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初めての冒険者ギルド

せめて次の話まではガマンいただければ、話が展開しますのでよろしくお願いします。

俺は店を出ると85枚の金貨の内、20枚をイオリに渡す。これで、やっと命を助けて貰ったお礼を返せたな。


「案内しただけで金貨20枚って、、、あなたはバカと思うよ」

しかし、イオリはそう言って泣き始めた。


えっ、えっ、、?なんで?泣いてるの?


道端でオンナノコを泣かせていると目立つ。


それがフードを被った怪しいオンナノコだと尚も目立つ。何人かの通行人が足を止めて俺たちを見物し始めた。


俺も野次馬の立場ならポップコーン片手に男女の修羅場を見学しているところだけど、まさか見られる側になるなんて、、、、、、、、

そうだ見物料をとれば、、、、



ダメだ。話を戻そう。

そもそも、女の子に泣かれたことなんて生まれて一回もないからどうすればいいかまったくわからない。


妹の楓は泣く専門ではなくて泣かせる専門だったからなぁ〜。

ふと前世を思い出し懐かしくなる。


イオリを一生懸命宥めること1時間、泣き止んだ彼女と食事をすることにした。

それぐらいしかオンナノコの機嫌の取り方を知らなかっただけなんだけど。



入った食堂はドワーフが店主で、厨房がカウンター式になっていて作っている様子も見える安心設計だ。

店内も綺麗に清掃されていて、後は味がうまけれは最高なんだけどな。


二人とも店長オススメのビーフシチュー定食を頼んだ。

しばらくして、シチューが出てきたのでスプーンですくって口に運ぶ。


⚪︎×△〜〜〜なんだこれはぁ?

芳醇な旨味が口の中に広がっていく。


そして中に入っている肉がトロトロで目の前にイオリが居るのに、気が付けば無我夢中でスープを啜っていた。


「あはは〜、いい食べっぷりだと思うよ。

ここは私のオススメなんだけど、こんな格好だしなかなか来れないんだよね。それにお金もないから。」

俺の食べっぷりにイオリも少し機嫌が良くなったようだ。


「もしかして‥‥‥結構高いのか?金貨3枚とか?」

そういえば値段を聞いてなかった‥これだけうまいんだ、それくらいしてもおかしくない。


「‥‥‥さっきから気になっていたんだけど、兄さんお金の価値がわかってるのかな?と思うよ。例えば露店で売ってる黒パンの相場ってどれくらいかわかる?」


「‥‥‥黒パン?銀貨5枚くらいか?」

良くわからないけどそれくらいかな?


「バカなのか?と思うよ。答えは銅貨3枚ってとこと思うよ。」

安いっ、そんなにか?


「銅貨が100枚で銀貨なのか?そして銀貨が100枚で金貨?」


「‥‥その通りなんだけどと思うよ。今更聞かれるとは思わなかったと思うよ。

もしかして、シンヤさんが住んでたのって貨幣じゃなくて物々交換で成り立っている村だったのかな?」


「そうそう、よくわかったね。」

俺は適当に話を合わせた。

俺はなんとなく円でまとめてみた。

銅貨1枚40円

銀貨1枚4,000円

金貨1枚40万円ってとこか?

あ〜〜、なるほど金貨を20枚って800万円か?

あー、なんてことしてしまったんだ?

今更返してとか格好悪くて言えない。


というか、スライムエンブレムはどんだけ高価なんだよ。割といい家が買えるレベルなんじゃないのか?

金貨返してもらえる‥かな?


「あー、あの?イオリさん‥‥お話しが‥‥「兄さん、たべおわったら私の用事に付き合ってもらうと思うよ。」

会計は二人分で銅貨35枚だったからかなりリーズナブルなお店だったんだろう。

とりあえず、また今度来てみよう。


そこからはイオリについていったのだが、着いたのは‥‥‥‥‥最初のお店だった‥‥‥


あれ?これ?無限にループしたりしないよな?

それとも時間が巻き戻った?タイムリープ?



「ドラム様、お願いがあるのですがこの方が私を買いたいというので奴隷商を呼んできて金貨20枚で奴隷売買契約をしていいでしょうか?」

イオリは店の中に入るなり、さっきの店員に向かって懇願する。


「おいおい、ラッキーボーイ、わかってんのか?こいつはノリン病にかかっているんだぞ。俺も買ってからわかったんだがな。

あっ、これは親切で言っているんじゃないぞ。実はノリン病にかかった奴隷を売る時は最初に告知して、相手の了承を得てから売らないと犯罪になってしまうんでな。」

ドラムはイオリの方を見ず、俺に説明を始める。


「ノリン病は女はどうやってかかってしまうのかは分かっていないが、大体かかってから5年で死んでしまう上に、男がかかると数日で死んでしまう。

オトコがかかるのはノリン病にかかったオンナとまぁ、なんだ、そういうことをしたらかかるんだがな。」


「大丈夫ですよね?兄さん」

といいながら金貨の入った袋を指差すイオリ。自分で払うということだろう。

『いや、それ、俺、返してもらう気マンマンなんだけどね。』とか言える雰囲気じゃない、、、


ひどい目にでもあっているのだろうか?

