情報交換
2016/08/21更新しました。
そういえば、こいつ。リコリス君。偉そうにも友達とかいるんですよ。MMORPGに命を捧げてきたはずなのにソロプレイヤーじゃないんですよ。許されざるキャラクター!(血涙)
「くっそ…なんだってんだ。」
現実に戻ってきて毒づく。現実では味わえないであろう幻想感あふれる洞窟に墨を流し込まれたような真っ黒な悪寒。恐らくあれは。
「プレイヤー…か?」
多分あそこでゲームプレイヤーを即死させるようなモンスターを配置するのは、ゲームマスターのやり方ではないように感じたのだ。それならば、洞窟の途中に罠でも張ってると思う。ただの直感でしかないが。頭ではそう考えながら携帯を取り出して昔からのゲーム仲間に一斉送信する。
「こちらリコリス。先ほど雪山でプレイヤーらしきキャラクターと接触。PVPで即死させられたと思われる。ってゆうか死にすぎ。皆の者!現状報告せよ!」
数分後3人から返答があった。
「ユーリ。こっちは雪は降ってないけど高い山のてっぺんぽいとこがスタート地点。4回死んだけどプレイヤーには一回も会ってない。GM性格悪すぎるでしょ、なにこのゲーム。超楽しい。」
「こちらロット。砂漠で水がなくて探索範囲広げられなくてもう10回は死んでる。全く生き物はおろか植物すら見当たらない。いきなりプレイヤーに会ったの?自慢なの?もっぺん死んで来い!」
「みんな楽しそうだなぁ。はぐりんだよー。3時間奴隷プレイ満喫したけど肉体労働なのに経験値もスキルポイントも入らないから御主人様に殴り掛かったら地下牢に閉じ込められてもう20分も音沙汰ないんだけど。なんなのかな?放置プレイっぽい?だったらもっと満喫しなきゃ(使命感)」
ううむ。全員違うゲームを遊ばされてるような不思議な感覚だな。こいつらじゃあてにならない…なんか変態が混じってるし。と、メールの着信音が鳴る。ラグ子だ。
「ラグ子だ。私は隠形EXというレアスキルを引いた。はっきり言って敵はない。お前らがアホみたいな満喫の仕方をしてる間にもうレベル10になったぞ。こりゃサーバー1位狙えるわ。ふはははは。」
廃人プレイヤー共がラグ子に対して、一斉にブーイングが始まり、収拾がつかなくなってしまい、もう情報収集どころではなくなってしまった。でもいいな隠形スキル。かなり使い勝手がよさそうだ。俺の鑑定眼と交換してくれないかな…。
いや、鑑定眼EX。絶対に使い道があるはずだ。だって軽小説的な転生物では主人公は真っ先に真っ先にこれを取り、そして成り上がっていくのだ。くそ。羨ましい。せめて鑑定を生かせる様な状況に僕を置いてくれ。具体的には商人的な立ち位置とか。
などという、僕の思考は皆からのメールを見ながらゆっくりと沈んでいく。自分の内奥に。思考の海で、自分の考える最強を体現するために必要なすべての条件を露わにしていく。
行けるはずだ。僕は今のアイデアを携帯電話にメモして、もう雑談に講じている連中に断りを入れておいて僕は再び、行動を再開する。僕より強いやつに再び会いに行くのだ。出来れば勝ちに。出来なくても戦うために。
まぁ友達とかいても攻略情報は出て来ないのだ。情報が欲しければWIKIでもみてろーなのだー!非推奨だがね。次回は獣ちゃん(暫定)視点から書きます。
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