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エンデバーエンドワンスオンライン  作者: 言離 猫助
第一章。激動!雪山での爆誕!
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洞窟王に俺はなる!

2016/08/21更新しました。


どんっ!!(効果音)

 かなりの激しさを持った暴風雪の猛威により、ぎりぎりの所まで体力を持って行かれた僕だったが、何とか洞窟に飛び込み、HPの低下が治まったことを悟った。

 下がり切った体力はゲージ上で言えばほんの数ミリずつ、ステータス的に回復していくのを感じる。

 僕は、ほっと一息をついて岩壁に背中を任せてずるずると座り込んだ。もう一歩だって動きたくない。ログアウトしてあったかいお風呂に入ってゆっくりしたい。そんなことを考えながらも僕は、それでもこの状況を投げ出さず、そのままの姿勢で数分間は踞っていた。


 数分後、目を開いてこぶしを握る。ほんの少し、力が戻ってきているのを確認して何とか立ち上がる。死に戻り時の復活地点、いわゆるリスポーン地点にほど近いこの洞窟ならば、暫くの拠点としては十分機能すると思う。この洞窟自体が運営の罠でなければ!(疑心暗鬼)

 そう思い、とりあえず洞窟内の安全を確保するために探索をすることにした。ここがダンジョンで、休んでるところを後ろから丸齧りされるってのは締まらない。

 洞窟の中は仄暗い(うすぐらい)が全く視界が効かないわけではなく、どうやら所々生えている苔が発光しているようだ。その光っている物体の一欠(ひとかけ)を手に取って僕の唯一所有しているスキルである鑑定眼を発動する。


《~蒼光苔~寒さに強く、青く発光する苔。手に取っても1時間程度は発光し続ける。光が残っている状況なら10z程度の価値。》


 蒼光苔だけを摘まもうとも思ったが、少し考えて、周囲の土ごと掴み取るように、そっと土ごと持ち上げて奥に向かって歩いていく。僕という男はなんとなく、命あるものを物として扱うことに時々ためらいを感じる。ううむ。偽善的だなぁ。などと思いつつ、てくてくと歩く。全体図を思い描きながら勿論、左手の法則で。

 時折冷たい風が吹き込むがHPが下がるほどではない。青い光に照らされるような、その幻想的な風景の中を奥に導かれるような不思議な感覚に囚われながら進んでいく。。。

 いくつかの脇道があり、もちろんゲーマーたる僕は一々それらしい出っ張りを押してみたり価値のあるものが無いか探してみたりするが、ダンジョンということもなく、特に何ということもないただの洞窟のようであった。

 その上で、何故か迷うことなく最奥に向かって進んでいっている気がする。これはただの勘にすぎないが、何かに導かれているような気すらしてくる。それは、洞窟の一区画から異様な気配がするのだ。直感に従ってまっすぐに進むと、やはり生き物の気配がした。無機物や苔からではない生の感覚。

 

 そして最奥には獣がいた。

 

 決して他の部屋に比べて薄暗い事はなく、むしろ今まで通ってきた中でも一番輝いている、その部屋の中央に位置取るように。

 真っ暗な目をした獣が居た。生物の格の違いを思い知らせるように微動だにしない獣の全身像まではまだ確認できない。そこまで明るくはないのだ。

 しかし、獣と一瞬交差した視線の先にある、その目を見て、黒く濁りのない目を知覚した瞬間に世界は暗転した。獣だと思っていた「モノ」いや、「者」は確実に人間の関節の動きを明らかに人間には不可能な動作でやってのけ。


そして僕はこの1時間で慣れ親しんでしまった死に戻りを再び繰り返したのだと悟った。

洞窟王には…なれなかった…よ…。(がくり)



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