しょ、、しょ、、、しょうがないか、、、ここは乗っておくしかないんだろうな、、、


「そんなことは気にしないから早く契約をしよう」

俺は諦めてそう言った。


「そうか?俺はこんな不良在庫みたいな奴を買うとは物好きもいたもんだな」

ドラムは笑みさえ浮かべて賛成の意を表した。

俺はドラムに殺意さえ湧いたがとにかく取引が終わるまでは我慢だ。

終わったら《右ストレートでぶっ飛ば》してやる。


それから、奴隷商人を呼んであっさり契約は終わってしまった。これで俺はイオリの主人になった。

まさか、人生で初彼女が出来る前に初奴隷が出来るなんてな、、、さすがに想像はつかなかったな。

この調子で今度はハーレムとか出来たらいいんだけどな。


「ほんとによかったのか?イオリは?自由になるって手もあっただろ?」

契約がおわって街中に出てから俺は尋ねた。


「いいえ、シンヤさんについて行くって決めたと思うよ。でも、ごめんね、そういうことはしてあげられないんだけど」


「いや、そういうのは期待してないからな。ところでイオリは体調は大丈夫なものなの?」

5年で死ぬとか言ってなかったっけ?


「大丈夫だよ、病になって4年だけどあと1年はガンガン働いて恩をかえすと思うよ」

いや、あと1年って、、、それに


「いやいや、恩とかないからね。」

むしろイオリが命の恩人だったりする。


ヴゥーッ、ヴゥーッ、ヴゥーッ。

その時、スマホのバイブが鳴る。

表示をみると「あなたの女神アリア」と表示されている。


「もしもし、アリア?どうした?」


「そろそろシンヤさんが私の声が聞きたくてたまらなくなってきているんじゃないかなぁ〜って思って。」

『思う』って言葉はもうイオリでお腹いっぱいだよ。


「いやぁ、そうですね。そう言えば凛へのお金の援助ありがとう。実は、もう1個お願いがあるんだけど、、、、」

そうだ、アリアに相談してみよう。困った時の女神様だ。


「もう、相変わらず仕方がない人ですねぇ。どうしたんですか?」

アリアはシンヤを気遣うような心配した声色だ。

彼女は慈愛の女神か何かなのかな?


「奴隷のオンナノコがノリン病にかかっているみたいなんだ。直す方法はないのかな?」


「うーーーん、、、、、普通の方法では思い浮かびませんね。」


「普通でない方法だったらなんとかなるのか?」

縋るような気持ちで話の続きを促す。


「超お金持ちならエリクサーを服用すれば治ります」

エリクサーか?

金さえ集めればなんとかなるってことか?



「あっ、そう言えば聞いてなかったけどエリクサーって幾らくらいするんだ?」


「確か市場では金貨200枚とかいわれてますね。そんな大金を用意するのはかなり難しいとは思いますけど。」

あれ?意外と安い?



「あと二個スライムエンブレム手に入れれば手に入るな。」



「えっ?持ってるんですか?スライムエンブレム?」

なぜか驚いた声色のアリアに質問されたよ。


「あ、1個売ったから一個持ってるよ。」


「滅多に手に入らないはずなんですけど、、、、頑張ってください。」

滅多に手に入らない?

何かと勘違いしてるんじゃないかな?


「ありがとう、すぐやってみるよ。」

アリアはこの世界では今の所俺の一番の味方だよな。

とにかく、これからの方針は決まった。

まずは、スライム退治だ。


「おまたせ、とりあえず宿を探したあと、またスライム退治がしたいんだけどイオリはいいかな?」


「一々奴隷にそんなお伺いみたいのはたてなくてもいいと思うよ。」


「いや、これからパーティを組んでいく仲間なんだから了解とるのは当たり前でしょ?」

うん、奴隷とかよく分からないしな。

仲間でいいや、仲間。


「??シンヤさん、もしかして冒険者になるつもり??あんなに弱いと思うのに」

イオリは相変わらずフードを目深にかぶっているので表情は見えないがどうやら驚いているようだ。


「いや、異世界といったら冒険‥じゃなくて、イオリは冒険イヤか?」

イオリがイヤならお留守番しててもらわないといけない。それなら、最低、荷物持ちは雇わないとな。

俺のステータスでは荷物を持つ余力はないんだよな。

せいぜい持てるのは棒だけだからな、、、



「イヤじゃないんだけど、私は弱いから出来るのはサポート系だけですよ。この二人で冒険者になるのは自殺行為だと思うよ。」

おっ、荷物は持ってくれるのか?

でも、自分より年下の女の子に荷物持ちさせるって、世間的にみたらかなりダメオトコだよな?


