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初めての依頼達成

残念ながら忙しいので中々上げれない時もありますが見捨てないでやってください。



「エリシス、少し話があるんだけど。」

俺は意を決してエリシスに声をかけた。

もちろん、正直に俺のステータスについて打ち明けるつもりだ。



「ステータスのことなのだろ?」

しかし、エリシスはややドヤ顔で先回りして答える。

ちょっと、ドヤ顔にイラッときたけどここは我慢だ。


「エリシス、話が早くて助かるよ。すまない、実は俺はスキル特化型なんだ。スキルは強大なのだけど、ステータスの伸びはかなり低い。そのせいでいつも弱く見られがちなんだよな。」

本当は正直に打ち明けるつもりだったけど、俺に勇気が無くて最終的にごまかしてしまった‥‥

俺が『愛と勇気だけが友達のあのパン人間』だったらきっと素直に打ち明けられたんだろうけどね、、、



「つまり、ステータス依存の戦い方ではないのだな。

魔術やスキルが別格にすごいということか?そして、そのスキルが『ダーツ召喚』というやつなのだろう?私が勉強不足かもしれないが『ダーツ』というものが光の大精霊様の内の1人の名前なのか?」

エリシスは盛大な勘違いをしていた。


あれは光学兵器だ。よく、ビームとかレーザーとか呼ばれるものだ。しかし、恐らくこの世界にはそんな物はないんだろうな?俺はむしろ大精霊様がどんな仕組みの存在なのか全くわからないけど。


まぁ、エリシスの勘違いを一々訂正するのも面倒だし、光学兵器を理解させるのはたぶん無理だ。

そのままにしておいた方がいい気がしてきた。


「まぁそういうようなものだが、精霊様は色々な形で恩恵を与えてくれるので毎回光線を使うわけではないんだけどね。」

大精霊様のことなんてよく知らないし、ウソがバレないか背中にダラダラ汗をかきながら俺は答えたよ。


「確かにスキルはかなりすごいのだが、ステータスでまともなのは運のステータス100だけだものな。

本当に極端なスキル特化型なのだな。」

エリシスはすっかり信じ切ったようだ。

こんな言い訳信じるなんて、俺の居た世界ではオレオレ詐欺のいいカモになれただろうね。


エリシスさん、弟さんが事故をおこしたから示談金300万円早くATMに振り込んでくれ。ってな感じでね。ほんと、すぐに振り込みそうだよな。



「いや、まぁ、そうなんだけど‥‥‥‥‥100?100なの?」

あれ?おかしいぞ。なんで100なんだ?

俺の運のステータスは間違いなく3100なんだけど?あれ?聞き間違えたのか?


「100だな。私はウソはつかないよ。」

エリシスは真顔で答えた。


「‥‥あれ?俺の運のステータス100なの?」

あれ?やっぱり100?


「何回きくつもりなんだ?」

呆れたようにエリシスが言うのだが、、


「ごめんごめん。まあ、とにかく俺は運以外はステータス上はかなり低いからな」

まさかとは思うがステータスの千の位は自分にしか見えないのか?思いっきりバグだな。


運営に通報‥‥ってまさか運営ってアリアなのか?

あんな運営が作ったゲームって、、、、、、、、、、糞ゲー確定だろ?



