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初めてのネコミミ

「なんだったのだ、今のは?」

エリシスが目を丸くして驚いている。


「あー、まぁ、青春ってやつだ。放っておいてあげような、エリシス」

うん、まぁ、奴を庇う気持ちなんてさらさら無いんだけど、俺も死体蹴りはさすがに気がひけるわ。

俺があの立場だったりしたら今頃は号泣してるな。


「‥‥どないしたんやろ?お腹いたくなったんかな?」

アヤは見当外れの事を言っていたよ。

レイジがなんか不憫に思えてきたな。


「‥‥そうか。とにかく勇者隊について情報収集するか?あと、依頼はまだ受けないけど一応依頼もチェックしておこう。」


今の時間は昼過ぎで、ギルド内は閑散としている。

その為、ギルド職員も手の空いている人が多く見うけられる。その中で頭の良さそうなセミロングの眼鏡職員さんに目を向けると、なんと頭にネコ耳が乗っているじゃないか。

お〜〜、触りたい、触っていいかな?

触っていいよな?


そして、手を伸ばしかけたところで

「シンヤ殿、何をしようとしているんだ?」

ハッ?俺は何しようとしていた?エリシスが止めなければ間違いなくあのネコ耳をナデナデしていた、、、


もしかして、あのネコ耳に 魅了チャームの魔術でもかかっているのか??


「やっぱり男の子はネコ耳好きなんやなぁ?ヤマトも使用人のネコ耳メイドに夢中やわぁ」

げっ、あの脳筋野郎と同じか?勘弁してくれよ。

ヤマトはシンヤをとにかく虐め抜いた性格の悪いオトコだ。虐め方は陰湿ではなく暴力的なところがイマドキではない奴なんだけど。


「職員さん、驚かせてすみませんでした。私は7級冒険者のシンヤというんですけど。まだまだ初心者なので色々教えていただけないでしょうか?」

俺に耳を触られそうになってビクビクしているネコ耳職員さんに精一杯の営業スマイルで話しかける。

もちろん、0円だ。


‥‥ダメだ、

効果がない、、、怯えてしまっている。


「ごめんなぁ、職員さん。ビックリしたんやんなぁ?後でお仕置きしとくから許してくれへんかなぁ?」


「いえ、こ、こ、こちらこそ取り乱してすみませんでした。ところで何をお聞きになりたいんですか?」

アヤの宥めに少し持ち直した職員があらためて質問してくれた。


「えーとなぁ、色々教えて欲しいねんけど別室とかで話されへんかなぁ?今は割と職員さんも時間あると思うねんなぁ、おねがいできひん?」

こんなんでもアヤはコミュニケーション能力が高いんだよなぁ。誰とでも仲良くなれる。


「あー、それはこちらも料金を頂きますけどギルドからは情報は提供出来ますよ。」

そうして別室で相談することになった。

一応、護衛として男性職員も一名部屋の入り口付近に立った状態でネコ耳職員との話が始まった。


「早速やけど、魔王について教えてくれへんかなぁ?出来れば一から教えてほしいねんけど」

第一声はアヤが引き受けてくれた。


「今更そんなこと聞きたいなんて変わった方達ですね。えっと‥魔王は古より存在する魔族のボスです。魔王は代替わりがあり、現在9代目なんですよ。」


「ちょっと待ってお姉さん、魔王が代替わりするってことは魔王を倒しても意味がないんじゃない?」

思わず口を挟んでしまったけど、彼女は全身をビクリとさせて怯えてしまった。

まだ、俺に怯えてるよ。アヤに任せておけばよかったよ。


「‥‥びっくりした‥‥そ、そうですね、魔王は代替わりしますけど前魔王が死に、次の魔王が出現するまでに最低でも10年はかかります。そのため、束の間の平和が訪れるんです。その間魔獣もかなり減るんですよ」

なるほど、そしてまた魔王が生まれる‥‥というか異世界人が魔王にされるってことか?


「最低10年って前回はいつ倒されたのですか?あと、次の代の魔王ってどうやって生まれるんですか?」

一番気になるとこなんだよな。もしかしたら俺も魔王とかになってしまっても困るしなぁ。



「10年前、そしてその前は80年位前らしいですよ。魔王誕生に関しては謎と言われています。姿も文献にも口伝にも残っていませんので。」

あれ?転移者が魔王ってとこもしらないのか?それとも名前が日本人に似ているだけで俺の思い込みなのか?


