健全な今後の相談会
「凄いな。アンタ本当に高校生?」
カンナに言われてもな…
「なんとか岩に噛り付いて勉強してるよ。残念ながらゲームがメインだけどね。」
それは分かる、とカンナは笑って言った。しかしよく笑う子だ。愛想なんてあって問題になるもんじゃないが、初対面の印象とはずいぶん変わってしまったな。
「これからどうするつもりなんだ?リコリス君。」
「もう僕の中で、ロッサを引き連れて宝探しに行くのは確定してるんだけど。問題は思ったより複雑そうだ。僕的には、問題を抱えてる友達を放っておいて、じゃあ、またね。ってのは好かない話だ。」
「お人よしだね。まぁ私も何とかしてあげたいとは思ってるんだけど。中々平和的にってのは難しいんだよね私。力ずくなら100パターンくらい、やるべきことがすぐに思いつくんだけど。」
それじゃあロッサ君のためにはならないでしょう?と小首を傾げられた。そりゃそうだし、何より僕の命も危ない。村の中で大立ち回りとかは勘弁だよね。
っていうか暴力的解決方法なら100タスクも考え付くのか。やっぱり暴力装置じゃないか。危険人物め。
「と、言うことで印象アップにとりあえずお金ばら撒いてみた。酒は円滑に話を進めるコミュニケーションツールだからね。呑みニケーションだよ。」
そういえば、私たちは未成年だけれど。と今更のように言うカンナ。
「多分、法の手はゲーム内飲酒まで文句は言わないと思うけど。飲酒による酩酊状態には興味あるんだよね。ほらここって妙にリアルじゃん?気にならない?」
「未成年はダメ、ゼッタイ。だよ。そういうのは成人した時の楽しみに取って置こうよ。法が許しても私の中の正義が許さない!なんちゃって。」
正義って面か。悪の親玉だろうが。この暴力装置め。僕から飲酒の楽しみを奪うとは。まぁ怖いから言わないけど。
「じゃあ僕たちはジュースでももらおう。最悪水だろうけど。焼いた肉以外の物を食べるのは初めてだなぁ。なんだ、ちょっとワクワクしてきたな。」
「私は肉のほかにも下剤飲まされたけどな。」
仄かに殺意を感じる。時効はないのか!
「…まぁおいといて。飲み会の後の話をしよう。」
露骨に誤魔化しにかかる。少しこちらを睨んでから話に乗ってくれた。セーフ!
「問題はいくつだ?」
「全部金で解決してもいいなら問題はあんまりないかな。多分10万zは結構な額だよ。金を持ち逃げした父親のせいで家計が火の車だって言ってたからその補填とか。他の村内のPTも金で解決できることは多いはず。ただまぁ…」
「何も解決して無いに等しいな。金を与えることに意味はない…んじゃない?冒険者ってわけじゃないんだから。」
「うん。まぁ当座の分を出してあげるくらいはいいだろうけど。ロッサはまだ子供だからな。弱いし。強化するにも限度があるだろ。このあたりには多分強いモンスターが出ないんだと思う。もしくは強すぎて為す術がないか。」
?と首をかしげるカンナに説明する。
「村に入るときに見ただろ、あの見張り役の貧弱な防備。村人が子供とはいえ、2人も居なくなったような、危機的状況に一人しか立てない見張り役。
おまけに周囲は木の柵で簡単に囲われているだけで、あんなもの僕らがナイフで切り付けても壊れるよ。あとは小屋同然の民家。ってとこかな。
襲ってくる危険生物がほとんど出なくて、しかも目立った特産もない。人々は貧困してて余裕がない。それなのに村から少し離れると雪山で、しかも冒険者に狩らせないと行けないほどの危険生物がいる。自分たちの生存も超危うい!って感じかな。」
それにしちゃあ僕相手に最初吹っかけてきたくそ度胸が理解できない。金がないなら最後に討伐金に色をかなり付けたことにも理解できない。わからない、ないない尽くしだ。
「まぁこれ以上は情報が入らないと分からないってことかな。」
「そうなるね。さっきからいい匂いしてきたし。まぁ作戦は立たなかったけど分析はこんなもんかな。」
と、言っていると控えめにノックの音が聞こえてきた。さて、情報収集といきますか。




