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初めてのお使いIN 異世界

スライムに囲まれている。

かなりマズイ状況だよな。


とりあえずアリアに教わったように防御に専念することにしているけど、盾は持ってないのでスライムの攻撃を棒でなんとか防いでいる。


しかし、相手は五体もいるから段々捌ききれずになってきた。それに俺の息はすでに上がっていてハァハァ言っており、俺の体力が尽きるのが先か?

俺の命運が尽きるのが先か?

と言ったところだった。


しかし、奴らは空気を読んでくれたりはしない。

前からも後ろからも休む事なくスライムアタックが続いていた。



だから、多少の怪我には目を瞑って一つ一つ冷静に対処して直撃を避けていくしかない。

ここは忍耐勝負だ。

キレて攻撃に転じると間違いなくやられてしまう。


それに観察してみると気付けることもある。


スライムの攻撃はスライムアタックしかないようだ。

それに、攻撃パターンも4パターンしかない。

いくら俺が弱いって言ってもこれなら持ちこたえられる。


さぁ、かかってこいよ、雑魚ども。




‥‥‥‥どうしよう?


既に戦い始めてかなり経っているのだけど、今回は誰も猟師の罠にかからない。

スライムの数は全く減っていかないし、致命傷じゃないにしても俺にも傷が増えてきた。


ちゃんと急所は避けつつ、結構な時間持ちこたえているんだけどそろそろ限界を迎えそうだ。



そして、とうとう俺が諦めて全身から力を抜いた。

しかし、そのタイミングで不思議な事が起こった。

急に周りにモクモク煙が立ち込めたと思ったら視界がほぼゼロになってしまった。


予想もつかない出来事に俺はそのまま棒立ちになってしまったが、誰かにその手を引かれそのまま駆けていく。


煙から抜けると俺の手を引いている人の姿が見えた。

体格は小柄。地味なフードとマントを付けていて顔は良く見えない。


しかし、その人物は煙から抜けても止まることなく駆けていく。それからしばらく駆けたところで、ようやくその人物はようやく止まった。


一旦俺の手を放したその人物は俺に向かって右手を差し出した。


俺は反射的にその手を握って握手する。

この握手はナイスランを讃えあう意味でも込められてるのか?


しかし、そうではなかったらしい。

相手はバッと手を離して

「握手じゃないんだよ。お、か、ね、命の恩人なんだから有り金全部でもいいと思うよ」

あ〜、助けた報酬が欲しかったのか?

というか想像と違い可愛い声をしていた。

女の子だったの?


「あの、ありがとうございます。申し訳ないんですがお金は少しも持ってないんです。」

命の恩人だし、何か渡した方がいいよな?

でも、本当に何も持ってないので正直に答えた。


「え〜〜〜、ウソでしょ?」

命の恩人は不満を露わにしていた。

どうやらお礼目当てで俺を助けてくれたみたいだ。


「ごめんなさい。」

俺は素直に頭を下げたが


「ごめんなさいで済んだら警備隊はいらないんだと思うよ。」

命の恩人の感情は次第に不満を通り越して怒りの領域に突入していた。だけど、可愛い声の女の子に怒られてるせいか全然怖くなかったよ。


これがよく言われる《我々の業界ではご褒美》ってやつなのか?


「だよね。でも今持っているのはこれくらいなんだ」

俺はそう言ってスライムエンブレムを差し出すが、


「こ、これはスライムエンブレム?ほ、ホンモノ?」

何故か女の子は物凄く驚いている?正直、こんなもの出してご褒‥怒られるかと思ったのに。


「だとおもうよ。スライムからドロップした奴だし」


「うーん、、、イオリは鑑定持ってないから街で鑑定してもらうといいと思うよ。そして、それを売った中からイオリにお礼をくれればいいと思うよ。」

えっ、こんなものを買ってくれる人が居るのか?


「お、そうか?ホンモノなら価値がありそうなの?」

期待値が高まってきたよ。


「イオリの知り合いにそういうの詳しいのがいるからその人に売ったほうが安全だと思うよ。」

お、お店の人まで紹介してくれるのか?

この娘ってばアリアより女神っぽい。


「そっかありがとう。イオリさんは親切なんだよね。あっ、その人はどこにいるの?」


「レビデンブルクって、お前もそっからきたんじゃないかと思うよ?」

うーん、いやぁな質問頂きました。

さすがに異世界から来たとか言えないよな?

なんとなく隠した方がいい気がする。


「いや、ここから南から来たんだよ」

だから、俺はウソをついた。



「そうなの?じゃあ一緒にレビデンブルクにいくと思うよ。ここから3時間も歩けば着くと思うよ。」

3時間かぁ?長いよな、、、まぁ、死ぬか歩くかの二択だから、まぁ、我慢するしかない。


「分かった。頼むよ。」


そう言ってイオリの案内でレビデンブルクに着いた。


戦闘?

そんなものはイオリのお陰で全て逃げきれたよ。





目の前にレビデンブルクの門が見えてきた。ちゃんと城壁に囲まれた立派な街だ。

あと五分くらいで着くかなぁ〜と気を抜いた時にヴゥーッ、ヴゥーッ、ヴゥーッ。

スマホのバイブが鳴る。


メッセージが来た。どうやら凛からのようだ。

『お金はアリア様に頂いていたんだけど、買い物の仕方がわからないよ』

???どういうことだ???


俺がイオリの言葉がわかるってことは恐らく言葉は通じる筈だよな。

お金の単位がわからなくてもお金を出してみればいいんじゃないか?


