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初めてのプチ修羅場

「お兄、起きて。朝だよ。」

楓が俺の耳元で騒ぐ。


「あと‥‥五分〜」


「ちょっとお兄、さっきそう言ってからもう30分たってるよ。」

俺は目を瞑っていて表情は伺えないが、楓はいつも通り呆れたような表情をしているだろう。


「‥‥‥‥‥えっ?えっ?ホントに?ち、ち、遅刻す「うっそ〜。あれから五分もたってないよ。」

そう思い、急いで飛び起きた俺はゲンナリした‥‥こうやって起こされるのは一回や二回ではないのに、俺は何でか毎回騙されてしまう。


しかし、高校に上がり俺が不登校となってからは楓は俺を無理に起こしに来ることは無かった。



あっ、寝てたのか?

少しずつ意識が覚醒してくる。

あれ?後頭部に柔らかい感触が‥‥。


目を開けると二つの膨らみ‥‥‥の後ろにオンナノコの顔があった。

えーと?誰だっけ?


「あっ橋本、気が付いたん?ホンマごめんなぁ。橋本を下敷きにしてしまったわぁ。もしかして、ウチ重かった?」


「あっ、綾崎?あぁ〜、綾崎。」

思わず胸を二度見してしまった。


「えーと、、、橋本ぉ〜、どうしたん?」

しかし、それに気づかないアヤは不思議そうな顔で俺を見つめている。


「えっ?‥‥‥えっ?‥‥綾崎の顔に見とれてたにきまってるだろ?暫く見ないウチに更に綺麗になったな。」

とりあえずノーブラの胸を凝視していたとはバレたくないので誤魔化すことにした。


「えっ?えっ?何言ってんのん?橋本〜冗談やろ?」

綾崎が胡散臭そうな目でこちらを見下げている。ちなみに俺はまだ膝枕されながら綾崎と話している。


幼馴染をそういう目で見ていたと思われるのはやはり気まずい。なので、ここは強気で押し切る方がいいような気がしてきた。


しかし、その時俺の背中に悪寒が走った。

野生の勘という奴だ。

それで、やっと今の状況を理解した。


ま、マズイ‥‥‥‥今、綾崎と二人っきりじゃなかった‥‥‥


2人を見つめている目が4つ。

もちろん、イオリとエリシスだ。

ま、マズイとこを見られた‥‥


どうする?助けて〜ど◯えもーん。


「あー、そう言えば今どういう状況なんだ?エリシス説明してくれ。」

俺はさりげなく綾崎から離れた。

まぁ、実は全然さりげなくなかったけど、それっぽく精一杯頑張ったよ。

そして、胡座をかいた状態で無理矢理話題を変えようとエリシスに質問を投げかける。


「‥‥‥そうだな。洞窟の中に約40匹の火トカゲが居たが全滅させたな。素材はシンヤ殿が気絶して、膝枕で気持ち良さそうにしている間に回収しておいたから問題ないな。」

あれ?エリシスに小姑のようにネチネチ責められてる?

いや、気のせいだ。エリシスならもっと男らしくズバッと言いそうじゃないか。

うん気のせい気のせい。


剣の柄に手をかけて、今にも抜きそうなオーラを出しているのも気のせいだ‥‥よね?



「ありがとう。さすがエリシスだ。ところでイオリは無事だったか?」

なんとか意地でも話題を変えたく、俺の心のオアシスことイオリに話を向けてみる。


「イオリは何もしてなかったので無事と思うの。今からでも膝枕出来るからされるといいと思うよ」

ダメだイオリも膝枕から離れてくれない。


「あはは、今度頼むな。そういえば綾崎、奴らを殺すことはなかったんじゃないか?」

今度は困った時の綾崎頼みだ。

綾崎頼みで何かがうまく行ったことなんて、前の世界では一回もなかったけど。

そう、彼女はトラブるメーカーなんだよ。


「アヤ殿は殺してなどなかったぞ。全員拘束して洞窟内に放り込んでいる。それより日が暮れる前に街に戻りたいのだがシンヤ殿のカラダは大丈夫なのか?」


「大丈夫だ。エリシス、心配かけてすまなかった。」


「もし無理なら負ぶって行くつもりだったが大丈夫のようだな?無理はしないようにな。」

とオトコマエな発言をしてくれるエリシス。


そして、それからさらにしばらく歩くと、

噂のアイツがあらわれた。


相変わらずつぶらな瞳で俺を見つめている。

これから恋が始まる予感‥‥‥はしないな。


「みんな下がっていろ。」

俺が指示を出しつつスライムに向かっていく。


打ち下ろしで先制攻撃。その後はスライムの攻撃に備えて棒を構え直す。


スライムアタックの衝撃が剣に伝わる。

1匹なら相手じゃないな。

俺の力を舐めるなよ。



「まだ終わらへんの〜ん?手助けしたほうがいいんかな?」

綾崎が懲りもせず木の上に上ってこちらを見ている。

◯カと煙は高い所が好きってことなのか?


それに、降りられないのになんで登るんだ?

やっぱり◯カなのか?バ◯なんだな?


