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初めてのチョーヤバい

「一旦、作戦タイムだ。皆んな集まってくれ。」

俺のその言葉にエリシス、イオリ、アヤ、コトハが俺の周りに集まってくる。


「シンヤ殿、やはり貴方の武器が無くなったことの相談かな?」

相変わらずエリシスは察しがいい。本当にいいオンナだ。


「エリシス、重さが5までの武器をもっていないだろうか?他の四人でもいいんだけど。」


「ウチは持ってないなぁ、コトハは?」

アヤがコトハさんに問いかけると、


「私はコレならありますけど」

コトハさんはカバンから小さなナイフを出す。


「コレ?これ、果物ナイフじゃない?」

マジマジとみるとただの果物ナイフに見える。


「そうだよ、私だと思って大事に使ってね。」

コトハはそう言って俺に渡した後に投げキッス。やっぱり、あざとい、、、


「いや、でも壊しちゃうかもしれないからな。」

普段使いしている物を貰っても困るよな。余っている物とかドロップ品ならよかったんだけど。


「いいよ、物はいつか壊れちゃうんだよ。それなら壊れる前に誰かの役に立てた方がいいと思う。」

‥‥割と本気かどうかわからないやりとりが多かったコトハだったが、この言葉は俺ですら感情を揺り動かされる言葉だった。


続いてアヤが補足する。

「コトハ不器用やから果物ナイフ全然つかわれへんもんなぁ、こないだもリンゴむいてたら芯だけになってたしなぁ、リンゴさんが可哀想やったなぁ」

‥‥コトハさん、、、果物ナイフはある意味

不用品だったんじゃ、、、俺の感動を返せ!



「すまない、私はもっていないな。」

一番期待していたエリシスは持っていないようだ。


「イオリは持ってます。はいっ、シンヤ様」

イオリはそう言って金属製のショートソードを俺に渡す。さすがイオリ、奴隷ってのはここまで出来ないと一流になれないものなのか?


おっ、持てるぞ、ただこの赤茶色の金属は銅よりも鉄のサビにさらに近い。一体、何で出来てるの?


「イオリ、この金属は何って言う金属なんだ?」


「チョーヤバい金属だと思うの」

いきなりイオリが一昔前のギャルのような言葉を喋り出した。


あれ?いつの間にこんな言葉遣いに?

お父さん心配だよ。



「あっ、そうじゃなくて金属自体の名前とかわからないの?」

叱ると嫌われるかなぁ?とか考えたわけではないけど、イオリを叱るのはやめて、ちゃんとした説明を促した。

いや、本当は嫌われるのやだなぁとか思ってるけどな


「チョーヤバい金属だと思うよ」

あれ?やっぱり言葉遣い注意した方がいいのかな?

そのうち《ギガが減る》とかギャル語ばっかり使ったりしたらちょっと泣けるよ。


「イオリ、頼むから普通に喋ってくれない?」


「イオリは普通に喋ってると思うの」

えっ?イオリって実はいつもの喋り方が普通じゃないのか?


「イオリ?俺の前にいる時といない時では態度が違うのか?そういうのは同性には凄く嫌われるって聞いたことがあるぞ」

ここはしっかり保護者代わりである(と勝手に思っている)俺が教えてあげないといけないしな。


「‥‥‥‥?シンヤ様‥‥‥疲れてるの?」

イオリが俺のおでこに自分のおでこを当てて、熱がないか確かめている。

確かに女の子にこんなことされるのはドキドキなシチュエーションだけど、そもそもイオリはそういうことを意識した様子はない。


それに、まったく会話のキャッチボールが出来ている気がししない‥‥なんなんだ?俺はショートソードに使われている金属が何かを聞いただけなのに。


一瞬落ち込みかけたけどようやく違和感に気付いた。

仲間の内エリシスだけがハラハラドキドキ俺とイオリの様子を伺っているが、アヤは爆笑している。

コトハさんは一生懸命笑いを堪えているように見えた。


あ〜〜、そういうことか?

謎は全て解けたよ。


「イオリ、その金属の名付け親は転移者だったんじゃないか?」


「そうだと思うよ。確かA級冒険者のカワバタという人だったと思うの。」

あー、そのカワバタという冒険者はなんてネーミングセンスの持ち主だよ。


、、、この金属そのものの名前が《チョーヤバい金属》だなんて、、、バカだろ?

それに、ほんとに紛らわしいじゃろ、、、



なんかどっと疲れたよ。


まぁ、気をとりなおして戦うか?

そう思ってるとベビベビベアーが2匹出てきた。


「イオリとアヤは一体を倒して。俺とエリシスはもう一体の相手をする」

俺が指示するや否や、ベビベビベアーの頭が爆発した。


イヤイヤ、イオリさん、早すぎだって。魔法名すら言ってなかったよ。


「エクリクシス」

今頃魔法名が聞こえてきた。

魔法名が、、、遅れて、、、聞こえて、、、くるよ、、、

って、どっかの腹話術じゃねーか?



気をとりなおして、エリシスと2人でベビベビベアーとの距離を詰める。すると、ベビベビベアーは俺に突撃してきた。


野生動物は弱った獲物を本能で嗅ぎ分けるとか言うよな、、、だから、俺が狙われて‥‥

いや、、落ち込むなよ、戦闘中だからな、、、


俺は目に涙を貯めてベビベビベアーを迎え撃つことにした。


ベビベビベアーは跳躍し、右手を振りかぶっている。間違いなく爪で斬撃浴びせるつもり、そして俺にやられて罪で懺悔降り積もり♫、、ダメだ、、俺にラップの才能はないわ。


結局、斬撃に合わせてカウンターを取ることが出来たので、ベアーの背中から剣が生えていた。


うお〜〜、一撃とか初めてだよ。

もしかして、本当にチョーヤバい金属なのかもしれないな。

この際、《一撃必殺金属》とか名付けるか?

もしくはチョーカッコイイ金属とか?


そんなことを考えていると、ショートソードがポキッと折れた!


えっ?え〜?

ウソ?

俺のチョーヤバい短剣が、、、


「チョーヤバい金属は、よく折れると思うの。気にすることないの。ハイッ。」

しかし、この事態は織り込み済みだったみたいだ。

イオリは俺を慰めながら新しいショートソードを渡してくれる。

よく見るとイオリが背負っている袋に10本以上入っていた。


まさかの使い捨てだったのか?

愛着を持ち始めてたのに、、、


落ち込む俺に声をかける人がいた。


「橋本、相変わらず愚図なのね。」

振り返ると勇者隊の宮下玲奈が居た。

恐らく俺を虐めた主犯格って言えばもっと分かりやすいかもしれないな、、、



つづく

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