初めてのトラウマ
ごめんなさい、熱ででちょっと誤字脱字あるかもです。
か、可愛い。
けど‥‥
どうする?
突然召喚された、けるべろすにみんなが気を取られている。何しろカワイイんだよな。
スキル『ラックゾーン』が効いている間にヤマトに近付くか?
ソロリソロリと背後から近付く。
しかし、あっさり気づいたヤマトが前方に跳躍する。失敗か‥。
ヤマトが着地した側にけるべろすがちょこんと座って居たけど、さすがにけるべろすは何も出来ないだろうなぁ。
けるべろすが再び口を開けた。
しかし、今度は可愛い声が出てきたわけではなく、舌が出てきた。
舌をペロペロだしてヤマトの脚を舐め始めたんだよ、めちゃくちゃ可愛いなコイツ。
しかしその瞬間、なぜかヤマトはビクッとしたかと思うと後ろに下がり始めた。
「なんだよ?あれ?」
けるべろすがヤマトに何らかの攻撃を仕掛けたのか?
尚も、ヤマトに近寄るけるべろす。後退りしながら逃げるヤマト。本当に意味がわからない。何らかの遠距離攻撃をしている訳ではないように見える。なら、何故?こんな状況になっているんだ?
しかし、疑問を口に出すのも恥ずかしい。
もしかしたら、分からないのは俺だけだったらイヤだし。
「やっぱりそうなるか、、、」
レンが誰に聞かせるともなく呟いた。
やはりレンには何らかの攻撃が見えているのかな?
でも、やっぱり何も見えないんだよな。
それに今のレンの言葉に首を傾げている人も居た。
見えているのはレンだけか?
もしかして、精神攻撃なのか?
あー、それは目に見えないよな。
「アヤ、けるべろすはヤマトにどんな攻撃してるかわかるか?」
「へ〜、けるべろすってゆうんやぁ?カワイイなぁ。いいなぁ、ウチ『ケルちゃん』飼いたいわぁ」
アヤは俺の質問に全く答えず、けるべろすに夢中だった。
なんだよ?せっかく攻撃手段がわかったから自慢したかったのに。
アヤに自慢するのは諦めて、今度はエリシスに近寄り彼女に声をかける。
「エリシス。けるべろすがヤマトにどんな攻撃をしているかわかるか?」
「あー、まぁ、想像はつくのだが、、、それにしてもよく知っていたものだな、召喚魔法を使えることも驚いたが手段が割とエゲツない。」
エリシスは騎士だから精神攻撃はエゲツなく感じるんだろう。それにしても、エリシスも分かってたみたいだからやっぱり自慢できないよなぁ。
「まぁ、今回はどうしても勝たなくちゃいけないんだよ。エリシスも思うところもあるんだろうがそこは目を瞑ってくれ」
騎士道とは割と相容れない攻撃をする俺に対してエリシスは納得はしていないだろうなぁ。
「私もその位の分別はつくつもりだ。私は私の誇りよりも私自身よりも、仲間を大事だと思っている。シンヤ殿もそうなのだろ?」
俺の懇願にエリシスは同調してくれた。
相変わらずカッコイイ台詞が似合うよな。俺が女なら抱かれてもいいと思ったよ。
さっきまでの『シンヤクンキャラ』とキャラが違いすぎてなんとも言えない気分になったのはヒミツだ。
そして話している間にもヤマトと、けるべろすの戦いが続いている。
ハッキリ言って暇だ。
ヌマホでパズルゲームでもしよっかな。
「そういえばイオリンの好きな人のタイプってどんなんなん?」
アヤがあまりに暇なのでイオリに話しかけていた。
「それはですね、シンヤ様ですね。」
「いや、そうやなくて優しい人とか、カッコイイ人とか、面白い人とかあるやん?そういうタイプのこと聞いてんねんけどなぁ〜」
「そうですね、、、、、優しくて、カッコ良くて面白いシンヤ様ですね」
「あー、結局、シンヤなんやね。まぁ、シンヤはイオリンの命の恩人やもんなぁ」
やはりどう聞いても答えはシンヤなのでアヤはこれ以上イオリのタイプを聞くのを諦めた。
「ところでそういうアヤ殿はどんな男性がタイプなのだ?」
そう言ってポップコーン片手に寄ってきたエリシス。
「エリシス?そのポップコーンどないしたん?」
「いや、勇者隊の一人が売りに回ってたんだよ。ほら、これを食べながら見ている人達がチラホラいるだろう?飲み物も買ってきたし歓談しようではないか。」
よく見てみるとエリシスのもう一方の手はオレンジ色の液体の入ったコップを器用に3つ持っていた。
「エリちゃん、やるやるとは聞いてたけどここまでとは思わへんかったよ。さすがエリちゃんやなぁ〜。ところでエリちゃんの好きなタイプはどんな人なん?」
