りの特徴と一致する。

警戒しなくては。


そのまま、カスミが叫ぶ

「ブリザード」

敵の足元が凍る。


しかし、その頃にはすでに敵はそこにはおらず、カスミの目の前にきてそのままカスミを殴りつけようとした。


「アースシールド」

しかし、カイトが叫んだと思ったらカスミの眼前に鉄板が出現し、敵の拳を見事防いでいる。


敵の動きが一瞬とまったのを好機と見たケンタが『ネット』を出し敵を捕まえようとするが、、敵はスピードゼロからトップスピードまでが瞬く間すら与えない規格外の加速を見せたかと思うと、あっさりネットをかわした。


しかも、敵は気付いた時にはカスミの眼前まで移動してきており、そのままカスミのボディに重い一撃が入った。彼女はそのまま意識を手放したようで前のめりに力なく倒れ込んだ。


敵はそのまま歩みを止めることはなく、今度はカイトの方に向かった。そこにリョースケが立ちはだかる。しかし、何故かリョースケはあっさりかわされて敵はそのままカイトの顔面に肘を入れた。カイトは吹き飛んでいく。


そこでようやくヤマトが立ちはだかった。

すぐにヤマトが敵の胴を横薙ぎに斬りつける。

しかし、既に敵は低い姿勢で屈んでおり、その剣撃は敵の髪の毛を数本切り裂いただけだった。

その後、ヤマトは剣を引き、再度屈んだ敵への追撃をしようとしたに違いない。


しかし、既に遅かった。

敵は屈んだ時には既にヤマトの足を払っていた。


体勢を崩しかけたヤマトはなんとか足を踏ん張り踏み止まったが、このロスで既に勝負は決まっていた。

次の瞬間にはヤマトの顎にアッパー気味の敵の掌底が決まっていた。


そのままヤマトは崩れ落ちる。

ヤマトがあっさりやられたことに動揺した他のメンバーの動きが止まる。


その動きを見逃さない敵は、ケンタとリョースケをたて続けに殴りつけた。


まずいな、私以外全滅だ。

まだ、1分も経っていないんだけどね。

さすが噂に違わない実力者だ。


しかし、ヤられても尚立ちあがった者がいた。

ヤマトだ。

強さにムラが大きいヤマトだが、一応曲がりなりにも勇者隊の最強戦力だ。


そのまま戦いを続けるが、その彼が相手のバフォメットのような化け物相手に全く動きがついていけない。


それこそ当たれば倒せるかもしれないが、ヤマトの攻撃が当たるよりヤマトがやられてしまう方が確実に早いだろう。


また、敵はそのガタイに見合うだけの攻撃力を持っているようで、敵の拳を小手で防いだヤマトが苦痛に顔をゆがめている。そんな様子を見ているとヤマトが勝つ確率は万が一にもないだろう。


しかし、私のやる事は決まっている。

スキル《天空の瞳》を発動する。

しかし、相手の動きが早すぎてスキルがうまく作動しない。


とにかく警戒されない位置まで近づいて様子をみる。皆のすがるような目線が痛いけど、このメンバーは皆私に頼り過ぎだとホントに思う。


私に頼らず動いていたメンバーを意図的に排除した結果といえば自業自得だとは言えるけどね。


橋本のパーティとは正反対だな。


一応橋本が指示を出しているが、あそこのパーティは基本的には全員自分の判断で戦闘をこなしている。


「私は人を育てるのには向いてないかもな」

思わず独り言が漏れるが、音量が小さかったから誰にも聞こえていないだろう。


そして、1分もすればヤマトと敵の決着がついた。予想どおりヤマトがうつ伏せで床に倒れている。

そして、敵は棒立ちだ。


今しかない。『天空の瞳』



名前.カエデ

職業 奇術師

レベル74

生命力178

体力 189

筋力 96

敏捷 302

耐久力 111

知力 228

魔力 201

運 90

スキル 重力操作 幻影魔術

所属 無


もちろん、私のスキルは只の鑑定の強化版だ。

私のスキルは『全てを見通す目』とか言われるけど相手の心理なんてスキルで読めるわけがない。

私の頭脳でそう見せかけているだけだ。

コトハあたりには私の演技はバレてそうだけど。



なるほどね。予想どおり異世界人って訳か?

だとしたら戦うまでもないな。



「ふぅ〜ん、やっぱり人間だったんだね。それも女の子か?ワザワザそんな姿に変身して人を襲う女の子の気が知れないね。ちょっと大人しくしていれば君の、、ウゥッ、、君の、、探し、、び、、」

話している途中に首に圧力がかかり、話せなくなったが、どうやら圧力をかけるのはやめてくれたようだ。『重力操作』やっかいな能力だな。まあ、それでもなんとかする自信はある。

ミッションを2つクリアするだけだしね。



こちらに興味を惹く作戦は成功か?

ミッション1クリア。

後、ミッションは1つ。


彼女は次に懐から紙を取り出した。

目の前には頭が3つで手が5本。なぜか足が一本しかない異形の化け物の絵が書いてある。その下に『この人を探しています』と

やけに達筆な字で書いてある。


なんだこれ?これ本当に人なのか?

なんだか禍々しく見える。




『天空の瞳』使用。


『シンヤの似顔絵

説明

楓が描いたシンヤの似顔絵

禍々しく見えるが愛情がこもっている。

愛情がこもり過ぎて時々似顔絵の中のシンヤの髪の毛が伸びたりもする。

効果 なし』




‥アレの関係者か?なんでアレの関係者はこうキャラが濃い奴等が多いんだろう。

当初は知ったかぶりして、会話術で煙に巻く予定だったが、そうする必要も無くなったな。


ともかくミッション2もクリアだ。


「あー、橋本シンヤ君だね。居場所が知りたいのかい?教えてあげなくもないけど」


私は完全に優位に立った。

このまま情報を渡してしまうのもつまらないし、何か要求すべきか?

「教えたらコレあげるけど。」

彼女はそう言って首飾りを私の前に持ってくる。


『天空の瞳』使用。


『絶対的守護者

説明&効果

どんな攻撃でも一度は完全に防げる。発動には《プラエフェクトゥス》という言葉を唱える必要がある。』


うん、まあ、かなり良いものだ。

ちょっと彼女の橋本くんに対する想いが重すぎるし、これ以上要求すると火傷どころが全焼しそうだ。


ここまでにしておくか?


「わかった、これで手を打つよ。彼はカモーントンネルに居るよ。見失わないように早く行った方がいい。」

私がそう言うと彼女は凄まじいスピードで去っていった。


嘘を教えるべきだったか?

彼女のチカラがあれば橋本クン達が助かる目が出てくるかもしれない。


計算違いだ。


彼等には勇者隊として、、追っ手と共に全滅してもらうつもりだったんだけどな。

これで私達が帝国からは縁を切れるというシナリオが彼女によって書き換わってしまうかもしれない。



もし、失敗した場合に向けて次の策の検討に入るとするか!


それはともかく、、


「皆、大丈夫だったかいっ?敵は追い払ったから安心してくれていいよ。あと、怪我人は街にいる治癒士に診てもらうから私について来てくれるかい?ともかく、みんなよく頑張ったね。」


私は勇者隊の下僕なかまに安心させるように作り笑顔で微笑んだ。

すみません。シリアス回です。レンパーティはそういう要因がいないので。その代わり、1話から60話ぶりの楓登場です。

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