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チート転生者と白狼娘  作者: ゴルゴン
14/17

サブヒロイン?

こういうのもたまにはいいのかなと思って書いてみました。もっと語彙力と文章力がほしいです。

  朝になりサラマンダーはゆっくりと目を開け背中で熟睡しているリューグを舌で巻き取りゆっくりと地面に降ろした。

 

  ……リューグ様の寝相が思ったより悪くて一睡もできなかった……。


  サラマンダーは目をつぶってはいたがリューグを落とさないよう気を遣っていたせいで眠ることができなかったのである。


  サラマンダーがリューグのために狩りに出かけようと洞窟の入り口からシェリーがモウブル(巨大な牛の魔物)を片手で引きずってきていた。

  シェリーはサラマンダーに気づくと軽く手を振って挨拶してきた。


  「おはようサラマンダー……なんかすごく眠そうだね……」


  『おはようございますシェリー嬢、眠いですが大丈夫です。シェリー嬢のほうこそ人の姿で狩りに出るのは珍しいですね』


  「眷族様のそばにいるためにはこの姿でいなきゃいけないからね、慣れておかないと足引っ張っちゃうでしょ?」


  シェリーの勤勉な姿勢に感心するサラマンダーは未だに起きてこない冒険者達も見習ったらどうだろうか?と思っていた。


  その後シェリーに挨拶をしてタクヤ達を起こしに行くと二人ともベッドで抱き合いながら熟睡していた。

 

  『起きろ、朝だぞ!』


  起こそうと声を上げるが白狼まで反応を返してこないばかりかタクヤは「あと五分でいいから〜……」などと言って起きようとしない。


  サラマンダーはすうぅぅぅっと思いっきり息を吸い咆哮を上げた。


  『ガァァァァァァァッ!!!!!!』


 


  「おはようシェリー……」


  「おはようございますシェリーさん……」


  「お、おはよう……眷族様といえどサラマンダーの咆哮はこたえたようだな、肉でも食べるか?」


  シェリーは若干気の毒そうな顔をしながら二人に肉を差し出す。

  ホロは焼けた肉を見た途端元気になり喜んで食べた。

  タクヤはまだ疲れが残っているのか少しだけ食べなかった。

  サラマンダーは焼いた肉より生の方がいいと言って狩りに出かけた。


  「もう直ぐに行くのか?」


  「ああ、ギルドの案内人がまだ待ってくれてるだろうしもう魔物同士の殺し合いは収まったって報告しなくちゃいけないからな。原因は適当に考えとくよ」


  「ふむ、それならこれを使うといい。私のではないが竜の魔力を凝縮した魔石だ。これを取り合っていたといえば信じてもらえるかもしれん」


  シェリーは腰につけてある小さなポーチからサファイアのような青く澄んだ輝きを放つ魔石を取り出しタクヤに渡した。


  「これは……いいのかシェリー?大切なものに見えるけど」


  「構わないさ、決闘して勝利した時の戦利品だから一つくらい問題ないぞ」


  竜は好戦的ゆえによく決闘をするらしい。今は竜の数が少ないから決闘もあまりできないようだが。


  「ありがとうシェリー。大事に使うよ」


  「覇竜様のためだ、気にするな」


  「あらあら……昨日はわざわざ私にプレゼントの相談までしてきたのに随分素っ気ない態度ねシェリー」


  「か、母様?!そそそんなこと相談してませんよ!!」


  何やら喧嘩が始まった。

  親子の微笑ましい喧嘩を見ていると生前の家族のことを思い出す。

  リューグが言うには昨日使った『破滅の熱風(カタストロフィブラスト』が気に入ったらしい。


  「あれってそんなに威力のある魔術だったか?サラマンダーの方がよっぽど被害出してたと思うんだけど……」

 


  「あれは母様が全力で止めたから被害がでなかっただけであのまま使ってたら山は吹き飛んであの炎があたりにばらまかれてただろう……あれを撃てる眷族様の魔力量も凄かった」


  シェリーはそっぽを向きながら呟くように褒めてくれた。


  「ありがとな。流石に行かないと魔物が腹を空かせそうだな……じゃあなシェリー。また一週間後会おう」


  「うん、一週間後にいくから宿は任せるぞ」


  リューグがタクヤに近づき耳元で小さな声で言う。


「眷族様……うちの娘のこと襲っちゃって結構ですよ……」


「………襲いませんからね?」


 