「そうだな、、、、うーーん、、普段は頼りない感じだがいざという時は頼りになる、仲間想いのオトコだな。でも、あんまり自己犠牲には走って欲しくはないのだけど」
エリシスは目線は一点を見つめながら答えた。
目線の先にはスヌホでパズルゲームに勤しむバカ男が居た。
「ふーん、何処かで見たことあるような人やなぁ。」
「コホンッ、、アヤ殿、タイプがだからな。特定の人物を表しているのではないよ。それに、私には夢がある。それを叶えるまではそういうことにうつつを抜かしている余裕はないのだよ。」
アヤと目を合わせたら真実を見抜かれてしまうとでも思ったのか、エリシスは目を逸らしながら答えたが、最後は思わぬ方向で話が締められた。
‥等とアヤ達は完全に女子トークに夢中になっていたが、まだ決闘は続いている。
追う、けるべろす。逃げるヤマト。このパターンが始まって5分。いよいよ勝負が決まりそうになっていた。
尻餅をつくように転んでしまったヤマトの上に、けるべろすが乗っかると、ヤマトが叫んだ。
「か、か、噛まないで、お願いだ。ま、参った俺の負けだ。」
とうとうヤマトが降参してしまった。
ん?あれ?精神攻撃ではなく、幻覚でも見せる魔法を使っていたのか?全然噛むそぶりなんてなかったんだけど。
「よしっ、勝ったな。おいで〜けるべろす」
呼ぶと、けるべろすはトコトコっと寄ってくる。尻尾はピーンと上を向いていて左右に振れている。ものすごくご機嫌のようだ。
小さな勇者の凱旋にパーティーメンバーは皆微笑ましげな表情で、けるべろすを見ている。
俺の前に到着したけるべろすは俺の脚を舐めるが、特に変化はない‥‥‥あれ?光に包まれて消えたりしないの?
まぁ、その内消えるか。
それより、勝ったんだから宣言しないと
「俺たちの勝ちだ。霧島、望むものってのはどの程度叶えられるんだ?」
「残念ながら私たちの負けだよ。まさか、ヤマトのトラウマをピンポイントで抉る策でくるとは思わなかったな。割と情に脆い印象だったのだけど、意外とエゲツないんだね。まぁ、私達で叶えられる範囲なら断るつもりはないよ」
‥あれ?何か噛み合ってない気がするんだけど。
この違和感はなんなんだ?
そういえば、エリシスもエゲツないとかいってたんだが?まっ、今は置いといて。
「うーん、ちょっと考えさせて貰ってもいい?勝った時のこと考えてなかったわ。」
レンに正直に答えた。
「‥‥まったく、、、悉く私の予想を外してくれるな、君は。まぁ、いいよ。ゆっくり考えるといい。」
「ありがとう。皆んな、ちょっと集まれ。」
イオリ、エリシス、アヤが俺のまわりに寄ってくる。
「どないしたん?」
アヤが代表して質問してきた。
「勇者隊に何を要求すればいいかと思って、みんなに要望を聞きたいと思って。」
皆んなの要望が無かったら『勇者隊は俺たちに関わらないこと』にしようと思うけどな。
「私は特に無いな。」
「イオリもシンヤ様にお任せします」
「ウチはコトハもこのパーティに入れたいと思ってるんよ。」
アヤには希望があったみたいだ。まぁ、仲良かったみたいだし。
「コトハさんの気持ちもあるから相談してみたら?」
そう言って別室で2人で相談してもらった。
その間手持ち無沙汰になった俺も別室に、エリシスとアヤも俺とは違う部屋に案内されて休憩している。
そして、部屋で休んでいる俺の部屋のドアにノックの音が響いた。ドアを開けるとレンが一人で立っていた。
中に入れて椅子を勧めると、レンが椅子に座り話し掛けてくる。
「橋本クン、取り敢えず勝利おめでとう。
君は面白いな、まさかヤマトのトラウマを抉りにくるとはね。私くらいしか知らないと思ってたんだけど。」
「えっ?トラウマ?あー、俺も詳しくは知らないんだけど、学園生活でそういった兆候が見られた出来事があったんでな。しかし、なんであんなトラウマが?」
《トラウマ?なんだそれ?》って言いたかったけど、バカにされたくなかったので知ったかぶりをした。
「そんなことあったかな?まぁ、いいか。
犬恐怖症なんてヤマトらしくない可愛らしいトラウマだよね。
確か幼稚園の年長の時に子犬に酷く噛まれたらしいよ。」
えっ?そうなの?あっ、それであんな状態だったんだ。ということは、けるべろすは普通の犬だったのか。
「まぁ、俺もあんまり気が進まなかったんだけど仲間の人生を背負ってたからね。手段を選んでられなかったんだよ」
こんな感じでいいかな?全てを見透す目で全部バレたりしてないだろうな?