「確かに子供より筋力がないなんてすごいことになっているな。まあ、私も頑張るから皆で頑張ってレベルアップしよう。」

エリシスはステータスが低い俺を蔑むでもなく、励ましてくれるすごく心根の優しい女性だった。

しかも美人だし。


「エリシス様、シンヤ様と仲良くして頂いてありがとうございます。」

イオリがエリシスに深々と頭を下げると


「いや、せっかくイオリ殿ともパーティメンバーになれたのだしな。」

エリシスはやや照れ臭そうにイオリにこたえる。


「ありがとうなエリシス。イオリをパーティメンバーって言ってくれて」

イオリはノリン病のせいで厳密には冒険者ではないのでパーティメンバーとは呼べないかもしれない。


それでも、エリシスはイオリをちゃんと認めてくれている。さっきも思ったけど本当にいい奴だと思う。


まぁ、いい奴だからシンヤとかいう小悪党に騙されてパーティメンバーになってしまったんだからね。

いい奴ってのも大変な気がするな。



「ところで、火トカゲが全然出てこないな。

‥て言ってたら出てきたな。」


火トカゲが5匹もいる。


「とりあえず3匹受け持とう。後はリーダーとイオリで2匹を倒してくれ。」

すぐさまエリシスが指示をだす。

リーダーは一応俺なんだけど、、、


火トカゲに斬りつけるエリシスを横目にみながら、俺は木の棒を振り回し火トカゲを引きつける。

たまたま上手いこと2匹が引きつけられて寄ってきたけど、ちょっと対処出来そうにないので俺は逃げるしかなかった。


死ぬ気で逃げているが、火トカゲはスライムより動きが素早くてすぐに追いつかれそうになってきた。


俺は仕方なく覚悟を決めて足を止めると、一呼吸も置かず木の棒で斬りつける。

しかし、残念ながら火トカゲはほぼ無傷だった。


次は突き、そのまま更に右に回り込み攻撃しようと踏み込んで木刀を振り下ろ‥‥そうとしたら足がスベって、転んだ。


それが、ちょうどもう一匹の火トカゲが俺を攻撃するタイミングだったが俺が転んだ為、飛びかかった火トカゲはもう一匹の火トカゲへ飛びかかる形となってしまった。


そして、そのままもつれ合うように絡み合った2匹は何故か知恵の輪のように絡み合ってしまった。


動けなくなった2匹をひたすら攻撃すること40回。火トカゲは絶命した。


火トカゲは消滅し影も形もなくなった。

そして、その場所からは尻尾と大きな布みたいなものが出現した。


仲間の加勢をしようとエリシスの方を振り返ると?

彼女もこちらの方を見ていた。

どうやら、戦闘は終了していたようだ。


「‥‥‥変わった戦い方をするのだな。ちょっとビックリしたよ。どうやって火トカゲの動きを完全に封じたんだ?それもダーツ召喚なのか?」

まぁ、俺がエリシスの立場でも気になるよなぁ〜。


「あ〜エリシスそれは仲間と言えども企業秘密だ。」

話したら俺の表面を覆っているメッキがベリベリ剥がれてしまうからだけどね。


「そうか?まだ信頼されていないのだな。まぁ、話したくなったらまた話してくれればいいさ」

エリシスは俺から無理矢理聞き出すような不粋なことはしなかった。


「シンヤ様‥‥‥見栄張り過ぎだ思うよ」

しかし!誰にも聞こえない小さな声でイオリは呟いていた。



それから、一旦宿に戻ってみて戦利品の整理を行う。

ホーンラビットの角×2

火トカゲの尻尾×5

火トカゲの衣×2


「‥‥‥運が100にもなるとそんなにもドロップ率が変わるものなのか?火トカゲからレアドロップが、倒した2匹とも出るなんて。」

エリシスが呟く。


「火トカゲの衣ってそんなに簡単にドロップしないものなのか?」

ベテラン冒険者のエリシスに聞けるから情報収集もほんと楽だよな。


「しないな。千匹に一匹くらいではないかな?統計を取っているわけではないので感覚的な話だが」

0.1パーセントといったところか?


「そうか、じゃあスライムエンブレムはどれくらいの確率でドロップするんだ?」

これが高く売れるんだよなぁ。


「あ〜〜〜、あれは数十億分の一の確率とか言われるな。私も一回だけなら見せてもらったことはあるのだが。」

うわぁ〜、低っ。そんなにドロップしないんだ?


「これ、な〜〜んだ?」

俺はスライムエンブレムを荷物袋から取り出してみせる。

ちなみに冒険中はその荷物袋はズーッとイオリが運んでいる。

俺は筋力が無いのでまだ丈夫な棒しか持てないのだ。


「え、え、えっ?ええっ?なんで?なんでなの?」

エリシスがちょっとパニック気味になってしまった。


「いや、スライムからドロップしたんだけど、思ったよりリアクションが良いなエリシスは。普段の口調はわりと落ち着いた感じなのに」

うん、ギャップ萌えとか言う奴だな?


「い、いや、買取相場が金貨120枚と言われているあのスライムエンブレムなのだから驚くのも無理からぬものだろ?」

驚き、興奮気味にエリシスが言う。

こういった様子のエリシスは初めて見るな。


しかし、今度は俺が驚愕する番だった、、、

「‥‥‥‥‥‥‥えっ?今なんて言ったの?」

120枚??85枚じゃなくて???


「だから、買取相場が金貨120枚と言われているスライムエンブレムに驚いてもしかたがないと言ったのだよ」再度聞きたくない事実を告げるエリシス。


「‥‥‥‥‥120枚???あれれ?あれれ?」

どういうことだ?