  リューグ達と別れを告げて山を下っているとホロがポツリと呟いた。

 

  「魔物にもああいう方達がいるのですね……人よりも人らしいというか……」


  「そうだな、友好的な奴は大事にしていきたいが彼女達は特別かもしれないしそうやって隙をついてくる魔物も存在するかもしれないから最後まで油断はしないようにな」

 

  「そうですね……タクヤ様は冷静に物事を見ていて凄いです!」


  「思い出したように褒めてくるのやめような?」

 

  その後は襲ってくる魔物を撃退しながらキャンプについた。

  キャンプでは案内人がそわそわしており俺達を見つけると駆け寄ってきた。


  「無事だったんですね!いやぁ〜よかった……天に向かって紅色の炎の柱ができていたので何かに巻き込まれたのかと心配しておりました……さあ急いで戻りましょう!ここから1秒でも早くずらかりたいです」


  案内人は早口に言うと馬車に乗るようにせがみ急いで出発した。

  少々臆病なようだが職務を投げ出さずに残っていてたことに心の中で感謝するタクヤとホロ。



  案内人が飛ばしてくれたおかげで1日半にまで帰る時間を縮めることができた。

  案内人に礼を言ってタクヤとホロはギルドの中に入る。

  建物の中は相変わらず酒とタバコの匂いがして騒がしい。

 

  カウンターで仕事をしていた受付嬢の一人がこちらに気づくと一瞬だけ驚いた顔をしてすぐに素の表情に戻り手招きしてくる。


  「依頼お疲れ様でした!疲れているところ申し訳ありませんがタクヤさんとホロさんは今から奥まで来てもらってもよろしいですか?ギルド長からお話があるようです……」


  「大丈夫だ、なんとなく察しはついているからな」


  「申し訳ありません……では案内しますのでこちらへどうぞ」


  受付嬢についていき奥の部屋に行くと向かい合うソファ二つとその間に机が置かれているだけの部屋に案内された。

  俺とホロがソファに座るとすぐに飲み物とお菓子が運ばれてきた。


  「ではギルド長を呼んできますので少々お待ちください」


  カップを手にとって匂いを嗅いでみると懐かしい香りがした。


  「紅茶か……!いい香りだ……お菓子はマフィンかな?好きなだけ食べていいぞホロ!」


  紅茶とマフィンをヨダレを垂らしながらじーっと見つめているホロに食べるよう促すと顔を輝かせて紅茶とマフィンを食べ始めた。


  「美味しいです〜……!果物よりもパサパサして瑞々しさはありませんが甘さは果物よりも上ですね!それに紅茶?がとても良く合います!」


  ホロは尻尾をブンブン振り食レポを始めた。

  食レポに相槌を打ちながらタクヤも頂いているとドアがガチャリと開いて受付嬢と薄くヒゲを生やした中年のおじさんが入室してきた。

  フロックコートの下にシャツとネクタイを着けぴったりしたズボンを履いている。

  線は細いが弱々しさはなく贅肉を落としたような体型で服を着こなしているダンディな人だ。

  その人はこちらを見ると軽く会釈してソファに座りもう訳なさそうに頭を下げて謝罪してきた。


  「まずは自己紹介をいたします。私の名前はクライス・エムリック。代々この国のギルド長をしてきた貴族で私で17代目となります。今回の依頼は申し訳ありませんでした!あの男を信用していた私が悪かった。奴は以前は誠実な優男だったのだが家を調べたらたくさんの獣人やエルフの奴隷を捕らえており彼女達を売って私腹を肥やしていたことが判明した。奴は捕らえられ今は王都の地下牢で極刑を待つ身だ」


  「そうですか、他にも被害者がいたと思うのですがその人達はどうなっていますか?」


  「あの家は没落しクラークに加担していたもの達全員の処刑が決定されている。謀反を起こした反逆罪として扱うらしい。奴隷にされていた人達は心身共に治療中だ。彼女達にも財産を分け与えている。家族とも再開しているが売られた人達は現在捜索中だがクラークを締め上げればすぐにわかるだろう」