いや、貨幣は各地域で流通しているものが違うのか?そして、両替が必要なのか?

そもそも両替できないのか?

それならわかるけど。


「買い物ができないってどういうこと?貨幣が各地域でちがうとか?両替も出来ないの?」


『違うよ。買い物ってどうやってすればいいのか分からないの。(/ _ ; )』


??えっ?どういうこと??

《買い物》ってもしかして、なにかの暗喩かなにかだろうか?


「買い物ってなに?」

我ながら字面だけでみるとアタマがおかしい質問をしてしまったが、たぶんこの質問で合ってるよな?


『食べ物、その他の物を買うことだよ( ^ω^ )』

あれ?そのままの意味だったね。

もしかしてだけど、買い物経験ないのか?


「前の世界で買い物したことないの?」

俺はそんなことないだろうと思いながらも尋ねた。


『無いよー(´Д` )』

なんだと???どういうことだ???

以下のどちらかか?


1.前の世界では超お金持ちだったので買い物なんてすることはなかった。

2.凄く厳しい家庭で、買い食いとかは許されない環境だった。


どちらにしても問題だ。

何しろ『初めてのお使いIN異世界。』状態だからなんてアドバイスするべきなのかなぁ?


「店員さんと買いたい物に関して会話のキャッチボールとかできないんだよね?あれ?その前に知らない人と会話したり出来る?」

さっき会った時の凛の様子を思い出して不安になった俺はこんな質問をした。


『で、出来ないよぉ〜(/ _ ; )』

俺とも会話はまともに出来てなかったしな、、、


だったら‥‥‥


返信したところで門の前に着いた。

しかし、俺には身分証がないということで一悶着あった。


「なんでないんだと思うよ。」

イオリが信じられないという感情を口調ににじませながら驚きを露わにする。


「すまない。南の田舎町から来たのでそんなものはなかったんだ。」


「はぁ、まぁ、諦めたと思うの。ちょっと門番さん」

イオリは小さなため息をついた後、門番に近づき小声で話し始める。

そして、門番と小さな扉に入っていったと思うと、すぐ戻ってきた。


「終わったと思うの。後で冒険者ギルドに行って冒険者カードを作るといいと思うよ。」


「ありがとう、色々迷惑かけてるな。

冒険者ギルド‥‥あるんだ。」

うん、初めて異世界で会った人がイオリさんで良かったよ。


「いいえ、お礼は期待していると思うよ。

冒険者ギルド、あるよ。でも、依頼をうけるとしたらお兄さんは弱いから雑用系か採取系にしときなと思うよ。」

ちゃんとアドバイスしてくれるのあたり、結構いい人なんだろうなイオリさんは。

でも、せっかくの異世界だし。冒険はしてみたいよな


そんなこんなでやっと異世界で初めての街レビデンブルクに入ることが出来た。





ほぅっ、すごい街だな。人の他に獣人やエルフやホビット等も普通にいるよ。特撮とか特殊メイクとかじゃないんだよな?


ズーッと見てても飽きない。


でも、ゆっくりしてる暇はないんだよなぁ。

なにしろ、お金がないと宿にも止まれないのでイオリの案内でスライムとエンブレムを鑑定して貰えるという彼女の知り合いの店に来た。


来たのだけど‥‥


店内はまるで倉庫のようだった。


「らっしゃ〜い。あれ?なんだゴキブリかと思ったらイオリか?何の用だ?ちゃんとカネヅ‥‥‥お客さん連れてきたんだろうな?」

カネヅ?何言おうとしたんだ?


「お客さん連れてきたと思うよ。と言っても売りたい方なんだけど。珍しいもの持ってるんだよこの人」

俺の代わりに店員にイオリが説明してくれた。


「なんだ珍しい物って。」

そこではじめて俺を真正面から見据えて店員は尋ねた。


「店員さん、初めましてシンヤといいますけどこれを売りたくてイオリさんから紹介を頂きました。」

俺にできる限りの丁寧な言葉を使い挨拶した後、スライムエンブレムを見せる。


「なに〜〜、これ、スライムエンブレムじゃないか?こんなものどこで手に入れたんだ?金持ちのボンボンか?」

店員は本当に驚いているようだった。

もしかして銀貨?いや、金貨くらい貰えるか?


「店員さん、どう見ても俺は金持ちには見えないでしょ?スライムからドロップしたんですよ」


「なるほどな、ラッキーボーイか?まぁ、いい。買い取ってやる。金貨5枚だ。」


「うそ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」

そんなに貰えるのか?

俺は店員の言葉に驚いて思わず絶句した。


しかし、店員はその沈黙を不服と受け取ったのか

「あはは〜、ウソだよウソ、そんなわけないよな、金貨30枚でどうだ?」


「え〜〜〜〜〜〜?」

金貨5枚でも驚いたのに30枚だって?この世界はどうなってるんだ?


スライム倒せば大金持ちじゃないか。


その言葉をまたまた不服と受け取ったのか


「悪い悪い、間違えたわ金貨85枚だったわ」

店員さんは金額を訂正した。


あれ?なにかしらないけどすごく値上がりしたな。

計算間違えでもしてたのかな?



俺は完全に勘違いしていた。


一つ目、スライムエンブレムは滅多にドロップしないこと。


二つ目、知らず、知らずの内に交渉していたがそれでも正規買取相場は金貨120枚ということ。


それでも知らぬが仏で、十分なカネが入った俺は大喜びだった。

せめて次の次の話まで読んでくれたら多少盛り上がりますよ。

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