「もうちょっと待ってくれ、綾崎」

こっちも、アニメ一本見終わる位の時間スライムと死闘を演じて疲れてるんだ。

そう、残念ながらまだ1匹目を倒せていなかった。

こんな筈じゃなかったのに、、、


「ガンバって〜、シンヤ様」

一生懸命飛び跳ねて応援してくれるイオリはとてもカワイイ。そう、健気なイオリは戦闘なんて出来なくていいんだ。この際、癒し担当でいいんじゃない?

イオリにたくさん荷物を運ばせてるのを棚に上げてそう思ったよ。


そろそろ、トドメをさせそうなので棒を振り下ろしそのままスライムを押し潰した。

やった、これでスライムエンブレム〜○ットだぜぇ〜


しかし、何もドロップしなかった‥‥‥


「何もドロップしなかったな。」

動揺しておもわずつぶやいてしまった。


「えっ?橋本ドロップ狙いだったの?」

アヤが驚いていた。


「シンヤ殿。やはりスライム狙いは諦めてみては」

エリシスもやはり気が進まなかったのかそんなことを言い出した。


「いや、まだまだこれからが勝負だぁ。」

俺はまだ本気出してないだけだ。そう自分に言い聞かせてまた戦いに向かった。




夕焼けで空が赤く染まっている。

ハァハァハァハァ。

既に7匹目を倒したが、またドロップしなかった。


「あの‥‥‥シンヤ殿。そろそろ引き返した方が‥‥‥」

エリシスがそろそろ諦めるように促すが俺は聞く耳は持っていなかった。


「次だ、次」

次はスライムが三匹同時に現れた。

俺は丈夫な棒を構え直す。


‥‥激闘の末、スライム三匹を倒した俺は呆然と立ち尽くしていた。


‥また、ドロップしなかった。


「シンヤ殿、そろそろ撤退を‥‥」

エリシスが再度意見した所で、何かが俺の頬をかすめた。


その何かは恐らく地面に刺さっている矢だろう。


矢が飛んできた方向を見ると何人かの人がこちらに向かってきているようだ。


あ〜、なんであいつらがまた現れるんだ?

拘束してたんじゃないのか?

先程、アヤにやられた連中だった。


「あれ?あいつらなんでここに?」

俺は思っていることがそのまま口にでていた。


「すまなかった‥‥なんらかの方法で拘束を解いたのだろう。せめて足を折るなどしたほうが良かったのだが。」

エリシスが申し訳なさそうに謝罪した。

けど、足を折るとか、発想が怖いよ。

もしかして、異世界ではこれが普通なの?


「まぁ、言っててもしょうがないやん?ここは近所のオバさんに、『綾崎さん家のアヤちゃん、美人になったわねぇ。ウチのタカシの嫁にどう?』とかニートの息子さんの嫁に勧められる位のビミョーな可愛さの銃士ガンナーに任せとき。」

アヤがウチの近所のタカシさんをディスる。


「いやいや、タカシさんはニートじゃなくフリーのWebデザイナーだからな。ってご近所さんトークしている場合じゃないな。とりあえずそこから狙えるか?」一日中家に居るというライフスタイルが俺と同族意識を生んだのか、大して仲良くもないタカシさんを思わず庇ってしまったよ。


「2人は狙えるから後の2人を任せたわ。」

アヤは頼もしい言葉を返してくれたよ。


「エリシス、後の2人を2人で何とかするぞ。イオリは安全圏まで下がって。」


「シンヤ殿、わかった。皆の無事を祈る。」

そう言ってエリシスは剣を構える。


そして、

「ターゲットオン」

という言葉が響くとアヤの左手から2つの光る玉が発射された。


「ヴゲッ〜」

「ギヒャー」


オトコ2人の悲鳴が聞こえる。残りは後2人だ。


アヤを狙っていたオトコの一撃を止めて棒を構え直すシンヤ。


相手は金属製の剣でこちらを攻撃しており、木の棒で止められたことに驚愕の表情を浮かべている。

普通は木の棒は真っ二つなんだけど、耐久力∞だからな。

なんで攻撃力を無限大にしてくれなかったんだよアリア。


とにかく、オトコの攻撃が止まった。

今だ。

「アヤ、頼む」


「えっ?あっ、久しぶりやね。名前でよんでくれるなんて。なんか懐かしいわ〜」

いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないからね?空気を読もうね綾崎さん。


そんなことしている間にオトコに隙はなくなり、また俺に攻撃を始めた。


「アヤ、なんで攻撃してくれなかったんだよ?」


「えっ?もう玉切れなんやけど。ウチは2人は倒したし」

えっ?玉切れとかあるの?というかそれ敵の前で言っちゃう?

撃つマネだけでも充分牽制になったのに。


敵は中々の剣の使い手らしくあっさり戦法を変えてきた。


露骨にコテ狙い、、、はフェイント。

剣で棒をを巻き込んではたき落とされた。


そして、オトコが剣を構える。


人生終わった。

思わず天を仰ごうとした時、俺を庇う形でイオリが前に立つ。


バカ、イオリ、俺なんかのために命を犠牲にすんな。


なんとかしたい一心で叫ぶ。

「ダーツ召喚」

そして、世界は時間を止めた。


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