  「それは良かった……ならこれにて一件落着だな。ホロはギリギリ被害にあっていないから今回は許しますが次はありませんからね?」


  軽く威圧をかけるとクライスは冷や汗をかきながら返事をする。


  「う、うむ……二度とないようにしよう。ではここからは依頼の確認をしたい。フレイムリザードとヒッポグリフの大規模な争いの原因はなんだったのかね?」


  タクヤはポーチから竜の魔石を取り出し机に置いた。


  「原因はこいつでした。種類まではわからないが竜の魔石だと思います。こいつを食べたかったのか知りませんがフレイムリザードとヒッポグリフが取り合っていたようです。魔石はこれ一つだけしかなかったのでもう争いはなくなると思います」


  クライスはそれを手に取り観察すると納得したように頷いてタクヤに返した。


  「たしかに竜の魔石ですね。おそらく水竜の魔石だと思われます。大樹山には川も流れていますからそれが流されてきたのかもしれません。では報酬を渡します」


  クライスがパチンと指を鳴らすとドアが開き大きな袋を抱えて受付嬢が入室し机の上に袋を置いて部屋から出て行った。


  「金貨50枚、50万ゼニだ。依頼の報酬にクラークの悪行を暴くのに結果的に協力してくれたことに対する追加報酬、それに被害者へのお詫びのお金だ。君のような優秀な人にはこれからも冒険者を続けてもらいたいので私のポケットマネーも加えてある。どうか受け取ってもらいたい」


  クライスはそう言ってまた頭を下げる。

  これは俺の予想だがこの金の中には口止め料も入っているはずだ。この国は人種差別をほぼ完全に撤廃させた国だが人間の貴族がそのようなことをやっていたと民衆に知られたら大問題になる。

  謀反は起こしていないが国の方針に反したことをしているし反逆罪でも間違いではない。

  こちらとしてもシェリーが来るのに今問題が起きるのは好ましくないので他言するつもりはない。


  「わかりました。この報酬はもらっておきます。今回のことは他言しないと違っておきます……これでいいんですよね?」


  「今回は全てこちらの不手際なのに勝手なことばかりいってすまない……さて、その大きな袋を持って表から出ようとすれば絡まれるだろうし裏から出るといい、今回は特別だ」


  そう言って受付嬢に裏口に案内させる。


  受付嬢に別れを告げて俺とホロはギルドを出た。

  帰る途中の商店街で日用品を売っている店で櫛を探した。

  櫛とホロを交互に見つめながらホロに似合う櫛を探す。今までは余裕がなくてホロをあまり見ていることができなかったが改めて見るとシェリーに負けないくらいの美少女だ。

 

  腰まで伸びたサラサラの白髪にたまにピコピコと動くピンと伸びた狼の耳傷ひとつない綺麗な肌。大きな目に黄金のような金色の瞳。スタイルは胸は小さすぎず大きすぎないサイズで全体的に引き締まっており健康的な肢体だ。


  ホロはタクヤに見つめられるたびに顔を赤くしている。

  タクヤも思わず顔を赤くするがカブトがフルフェイスなため表情まではわからない。


  「お、これなんかどうだホロ?よく磨かれてて手触りもいいしこれならホロの髪を痛めたりはしないんじゃないか?黒曜石やら瑠璃色の色が綺麗な奴もあるけど手触りがよくないな、木製のほうがいいかも」


  「そうですね、私も色々触れてみましたがタクヤ様が持っているものが一番好きです!」


  「それじゃあ金払ってくる、そのあとは寄り道せずに帰ろうか」


  その櫛は2万ゼニもする超高級品だったが後悔はない。



  宿に着くとさっさと風呂に入りホロと夕飯を食べた。

  今日の食事はニンニクをきかせた生野菜のサラダ、ひよこ豆のスープ、パンにメインはデザートチキンと呼ばれる砂漠に生息している鶏のローストチキンだ。

  この世界には冷魔石という魔石が存在し魔力が枯渇しない限り冷気を出し続ける。これを木箱に放り込んでおけばファンタジー冷蔵庫の完成だ。

  ちなみにホロは一人でチキンを二羽食べてしまったがこの宿は部屋に持ってきてくれる食事はメニューを選べない代わりにおかわり自由という破格の待遇をしているため財布は無事だ。