「どうしたんだリーダー。頭の上にいっぱいハテナマークが浮かんでいるぞ」

俺の様子がおかしいのに気付いたエリシスが問いかける。しかし、俺はそれどころじゃなかった。


「おれ、もう一つ持ってて金貨85枚で売ったんだけど‥‥かなりボラれてた?」


「‥‥‥そうだな‥‥リーダー、、、、すまなかった」

呆然とする俺に何故だかエリシスが謝った。



ちなみにその後ちゃんと火トカゲの尻尾をギルドに持って行って達成報告はしたのだが、俺にその間の記憶は無かった‥‥




夜になって親交を深める意味もありあのドワーフが店主の食堂で夕食を食べることにした。

エリシスにもあのビーフシチューを味わわせてあげたいしな。


うめぇ〜、うめぇ、なんだよこのビーフシチュー。

そう言えば昼間も食べたけど毎日でも食べたいわ。

いっそのこと髭面のドワーフを嫁にしたい位うまい。


俺がビーフシチューに夢中の為、テーブルは食器とフォークやスプーンが触れ合う音がするだけだった。



「あの‥‥?リーダー、ちょっといいかな?今日夕食に誘われたのは親交を深めるのと今後の方針について話し合うかとおもっていたのだが、料理がでてきてから誰も一言も喋っていないのだが‥‥これはなにかの儀式なのか?」

エリシスはまったく場の空気が掴めず、遠慮がちに質問した。


しかし、シンヤから帰ってきたのは沈黙だった。


「なるほど、そう言えば『食べるのも訓練』という言葉を聞いたことがあるな。その食物がどこに効くか集中して食物を取ればいつも以上の効果があるということなのだろう?さすが、一流の冒険者は食事の取り方も違うということか?私もそれを見習わせて貰おう。」

しかし、エリシスは考えられる中で一番ポジティヴな考え方をしてシンヤを褒め称えてしまった。

しかも、シンヤのマネさえしてしまおうとしていた。


「あの、、、違っ、、あのシンヤ様、シンヤ様、早く現実に戻って来てと思うの、、、」


「あっ‥‥‥。悪かった、、。ここのビーフシチューがうますぎてスッカリ夢中になってしまった。ようこそ『シンヤと愉快な仲間達』へ。」

イオリが耳元で騒いでくれたお陰で我に返った俺は、彼女に歓迎の言葉を投げかけたのだが、


「ありがとう。しかし、パーティ名はどうにかならなかったのか?」

エリシスは少し顔をしかめて不満を述べた。


「いや、冒険者登録時に時間が無かったんだよ。エリシスもしってるだろ?」

そうだよ、周りの冒険者に殺されるところだったんだからな。


「そうだな。あの時はまさかリーダーのパーティに入ることになるとは思わなかったよ」

エリシスはその時のことを思い出し、思わず苦笑していた。



「だよね。ところでパーティの目的なんだけど近い目的はスライム退治だ。そして、それを元手に買いたいものがある。」

これだけは譲れないのでハッキリ宣言する。

絶対に達成したいんだよ。


「そうなのか?それはなにかは教えてはもらえないのだな?」

エリシスがそう尋ねたけど。


「今は勘弁してくれ。」

イオリの前では言えないからな。


「わかった。イオリ殿は知っているのか?」


「いいえ、イオリもしらないと思うよ。」

目的もあまり興味がなさそうだなぁ、イオリは。


「そうか、遠い目標はなにか教えてもらえないだろうか?」

エリシスはやはり目的が気になるようで今度は遠い目標を質問する。


「それは東へ旅に出たいんだ。」

そして、凛に再会する。


「東?イズモン辺りか?」

日本で言う島根県あたりのことだな。


「もうちょっと東なんだけど。まぁ、そこまでは付いてきてとは言えないからそこまでのパーティメンバーでもいいよ」

たぶんかなり時間がかかるだろうな。


「ああ、まぁ、私も忙しい身ではあるが別に構わないよ。イズモンまでは一緒に行こう」

エリシスはなぜか頬を上気させて答えた。


そうこうしているうちにお開きとなり、宿を取ることにした。エリシスは自分が泊まっている宿に戻って、また明日集合することにした。


「銀貨二枚だよ。」

そう言われて通された部屋は一部屋だった。


俺は困って、二部屋に変えてもらおうとしたがイオリに「勿体無いです。一部屋でお願いします」と言われ押し切られてしまった。


今晩寝れるかなぁ?俺はドキドキしながら部屋へと入った。


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