初めての襲撃
俺はスヌホをポケットにしまい、空き家に戻った。
「どうだったのだ?周りに危険なものはなかったのか?」
なぜか空き家の前でエリシスが待ってくれていた。
「いや、本当に散歩に行っただけなんだけど」
どうやら俺が索敵にでも言ったと思ってたらしい。
エリシスは俺を買いかぶりすぎだろ?
「そ、そうなのか? てっきり散歩は口実かと思ってていたのだが」
気まずいと思ったのかエリシスは若干目を伏せながら話す。長い睫毛にほぼシンメトリーの容姿は相変わらず美人だ。一つ要望を言わせて貰えるなら、いつも真面目そうな顔ばかりではなく笑顔も沢山見せてくれると嬉しいんだけどね。
「‥‥ちょっと疑問に思ったことがあるんだけど聞いていいかな?」
どうせなら聞いてみたいことを聞いてみよう。
「リーダーの質問になら何にでも真摯に答えることを誓おう」
やたら仰々しい言い回しだが本人は至って真面目だ。
たぶん、ここは笑うとこじゃないんだよな?
「エリシスの中の俺ってどんなやつなんだ?」
「えっ?えっ?‥‥‥それはステキな男性だとは思うが、いきなり何なんだ?」
エリシスは顔を真っ赤にしている。
あっ、あ〜、怒ってるのか。俺が「自分を褒めろ」みたいに言ったように聞こえたのか?
どんだけナルシストだと思われてるんだよ俺は。名誉の為にもちゃんと誤解は解いておかないと。
「エリシス、そうじゃなくて、リーダーとしての俺はエリシスにはどう見えるか聞きたいんだよ。エリシスは他のパーティに居たから聞いてみたかったんだ。」
これで伝わらなかったら俺はパーティのナルシストリーダーになってしまうけど大丈夫か?
「なるほど、そういうことか?
指揮能力は並以下だな。もっともこのメンバーだと指揮が意味を成さないかもしれないが。」
結構厳しい意見が飛んできた。もうちょっとオブラートに包んで言ってくれないと俺のメンタルがもたないんだけどな。シンヤ君は褒められて伸びるタイプですよぉ。
「そっかぁ、他の点は何かない?」
せめて、なんか褒めてくれ。イケメンとかオトナの余裕があるとか。そう期待を込めて質問する。
「そうだな。人徳はあるのだろうな。パーティメンバー皆に好かれているし、金にセコくもない。」
えっ?本当に褒められたら褒められたで信じられないんだけど。
割とメンドくさい性格だな、俺。
「‥割とベタ褒めじゃない?さすがに照れるよ」
「さっきのは良い点だ。悪い点は自己犠牲が過ぎるといったところか。後はキリフダを取っておき過ぎることだな。」
「自己犠牲?」
俺ってそんなキャラだっけ?
「もしかして気付いていないのか?相手の気をひく為、ひいては勝利の為に自分の社会的信用を簡単に投げ捨てる姿は他人には中々理解されないものだぞ。もちろん、パーティメンバー皆には伝わっているのだけどな。」
何を言ってるんだ?この美人騎士は?
もしかして残念美人だったか?
しかし、このBIGウェイブに乗らない手はない。
「俺は仲間だけがわかってくれたらそれでいいんだよ。見も知らぬ他人の評判なんてネコの爪研ぎにでもくれてやれ」
決まった!!!俺、カッコよすぎるぅ。
そのままエリシスは満足気に帰っていった。
俺はそのまま悦に浸っていると急に全身に寒気が走った。
「へぇ〜〜〜、なんかカッコいいことゆってたなぁ」
悪そうな顔をしてアヤが近寄って来た。
うわぁ〜〜〜ん、さっきまでドヤ顔でイタイこと言ってた俺を、アヤは最初から見てた?
「シンヤァ〜、ウチが気付いてないとでも思ってたん?」
アヤ?まさか気付いてる?ダーツ召喚でたまたま評判を落としてしまったことまで。
アヤの頭に強い衝撃を与えれば全てが解決するかもしれない。。アリバイ工作は、、、凶器は、、、よしっ、これで完全犯罪が成立するな。
「めっちゃ悪そうな顔してるでシンヤ」
はっ、、、俺、今何考えてた?
