閑話(2)リコリス君の学校生活
「いや、って事があってさ。仲間が二人増えたんだ。いいだろ?PTだぜ?」
しかし隣の席の『はぐりん』は首を振った。
「私だって仲間はもう2人いるし。まあ二人ともNPCの上に3人仲良く監獄の中なんだけどね。」
え?まだ出てなかったの?
「監獄なめんなって感じだよね。今は牢の看守を洗脳してるとこ。ちょっとずつだよ。外に出たら地下に潜伏して、PT組んでギルドになって…街を我が物顔で支配してる悪い奴を倒すのだ。」
次の悪い奴になるのな?
「おいおいギルマスー。しっかりしろよ。私が解放した街を一顧だにするとでも!私は君臨しているすべての中の独裁者を倒すためにあそこに立っているのさ。君臨とかはほかの奴がやるでしょ。気に食わなかったらもう一回革命だ!何度でも争いの種がつきるまで何度だって戦い続けるのさ☆」
慄くべき危険思考。煌めく危険発言。何が怖いってお前が一番の争いの種だと本気で理解して無い事だ。
「あとさーカンナちゃんだっけ?ギルマスの新しいバディ。警察とか政府組織とか非政府組織とか自分の作ってたチームのなんだっけ?暴徒会だっけ?うちの学校にもいる愚連隊。普通にそれらと単体戦力で戦おうとしてるとこは普通にすごいよねー。」
「は、単体?」声が裏返る。そんなことになってるのか?
「そうだよー。組織は真っ二つ。敵対組織は待ってくれない。大ぴーんち!ってワイドショーで一時間目にやってた。」授業ウケろ馬鹿。
カンナに急いでメールを送る。
「メール送ってさ、どうするの参戦するん?ゲーム内では確かにマスターは最強に近いけど、ここではただの学生やよー。」
「仕方ないじゃん。あいつは俺をバディって言ったんだ。見捨てるわけにはいかねーなぁ。」
「じゃぁ仕方ない。二人で、せめて裏方の事務処理で動こう。それならちょっちは命の危機があるけどね。まぁ拳銃でズドンって事にはならないっしょー!」
「え、なんでナチュラルに参加しようとしてるの?呼んでないよ。僕一人で遊びに行くんだから邪魔すんなよー。」
「ははーん。表だって動く気だな?この自殺志願者め。私たちにはチーターが居るじゃないか。情報戦であいつが負けたとこ見たことないっつーの。」
チーター。ほぼ引きこもりの情報収集家。情報と情報を交換する違法でナイスガイな等価主義者。ただしひきこもり。
だがしかし背に腹は代えられない。僕たちはまだリアルでは見ぬバディを助けるため独断と偏見で動き出した。