「えっ?倒した勇者からとか聞けなかったの?」


「それはわかりません。何しろ前回魔王が倒された10年前は、魔王を倒した勇者も深手を負ったらしく、近くの町に着くなり息をひきとってしまったらしいのです。そして、最近魔物が多くなったし、時期から見ても魔王が現れたのでは?という噂は飛び交っているのですけどね」

ん?そういうことか?なんとなく状況はわかったけど、、、、余計に訳がわからなくなってきたなぁ。


「魔王は強いのか?転生してすぐの勇者隊が勝てるほど弱くはないとはおもうんだけど。」


「そうですね、それはわかりません。しかし、以前にも勇者隊はほぼ全滅して帰ってきたこともあったらしいです。実際、今回の勇者隊で強いのはヤマト様くらいですかね。あと、コトハ様の召喚魔法も凄いらしいですけど。

また、個人的に私が凄いと思うのはレン様ですね。何しろ全てを見通す目を持っていらっしゃるのですし。あのクールな瞳に私も見通されてみたいです。」


「えっ?そうなのか?アヤ?やっかいなスキルだな。」

レンは前の世界でもモテてたな。やっぱりイケメンは異世界でもイケメンなのか?

なんか納得いかない。


「そうやよ。知のリーダーレン君で、力のヤマト君と言われているもん。」

うわぁ、何となく厨二の匂いがプンプンするわぁ、これ以上追求したくないんだけど‥


「えっ?えっ?レン君?ヤマト君?」

ネコ耳の職員さんはアヤの方を戸惑いの視線で見つめていた。


「あっ、知り合いなんよ。2人と。」


「あっ、そういうことですか。この話し方‥‥アヤ様ですか?」

ネコ耳職員さんはようやく合点がいったらしくまっすぐアヤを見つめて問いかける。


「そうやよ。そんなに変な話し方なんかなぁ?後、ここに居るのは重要任務なんよ。ウチがここにいることはヒミツにしてなぁ」

うわぁ〜、アヤ、演技下手過ぎだろ。


「コホンッ、質問変えるけどあらわれるとしたら魔王はどこにでてくるんだ?」


「大抵出現はコナモ国と言われます。何しろ近くに魔王城があるんですよ。」

地図を出してワザワザ指差してくれる。

あっ!日本でいうと大阪だよなぁ。大体、凛と運命の再会を果たす予定の場所だ。


「あと、最後に一つなんだけど、勇者隊の選抜メンバーってのはどういうメンバーなんだ?」

どうせ知ってる奴ばかりなんだろうけど。


「レン様、ヤマト様、コトハ様、ケンタ様、カスミ様、ヒナ様、カイト様、リョースケ様ですね。」

うわ、コトハさん入ってるよ。時間が無いな。何か連絡取る方法考えないと。


大体わかったので銀貨1枚を払ってギルドを出ようとしたのだが、

「職員殿、もう一つ聞いてよろしいでしょうか?」

エリシスはそう言って宿を紹介してもらった。

さすがにこのパーティで一番しっかりしてるだけのことはあるな。

しっかり者No. 1のエリシス。

コミュニケーション能力No. 1のアヤ。

魔法及び戦力No. 1のイオリ。

えーと、、、、運No. 1の俺???



俺の方の部屋に四人が集まっている。

「二部屋か?ベットは二つづつ。なんで毎回悩むパターンなんだよ。」

思わず叫んでしまったけど、やっぱりイオリと同じ部屋になるんだろうな?


「ここはたまには配置を変えて私とシンヤ殿を同室にしては如何だろうか?」

なぜかエリシスがすごい提案をぶち込んできた。

うーん、美女と同室かぁ?

ドキドキして寝れる気がしないんだよな。


イオリは幼いからまだマシなんだけど。


「えっ?なんで?そうなると思うの。いつも通り私で良いと思うの」

イオリも自分のポジションは譲る気は無いらしい。

イオリ、頑張れぇ〜。


「ウチはあっちでいいから。後、ちょっと買い物あるから出かけてくるわぁ。」

そう言ってアヤは部屋を出て行った。

よかったぁ〜、こういう時アヤは面白がって加わってきそうだったんだけど用事あって良かったよ。


「で?どうするんだ?キャットファイトでもするか?」

冗談でそんなこと言ったら、本当にキャットファイトが始まりそうな雰囲気になったからエリシスに全力で土下座して諦めてくれるように頼んだよ。

なんとか諦めてくれた‥‥


正直、コトハさんをどうやって呼び出すか全然考えてなかったけど、久々のベットということもあり一気に眠りに落ちた。


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