  食事が終わり部屋に置いてあるソファに膝の上に座って大人しくしているホロの尻尾を櫛で梳かしてやるとホロは気持ち良さそうな声を出し背中を預けてくる。


  「おいホロ〜梳かしにくいだろ……」


  「えへへ〜気持ちいいですタクヤ様〜頭もお願いします〜……」


  ホロは恍惚とした表情で目をトロンとさせてスリスリと頭を俺の胸に擦り付けておねだりしてくる。

  酒を飲ませた覚えはないが今日のホロはとても色気があって飢えた男なら即座に陥落してしまいそうな破壊力があるがタクヤは童貞のヘタレ男子なのでドキドキするだけである。

  なんか顔に尻尾巻き付けようとしたりペシペシしてくるが柔らかくて気持ちいいので気にしない。


  もたれかかってせいでとても梳かしにくかったがなんとか終えてベッドに入る。

  二人部屋だが今日はご褒美ということでホロも一緒のベッドに入っている。


  魔石ライトの魔力を切り二人でベッドに横になっているとホロがタクヤを真っ直ぐ見つめながら口を開いた。


  「タクヤ様、ありがとうございます……優しく梳かしてくれたおかげで尻尾も髪もとても気持ちよかったです。それに……あの櫛とても高い物ですよね。梳かじてくれている間毛に引っかからこともありませんでしたしとても無駄な装飾もなく徹底的に使いやすさだけを追求した物でしたが今の私にとってはタクヤ様の次に大切なものかもしれません」


  「値段なら気にしないでくれ。俺がやりたいからやっただけさ……ホロが無事で嬉しかったのもあるしさ、ホロが望むのならまだご褒美あげるぞ」


  「タクヤ様……でしたらその……あぅぅは、恥ずかしいのでやっぱりやめておきます!忘れてください……!」


  ……やっぱりうん、あれなんだよな。こういうのは自分から行かないと男じゃないしホロのためであり自分のためだ。よしいくぞ!!


  タクヤはホロの方を向いてそっとホロの頭を撫でるとホロは不思議そうな顔をしてタクヤを見る。


  「タクヤ様……?」


  そのままホロの後頭部に手を回し俺の方にゆっくり引き寄せホロに口づけをする。

  舌を入れるなどという発想など持っていないためすぐに口を離した。


  「あ〜えっと……俺に対するご褒美と俺からホロに贈るご褒美だ。びっくりしたか?」


  タクヤは悪戯が成功した子供のような態度をしながら笑うがホロの様子がおかしいことに気づいた。

  放心状態となっていたホロは一瞬で起きタクヤの腕を押さえて馬乗りになる。

 

  「あ、あの〜ホロさん……?もしかして怒ってらっしゃる?」


  タクヤは怒らせてしまったかと思って少し後悔するがホロは次第に息が荒くなっていく。


  「はぁ……はぁ……タクヤ様ぁ……」


  先ほど尻尾を梳かしていたときの蕩けるような目ではなく獲物を見つけた野獣の眼光をしている。

 

  「ほ、ホロ!落ち着け俺は食っても美味くなムグッ……!」


  ホロは喋るタクヤを黙らせるように強引に口づけをしてくる。


  「んっ……れろ……ぷはっ……はぁはぁタクヤ様大好きですぅ……あむっ……」


  舌を入れ口の中を貪り吸い尽くしたまに唇も舐めてくる。相変わらず息も荒く強引で本来は叱らなければならないのだろうが今回だけは見逃そうと諦めた。


  その後も勢いで全裸になってしまったホロの面倒を見ながら甘く激しく幸せな夜を過ごした。


  次の日の朝肌がツヤツヤになったホロは干からびて寝込んでいるタクヤに申し訳なさそうに頭を下げた。


「す、すいませんタクヤ様……自分を抑えきれずに暴走してしまいました……」


「ホロが幸せだったならいいさ……ご褒美だよご褒美……」


そう言いながら頭を撫でてやるとホロは嬉しそうに尻尾を振り商店街の露店に果物を買いに出かけたのであった。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 


 


 


 


 

 


 


 

リューグ……ダークネスドラゴンのシェリーの母親だがリューグはカースドドラゴンである。普段は暗く陰鬱な性格をしており醜い元の姿を嫌い人の姿であることが多い。元の姿なら全竜の中の上程度の実力を持っている、タクヤの攻撃を無効化したが実はダメージも受けていたが再生能力が高いのでなんとか生きていた。

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