獣少女かんなちゃんの事情(2)
2016/08/21更新しました。
カンナちゃんは(頭良すぎて)逆にアホ可愛い。え、キラーマシーン?良く分かりません><
その日のうちに私は「なぜか」破門になった。風の噂では、師匠は全身に20針を超える大怪我を負ったらしい。自分が掛かって来いって言ったくせに!とかまだ「剣道では」師匠に教わることもあったのに。とか色々思うところがあったが、あんなに怯えた目で破門を言い渡されるともう何も言えなくなった。それは私が序列を上げるために、踏み台にしてきた道場の先輩方と同じ眼だった。さすがにそんな男を師匠とは呼べない。悲しいがさよならした。
私の2度目の手詰まりだった。
それからいろんな格闘技の道場破り等を自分なりにやってみたけど、私は、はっきりと分かってしまった。もう私は強くなりすぎちゃって、世界クラスの超人とかじゃないと相手にならなくなっていたのだ。ほぼ無敵。そして、残念ながら世界の頂点を競うような人たちは女子中学生相手に本気でやってはくれない。っていうか勝負自体を受けてくれない。そして母に看板コレクションが邪魔だと怒られた。解せぬ。
1回目とは段違いの圧倒的な手詰まり感だった。
もう格闘技界で上を見ても誰も相手をしてくれなくなったので、誰かと真剣勝負をするためには、畑違いのことをやるしかなかった。
将棋を習い、チェスを納め、天文部と戦い、理研部と研鑽し、気が付いたらなんだか頭までそこそこ良くなってしまった。意味が分からない。部活荒らしか。あぁ、部活荒らしだった(自省)
そしてもう、その畑違いに出向いての遊びでも少しずつ勝負にならなくなってきたころ。それぞれの部活で一番うまい奴、一番賢い奴、一番強い奴に勝てるようになってきた頃に、私は気づいてしまった。自分が人と同じところに立ってもすぐに追い抜いてしまうのだ。
上を見ても横を見ても対戦相手が居ないなら、もう同格の相手を自分で育成するしかない。
そこでようやく師匠の気持ちに気づいてしまった。そうか。あの時、師匠は私に自分と同格の存在として、互いに高めあう的な関係を目指してたんだなって。自分と同じくらいの強さのやつがいるってのは喜びだ。ちょっと強いくらいなら、なお素晴らしい。分かってしまったところで、つまり師匠と同じ境地に中学生の分際で立ってしまった私だが、師匠になく、私にはあるものがあった。若さと時間だ。
まぁもう師匠の事は、ボコボコにしてしまったし、終わったことは仕方ない。そこで、思考停止した私は、校内に敵を求めるのをやめてしまった。以後、私の学校は平穏になり、みな穏やかな学校生活を送れたという。いや、私は別に不登校になったとかそういうわけじゃないんだけども。毎日学校には通っていたわけなんだけども。皆勤賞ですよ皆勤賞。不良じゃないんですから。おほほ。
まぁいいや。そこで私は、私と同じダイヤの原石を求めて街に飛び出した。というわけだ。強くしなやかで、私が当たっても目減りしない。なによりも向学心あふれる。そんな仲間をさがして。うーん。我ながら無鉄砲な生き方だ。だがしかし、そんな奴がそう転がっていれば私は孤立することはなかった。いや、孤立とかしてないし。孤高の存在だっただけですし。
つ、次でカンナちゃんの回想は終わる予定です。マジです。
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