「自殺行為かあ〜?せめて街の周りで一回ためしてみない?考えをあらためるかもしれないよ?」

自殺行為とか言われて俺はムキになって街の外に出ようとしたが、


「ごめんなさい、言い過ぎたと思うよ。せめて装備を整えてからのほうがいいと思うよ。」

これは止められないと思ったのか、イオリの方が折れて妥協案を提案してくれた。


「そか、何がいるかな?」


「武器とか防具とか回復薬とかだと思うよ」

イオリが即答したところをみると、それらは当たり前のことなんだろうな?でも、具体的には何を買っていいかわからない。

女の子と服屋さんに行った時の女の子の「これ?似合うと思う?」という質問の答えくらい分からないよ。


「出来れば案内して欲しいんだけどいいかな?」


「わかったと思うよ。でも、私は店の前で待っていると思うよ」


「えっ?一緒に選んで欲しかったんだけどなぁ」


「ごめんなさい、私はノリン病なのであまり店の方はいいように見ないのです。」

イオリが若干俯きがちでそう答えた。


「そうか、すまないな。辛いこと言わせて」


「いえ、いいですよ。もう4年ですのでなんとも思ってませんと思うよ。

それより、こちらこそごめんなさい。取り敢えず、防具は革鎧、革の脛当て、革の肘当て、兜はヤミの革製にして下さい。軽くて丈夫ですよ。

剣は一般的な鋼鉄剣が切れ味が良くていいですよ。

後は初級回復薬10、毒消し5くらい買っておいてください。」

イオリはスラスラと俺にアドバイスしてくれたが、


「あの、イオリさん。鋼鉄剣とか振り回せるの?意外と怪力なんだね?」

イオリの小さなカラダにそんなチカラが眠っていたとは?かなり意外だった。そういう種族なんだろうか?

例えばドワーフとか?


「何を言っていると思うの?鋼鉄剣はシンヤ様が使うと思うよ。」

呆れたようにイオリが言う。


「‥‥‥ごめん、俺は武器はこの丈夫な棒しか装備できないんだ。」

そうだよな?こんな高校生男子(引きこもり中)が、ただの棒しか持てないとはイオリも思わないよな。

実は金貨すらちょっと重く感じているくらいだ。


「他の武器を装備できない?

呪いの武器?悪魔が作った武器の中にそういったものがあると聞いたことがあると思うよ。そういえばそこはかとなく禍々しい気がしてきたと思うよ」

イオリは俺の唯一の武器をマジマジと見ながら感想を告げる。


「‥‥‥いや、詳しいな。でも、違うからな。筋力が少なすぎて棒しか持てないんだ。」

それに、これ女神作なんだけど、、、そこはかとなく禍々しい?


「えっ?ウソ?それで本当に冒険者になるつもりなのかと思うよ」

イオリがフード越しでも驚いているのがわかるくらい驚いていた。



「いや、あの、ほんとにごめん、攻撃力は後々考えるから」

うん、かなり無茶言ってる気がしてきた、、、


「‥‥‥‥うん、、、なにがあっても私が守るから。

あっ、防具屋に着いたから買ってきてと思うよ。」


そして、防具屋、道具屋を回って装備を整えると、俺たちはそのまま街を出て魔獣を探し始めた。


するとほどなくホーンラビットを見つけた。

本当にウサギくらいの大きさしかないので

腕試しにはちょうどいいか。


背後から丈夫な棒を振り下ろす。振り下ろす。振り下ろす‥‥‥効いていない。

ホーンラビットが突撃してくる。

グホッ、腹に一撃もらい思わず昼間食べたシチューをリバースしそうだったわ‥‥

作戦変更!取り敢えず守りを固めて耐えるぞ。


1時間後‥‥穴にハマったホーンラビットをひたすら棒で殴ってホーンラビットを倒した。


「‥‥‥雑魚中の雑魚だったんですが、まさかこんなに死闘になるなんて‥‥‥世界は広いと思うよ」

と言いながらイオリが遠い目をしていた。


「そんなにほめるなよ、イオリ。照れるよ」

俺は照れてアタマをかいていた。


「‥‥皮肉だったんだけど、、、絶対仲間が必要だと思うよ。」

イオリは呆れていた。

うん、さすがに俺も皮肉なのはわかってたけど、、、


あまりにハッキリイオリが言うし、パーティメンバーを探すしかないか。まだ、異世界に来て初日で死にたくはないしな。

というか、全然チートじゃないんだが、、、

どういうことなんだろうな?


「イオリは冒険者ギルドの場所とかわかるのかな?」


「わかりますよ。そしてまずは登録と思うよ。」

俺の質問にイオリは即答した。

さすが、イオリはなんでも知っている。



イオリの案内で冒険者ギルドの前に着いた。

目の前には西洋の洋館を思わせる建物の門が開放されている状態だった。


門の上側には剣がバッテンになった如何にも冒険者ギルドらしいエンブレムが有り、俺はそれをマジマジと見つめていた。


あれと比べるとスライムエンブレムってのは みすぼらしく見えるよなぁ。何しろ子供の落書きにしか見えない印象だし。


あれか?ピカソ?

あれも確かにわからないもんな。

その価値をしらなかったら100円でも買わないわ。


俺がそういうどうでもいいことを考えながらギルドに入っていくと、何かにつまずいたのか前のめりに倒れそうになった。


「あっ」

イオリが気づいた時には遅かった。


俺はちょうど向かいから歩いてきた知らない女性の胸にダイブし、そのまま押し倒してしまっていた。


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