お花畑でつかまえて
1ヶ月ぶりに、こんにちは!猫助です!
今回の話は書いてて、若干自分で引きました。うわぁ。鬼だよ。オニコリスだよ。微グロ注意ですよ!
「さて…本気の僕を見せつける前に一つ謝罪をしておこう。」
「そんな…リコリスが謝るなんて。天変地異の前触れじゃないか?熱でもあるんじゃないか…。」
「これから起こるのは天変地異じゃなくて、ジャイアントキリングだけど。」
「そして、熱が出るのは僕ではなくカンナちゃんだけどね。」
「まぁ僕が言いたいのは、僕が本気を出したとて正々堂々とは行かないってことと、多分負けた後に君がPKに走りそうだから、予め謝罪しておこうかなって。」
「ごめんね、どうやっても負けるビジョンが浮かばないんだ!」
「…うーるーせーぞリコリス!何でおまえが追い詰められてるのに私がこれから逆転される手で話をしてるんだ。なめてんなら凄い勢いでめり込ませるぞ!」
…怖いから何をめり込まされるのかは聞かない。そして、先ほど消した紫色の彼岸花畑を、再度彼女を中心に作成する。
「おいおいおい、まさかこれを繰り返してHP切れを狙うなんてお粗末な方法じゃないだろうな?」
「いやいや、まさか。さすがの僕もそこまでお粗末な方法はとらないよ。」
言いつつ、その場で腹ばいになる僕。花畑で腹這いになれば当然腹の下に花を敷くことになる。膝丈の花畑は当然僕の姿を隠してはくれない。…普通の花畑ならね。
この紫の毒花は「僕以外の」全ての生物に対してオブジェクトに触れている間効力を示す。そう、僕はオブジェクトに触れられず、僕が触れても靡きすらもしないのだ。勿論膝丈を越える花は容易にその下に隠れる僕を見つけることを良しとはしないだろう。
そこに目をつけていた僕は這いずって移動する。もちろん普段であれば武道の達人であるカンナちゃんの目はごまかせても耳はごまかせない。普通に居場所を特定することが出来るだろう。しかし、この紫の花は毒花であると同時に炎花でもある。熱と熱が生じる時に発される音と臭い。それにより地面を低速で這いずり回る僕の発する、か細い音など彼女には届かない。
「まさか、リコリス!」
「ゲリラ戦法…僕が使うのに相応しいかは兎も角として、元々ゲリラ戦法ってのは強い者に対しての、弱い者からの攻撃…まぁ今みたいな感じで。『彼岸花』」
「っ!」
もちろんスタンをシステム外の能力で切り抜けても、スタン自体が発生しないわけではない。歩けても突如、自分を中心に発生する火炎球『彼岸花』を避けることなど出来はしない。そして、彼女が火だるまになっている内に僕は花畑を匍匐前進で移動する。
締まらない?主人公らしくない?いやいや、男には負けられない戦いってのがあるらしいよ?そのためなら僕は土に塗れる事だって厭わない男さ。あ、カンナちゃん振り切った。『彼岸花』を彼女の1歩前に配置する。突っ込む。もがく。
多分次は、頭を振りながら後ろに下がるだろう。『彼岸花』を0.5歩後ろに配置。予定調和のように彼女は再び火炎球の中に足を踏み入れる。踊るように彼女はたたらを踏み、歌うように絶叫する。
そういえば白雪姫のグリム童話の方は、最後に意地悪な継母に真っ赤に焼けた赤鉄の靴を履かせて、死ぬまでダンスをさせられたそうだ。人はなぜそのような残虐な事が出来るのだろうか。
…っと、益体もないことを考えていると彼女は、ふらっと倒れた。あくまで上向きに。大天を仰ぐように彼女は大の字になり、そして壮絶なまでの笑顔で彼女はログアウトした。恐ろしい獣のように吠え湛えていたのが嘘のように実に人間らしい笑みだった。
僕もスキルを解除しながら、とても清々しい気持ちで空を見上げた。綺麗な晴天はどこまでも果てしなく、ここがゲームの中だなんてとても信じられない。
さぁ仕方ない。僕はこの晴天に試合の結果を報告することにした。
「まったく、伏線を回収できないままに自分の主義主張とも全く関係なく、ただ、いたいけな少女をみっともない自尊心を守るためだけに白雪姫の母親の刑に処してしまった…。」
そう、それが真実で少年漫画風に言うならば試合に勝って勝負に負けた。というやつだ。完全に悪役の所行だった。
次話でとりあえずキリが付くはずです。もう1話この主人公にお付き合い下さい。
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