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エンデバーエンドワンスオンライン  作者: 言離 猫助
第ニ章。大スノー域戦登録!
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カンナちゃん吠える

山神様がお怒りだー!こっからバトル展開だー(やりたいだけ

「っし!復活!」


 勢いよく体を起こした僕の横でステータス画面とにらめっこをしていたカンナと、地面になにやらお絵かきをしていたロッサが僕を併せて輪になってくれる。


「もう大丈夫なんですか?」

「うん。僕自体は別に雪崩に巻き込まれたわけでもなく。氷の壁に穴開けて一緒にスキーしてから、ココまで戻ってきて穴掘っただけだからね。魔力の枯渇以外は特に問題無いんだよ。元気元気。」


 もちろん空元気だがロッサくんを心配させても仕方が無い。僕は飄々と応えたが鉄の女ならぬカンナちゃんは…あれ?何も言ってこないな。ちらっと見るが難しい顔をしている。


「元気なら他でもない。そろそろステータスの更新とスキルの取得について相談したいんだけどな。前回の更新からまたレベルが上がってるし、今回の雪崩も私のステータスとスキルが上がっていれば足手まといにならなかったかもしれないじゃない!」


 僕は絞り出すような声に驚くよりも呆れてしまっていた。この女、自然現象に介入しようってのか。


「いや、普通に無理だから…。すっごく冷静になったら、僕がレビテーションすれば何の危険もなく待避出来ていたはずだし、そんな冷静な判断が出来るような状況じゃなかったし。そもそもカンナは足手まといとかじゃないだろ。専門が違うだけで、いや災害専門スキルビルドって気持ち悪いな…。」

「そういうこと言ったら完全にボクが足手まといなんですが。すみません。」


 ほーら。要らんこと言うからロッサ君しょげちゃったよ。


「それにカンナには僕には出来ない事を頼んだはずだぜ?このPTは自分にできることをするだけで上手く回ると思うんだけどね。今回も何となくギリギリセーフだっただろ?」




「そんなことを言っているんじゃない!」

 




いきなりカンナが爆発した。


「私は!ギリギリセーフじゃ嫌なんだ!一歩間違えたらロッサ君は死んでいたんだぞ!」


 獣の吠え声が澄み渡った空に響き渡る。


「リアルでも私は何もできなくて。結局みんなにおんぶにだっこだ!気合を入れてゲームにログインしても私は地下室でぶるぶる震えていただけだった。私はどんどん弱くなっていってる気がする。強さしか取り柄がない私が強さを発揮できないなら『わたし』はいったいなんなんだ。」


「青春だねぇ。」


「はぁ???」


 僕の独り言に思いっきりカンナが噛みついてくる。


「いや、だからさ。自分はいったいなんなんだーとか。くっだらない。そんなこと悩んでんのかよ。」

 挑発してみる。「意味もなく」ではないところが辛いところだ。

「あんまり強くても壁にぶつかると弱いんだね。武道って精神教養とか教えてくれないのかよ。むかつくなぁ。そんなに強くてまだ足りないってのか。僕が好きでスキルだのアイテムだのに頼ってるとでも思ってるのかよ。こっちは足りない部分を反則的にルールのギリギリを縫って生きてるってのにさ。その上でまだ足りないとか言ってんのかよ。」


「私は!」


「おまえは!」


 ムカつくから思いっきり被せてやる。


「カンナはさぁ。一人でなんでもなれるようになりたいの?」


「なりたい」


「じゃあなんでPT組んだんだよ。」


 カンナの顔がこわばる。


「なんで僕に声かけたのかって聞いてんの。あとなんで骨を折ってまでロッサ君の事情に首突っ込んでるの?強くなりたいだけなら全部振り切って平地でモンスター延々と狩ってるほうが強くなれるぜ。人様の事情に首突っ込んで、レアアイテムを惜しげもなく手放して。お前、矛盾だらけだぜ。」


「別にさぁ、今すぐに今すぐに答えを出せとは言わないぜ?少なくても雪山超えるまでは共闘だ。でも覚えておけよ。なんでお前が僕たちを選んだのか。よーく考えろよ。」


「あ、あのっ!」

 ロッサが前に出る。

「僕は今は弱いですけど、強くなります。きっと強くなります。ずっと。ずっと。地下室で守られては居ません!カンナさんみたいに!リコリスさんみたいに!」


 お、自己紹介で言ってたアレ。カマしてやれよロッサ。あれはかなりのインパクトだ。

 ちらっとこっちを見て諦めたようにカンナのほうを見て。大きく深呼吸。


「僕の一族はサングリア家!その誇り高き息子ロッサだ!コボルトの戦士として誇りを胸に雪原を駆ける雪山に住まう半魔半人のコボルトだ!」


 おー!いいじゃん。じゃあ僕も名乗り上げしちゃおっかな。ミニマップの精度を上げて大声を上げた近隣に人族がいないことを確認した。


「僕は名もなきリコリスの花!一定の方向性と一握の悦楽を求めて旅をする。現4期12年目の大総理の後釜を狙う次期総理大臣の筆頭候補だ!憶えておけ!」


『僕たちは自分のことぐらい何とでも出来るんだよ。何でもできる奴が集まってもっと凄い事をする。それがPTの醍醐味じゃないのか!』


 考えろ。今は悩んでいてもいいけど。ここまで行ってごめんなさいが言えない奴はちょっと友達付き合いは厳しいぜー。

僕らはみんな生きているーいきーているから辛いんだー

最強主義者と敗北しない主義者の勝者なき争い。

PTを取るのか。最強を取るのか。

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