説得はできないが説明はしました。
2016/09/11更新しました。
システム面の説明終わり!
まずは、さくっとステータス振りの一般的な仕方を説明させていただきました。
なんで魔法使いがVIT振ってるのか説明を求められましたが、「命の危機を感じたからです!」
とは言えなかった。特に誰に命の危機を感じたのかなんて、何の対策かなんて恐れ多い。
《カンナ》 type人間
レベル3
ステータスポイント0点
スキルポイント0点
スペシャルポイント0点
STR10
AGI5
VIT5
INT5
DEX5
LUK5
キャー迷わずSTRに全振りしてるー!暴力装置だ!
「いや、もちろんのこと、理由はあるよ。敵の物理的な攻撃は、当たらなければどうということはないと思う。STRを上げたのは、肉体的にはリアルの私に近づけていきたいから。ハッキリ言ってリアルの私の行動を再現できないくらいこのゲームのアバター?は弱い。将来的には攻撃力と敏捷度と技巧度に振るよ。今のところ、まぁぎりぎり人間が体を動かす時の癖がリアルに再現されてるから、動きが鈍いこと以外は、ナイフくらいなら初期値で見切れる。」
なんかとんでもないこと言い出した。出来るわけないわーって言ったら試された。結果だけ言うと1分間一方的に切り掛かって全部避けられた。チート!チート!
「あと説明を受けて確認したけどスキルは戦闘系は今のところ欲しくないかな。スキルを使わずに技術を再現するのが楽しそうだし。」
こいつ、スキルをなんか格闘技の型と勘違いしてそうだな…指摘したいけど普通にさっき超絶技巧な見切りを見せられたから何にも言えない…。
「スキルはこれを取るよ。回復魔法。いいだろ?」
異論はないけど脳筋ヒーラーって怖いな。自分でダメージソースやって攻撃は見切りして魔法で対応されたら自己回復するのか。永久機関狙ってるな。ゲーマー心が疼く。
「だったら脈動回復にするといいよ。一回発動したらレベルによるけど数分間自動回復するし、手数増やせるから。」
「ふぅん。いいね。一回の回復量が低いけど回復し続ける…か、面白いね。それにしよう。」
ちなみに名前はそのまま、脈動回復にしたようだ。技名を聞かれて答えたら大笑いしてたから、自分の時は間違いなくわざとそっけなくしたな。くっそ…。
「スペシャルポイント…ってさっき毛布出してたやつ?」
「そう。冒険者セットにした。」
「じゃあ私は冒険者セットはいいか。それ使わせてもらうよ。」
…こいつ雪山に置き去りにしてやろうか!
「まぁそのスペシャルポイントを、ステータスとスキルに振らない理由は分かった。私は『?カード』にするよ。あ、初めから持ってるね。これで2枚か。どうやって使うの?破る?へぇ一々面白いなぁ。十全だぜ。」
靴と剣が出てくる。あー僕だってガチャひきたかったのになー!(中毒者
と、こっちを困ったように見てくる。
「説明文簡潔すぎてよく分からないんだけど…これ本当にレアなの?」
仕方なく鑑定眼EXを発動する。完全に情報屋扱いだ。
《~甘露軍荼利菩薩のツルギ~かつての神々の一柱が使用していたとされる武器の一つ。
STR補正+9
DEX補正+3
特殊スキル 『オン アミリテイ ウン ハッタ』使用可能
(使用時第三の目が発動する。相手のスキル発動の一瞬前に察知できる)市場価値、400万z》
《~ファッツパインの靴~南国に生えるパイナップルの皮を重ねて編み込んだ靴。
耐熱耐性+5% 市場価値、1000z》
剣は大当たりで靴は普通のレアアイテムかな。残念ながらこの場では、耐熱性能はびっくりするくらい価値がなく、故に価格に差がある。
さっそく剣を抜いて正眼に構えて素振りをしている。普通にカッコイイな。
「剣は私が使う。靴は説明のお礼にあげる。」
びっくりした。初心者が初心者である所以は情報を持っていないからだ。
情報に価値をつけることは難しい。1000zは多分それなりの金額だ。僕が断ろうとすると
「じゃあ私に貸し借りの話をしたいのか?説明の分、私は借りひとつでもいいけどね。仲間内で貸し借りはあんまりしたくないもんだよ。対等って言葉は簡単に霞むからさ。」
なんて言うもんだから思わず受け取ってしまった。その気持ちは痛いほどわかってしまえるからだ。
「さぁ準備はもういいだろ。寒いのは飽きたよ。そこそこ温い所を目指そう。」
こいつ布の服とナイフと剣でどうやって下山するんだろう。ちょっと興味がわいてきたな。
「貸し借りの話をするんなら下山の話を先にするべきだろう?そんな薄着でどうやって山を下るつもりだ?このコートは一人用だから密着したって二人では着れないぜ?」
毛布をまとって下山するっていうんなら止めはしないけど、毛布一枚で下山できるって考えるような残念な頭の持ち主とは、まぁここまでの関係ってことになるかな。さすがに協力関係ってのはそこまで面倒見るもんじゃないはずだ。
「毛布を一枚借りてもいいかい?」
思わず半眼になる。御冗談でしょう?
「いや多分、普通に脈動回復で回復しながら帰れるだろう。さっき確認したら私のレベルは3。スキルポイント全振りで脈動回復が5分間持続して使用した分のSPは5分以内に回復する。永久機関みたいだろう?」
えっと…この雪山を、寒さ対策なしでそんな力技で乗り切ろうなんてちょっと僕には思いつかない。HPは減らなくても、SPが耐えられても寒さは変わらないはずなんだが。
これは単純に、僕の過小評価が過ぎたんだろう。僕は、すごくにやにやしながら何度もうなづく。この引きのよさ、気風の良さ、豪胆さとアイデアの大胆さ。
こりゃあ初めてのバディにはもったいないぞ。ぼくは少し気持ちを引き締めた。
これに答えるのは相当レベルの高いクエストだ。だからこそやりがいがある。
「正解だと思う。寒さに耐えられるのなら、理論上はそれで下山できるはずだ。君みたいな奴の相棒には正直、僕では役者不足だろうが、こちらから改めてよろしくお願いします。」
「いやいやこちらこそ。素人だから迷惑をかけると思うがよろしく頼む。」
こうして即席だが僕は新しいPTを組むことになったのだった。
次で安全地帯の洞窟を離れます。どうなる新参PT!
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