「‥それはいいんだけどね。逆に私は君が気に入ったんだよ。出来れば勇者隊に加入して欲しいのだけれどもどうかな?」
「悪い、霧島に対して思うところはないんだけど、俺は仲間や俺のしたいことの枷になるような組織に入るわけにはいかない。」
ど直球の勧誘で悪い気はしなかったが、もともと加入するつもりはなかったので即答する。
「あー、そういうことなのか。私としてはクラスの皆んなを守りたくて勇者隊を結成したのだけど」
あれ?レンってそんなキャラだっけ?
「あの、悪意 を感じたら悪いんだけどちょっと聞いていいかな?」
「橋本クン、何かな?」
「霧島はそんなに面倒見がいいキャラだったっけ?」
さすがにレンの目を見ては話せず、少し目を逸らしながら尋ねた。
「‥なるほど、、、まぁ、仕方がないですね。君が虐められていた時、私は何もしなかったし、正直気にしてもいなかったのだからね」
「いや、別に人気者に助けて欲しかったわけじゃないしな。でも、霧島は皆んなをひっくるめて助けるキャラでもなかったと思うんだけどな」
「‥‥勇者隊を作る前にはクラスメイトを三人も失ってしまった。私が上手くやれば一人も死なせずにすんだんだよ。」
レンの綺麗な瞳は伏せられていたが、その瞳には確かに哀しみの色が湛えられていた。
以前のレンはもうちょっと王子様キャラだったよなぁ。良くも悪くも、自分とその他大勢の人って認識で捉えていたと思う。
クラスメイトの死で何か変化があったんだろうか?
「‥‥悪かったよ、嫌なことを思い出させて。でも、加入はやめておくよ。俺のパーティは自由に動かさせて貰うよ。何しろ、ウチのパーティは抜けるのも自由だからな。彼女達を縛る気はないんだよな」
そう、凛に会いたいのは俺だけで、イオリは恩を感じて、エリシスは生来の面倒見の良さで、アヤは、、、よくわからないけどそれぞれの理由で付いて行ってくれてるんだ。
余計なものを背負わせる訳には行かないんだよなぁ。
「そうか?まぁ、仕方がないかもしれないな。まぁ、それでコトハまで引き抜かれるのは辛いのだけれども」
レンは彼には似つかわしくない皮肉げな笑みを浮かべてそう言った。
あれ?そこまでバレてんの?
やっぱりこの人には勝てる気がしないんだよな。
なんだよ『真実を見透す目』って反則だろ。
「まぁ、それは本人の意思に任せるんだから俺を責められてもなぁ」
「フフフッ、これでも心労が多いんだ。少し位八つ当たりさせて貰っても良いんじゃないか?」
レンは今度は割と屈託の無い笑顔で笑った。
「あー、意外といい性格してんのな?これを見越して俺と他のパーティの部屋を分けたのか?
イオリとか居たら今頃大惨事になっていたところだぞ」
「そういえば、あの少女は何者なんだ?スキルは破格で魔力値も高い。あのエクリクシスという合成魔法もかなりの威力だ。彼女は間違いなく‥‥‥」
そこでレンが言い淀む。
「間違いなく、なんなんだ?」
「間違いなく‥‥‥転移者だ」
レンは俺の目を正面に見据えてそう言った。
やや、シリアス回‥‥です。




