小屋、二人にて。
私たちは小屋の中に入り込み雪を落としてやっと座り込んだ。思ったよりも頑丈な作りで隙間風の類は入ってこなかった。もしかしたら雪で目詰まりしているだけかも知らないけど。小屋の中には中央に囲炉裏があり、使い込まれた感じがあるが最近疲れた様子はない。誇りの被り方が尋常ではないのだ。
「ロッサ君は取り敢えず掃き掃除。私は火をつける。少し休もう。」
脈動回復でHPは維持できても、たとえ毛布一枚羽織っていてもなんら寒さは防げない。指先の悴みは否めないのだ。幸いにも、山の真ん中にある小屋にしては何というかどうやったのかそこそこな量の薪材が積まれていた。火、さえ使えれば…原始的な木と木による擦りあわせによる着火方法を割と本気で考えていた私は左手に握りしめていた袋の存在を思い出した。中身を漁ると火口箱が出てきた。この状況を考えて袋を渡したのか。すわ敵対行為かとも思ったがどうも様子がおかしい。あいつの様子がおかしいのはいつもの事だが今回は更にぶれていた。あれは何か策を練ってるんだと思う…多分。なにもなくあんな奇行をする奴をバディだとは思いたくない。
「掃除終わりました!」
どこから探してきたのか、ロッサ君は床の掃き掃除を終えていた。仕事がなかなかに早い。
「こっちももうすぐ火がつくから待ってて。」
掃除が終わったばかりの床に毛布を引いてどっかりと座り込む。って言っても私は意外としつけをされているので、正座だが。火口箱で火をつけて薪材に火をつける。
暖かさに少し意識が飛びそうになり、慌てて膝の上にロッサ君を座らせてお話をする。
「ロッサ君。雪山には宝さがしをしに来たんだっけ?」
「はい、父さんが言ってたんです。雪山には宝があるって。それをみんなに馬鹿にされて。悔しくって僕は…。」
言いながらも少し眠そうだ。うとうとしている。かく言う私もすごく眠い。ゲームの中なのにこんなことまで再現しなくていいのに…。