もう少しでダークサイドに堕ちるとこだった‥‥‥
しっかし、マズイ。よりによってアヤに弱味を握られてしまった。
イオリなら弱味を見られても尚且つ甘やかせてくれそうなのに。
いや、まだ勘違いの可能性も。
確認のため、夜中にアヤを呼び出した。
「二人っきりで話したいなんてどないしたん?」
「いや、さっきの話なんだけど、アヤは俺のチカラはどれだけ知っているんだ?」
「へっ?なんなん?それ?まーいいねんけど、チカラって言われても正直良くわからへんねんよね。ウチには教えてくれへんのに‥」
はぁ?何言ってるんだ?こいつは?
「悪い、話し変えるけど何を気付いてるんだ?アヤは?」
「あー、その話なん?ウチが知ってるのはシンヤがエリシスに対してものすご〜く格好つけてるのはエリシスに気があるからってことくらいかな?」
「えっ?そうなの?」
なんだ?そんな風にとらえていたのか?ダーツ召喚はバレてないってことだな。
「あれ?違ったん?」
「あー、別に仲間としてしか見てないんだけど」
もちろん綺麗だとは思うけど、エリシスが俺に靡くとは考え辛いんだよな。美人過ぎるし、近づくといい匂いするし、、相当モテるぞエリシスは。実際、縁談話がたくさん来ていると自慢していたもんな。
「そうなん?じゃあ、あのセリフは本心からやったんや?」
うわぁ、これはやっぱり忘れてもらえないようだ。黒歴史を知られてしまった。
「ま、そうだよ」
額に嫌ぁな汗を滲ませながら答えた。
「そなんや。なんかウチの勘違いやったわ。そう考えるとちょっとカッコよかったでさっきのセリフ」
アヤは少し顔を赤くして笑顔でそう言い放った。
え〜?アヤはどんな感性してるんだよ?しかし、言い触らされたりはなさそうかな?
お陰で安心して眠ることが出来た。
「‥‥‥て‥‥‥、リ‥‥‥。」ん?なんか言ったか?
「‥きて‥‥‥、リー‥‥。」ちょっとずつ頭が覚醒してきた。
「起きてくれ、リーダー」
ああっ、エリシスか?完全に目覚めた俺ははガバッと跳ね起き‥‥痛ったぁ〜。
かなり近くで深夜を覗き込んでいたエリシスと顔をぶつけてしまった。
「っつ。大丈夫か?リーダー。早速なんだが緊急事態がおきてしまった。」
「なんだよ。緊急事態って。」
眠い目を摩りながら尋ねる。
「賊が攻めてきて現在戦闘中だ。」
「はぁ?ウソだろ?ここ村だぞ」
「そうだ、、、村に襲って来たのだ。早く行くぞ。」
そうして小屋の扉を開けた俺の目に飛び込んだものは、、、倒れる村人達に、賊は20人位は居るか?
「エリシス、イオリとアヤは何処にいる?」
2人の姿が見えない。
「今屋根の上にでるところだ。建物のなかから屋根の上に出れるようになっている。」
遠距離攻撃の二人がすぐに襲われないように屋根の上に逃がしたのか?しかし、めちゃくちゃ目立ちそうなんだけどな、屋根の上に美少女2人とか。
今更やり方を変える時間は無い。
「エリシス。俺たちはここで敵の注意をひく役目だ。俺たちはイオリとアヤの2人を守れれば目標達成だ。わかりやすいだろ?」
無理矢理笑顔を作りながらエリシスに話しかける。
「わかった。攻撃は2人に任せて私達は防御に専念すれば良いということだな。しかし、どうやって敵を引きつける?この小屋は割と村でも少し中心とは外れているのだぞ。」
それなら俺に秘策がある。
早速使うとするか。
「みんなぁ〜、ここに美女がいるぞ〜。金もある。早い者勝ちだぁ〜はやくこーい!」
俺は目一杯大きな声で叫んだ。
つづく




