知名度のない元カリスマギルドマスター(笑)
書いたぜー。約束通り書いたぜー。
存外に。
なんて言葉は随分と失礼かもしれないが、それでもその戦いは5分以上続いた。よほどの接戦でなければ5分なんてのは一回の戦闘には長すぎる。
「正義を欺く…などと嘯く割には、だらしのないことだな。」
「言うねぇ。息上がってるぜクレイジーピンク。スタミナ上がってるんじゃん?硬くても動けなくちゃ意味なくね?石っころかよ。良い的だぜ。」
「ぬかせ。ライターで炙っても巨岩は砕けぬ。子バエが飛び回ってもうっとおしい以上の感想はない。叩き潰してやろう。」
意外といい勝負してるなぁ。やっぱりファイアーシスターズのプレイヤースキル高いなぁ。今一歩火力不足というか、相手の硬さが尋常じゃないだけで。
「おいリコリス。」
「なんだいカンナちゃん。」
「私には、姉妹の攻撃が全く通用していないように見えるんだが。」
「ん?あぁ。あれはステータスをVITに全振りしてるんだろ。あとはスキルも防御よりなんだろうね。今の時代、基本は攻撃は避けるが基本だろうに当たっても耐えるどころか、当たっても傷つかないって事はまぁそれなりにえげつなく尖ってるんだろうなぁ。」
「いや、そんなものに勝ち目があるのか?」
「普通に殴ってたら無理だろ。でもあいつらは人体発火のえげつない必殺技があるからさ。あれは防御力とかで防げるもんじゃない。あんなにガチガチに外側を固めるのに夢中で、内側までなんとか対策出来ているとは思えないなぁ。つまりはタイミング次第だと僕は思うね。とはいえ、殺しちゃうと情報取れないからなー。潮時かな?」
「おーいモブども!戦闘を中止しろ!」
「「「誰がMOBだ!」」」
きれいにハモった三重奏が聞こえる。仲いいな。
「おいピンク。提案なんだけど、あのクソ趣味の悪いPTリーダー殺してから続きをやろう。」
「そうだね姉。どっちがモブが思い知らせよう!」
「っていうかそもそも人が小休止してる洞窟内に土足で踏み込んで来ておいて、突然殴りかかってきて提案も何もあるまい。無茶苦茶だなお前ら。ルール守れよ。」
「ルール守らないのはほら。あそこのリーダー面だから。私達今回は一兵卒。責任転嫁。おーけー?」
「ううむ。どいつもこいつもまともじゃないって事は分かった。」
話がまとまったらしい。3人で武器も納めずこちらに向かってくる。目が、目が怖い。そそくさとカンナちゃんの後ろに回る。
「おいリコリス。おまえ女の後ろに隠れるって恥ずかしくないのかよ。」
「恥じらいなど親の胎内に置いてきたさ。それに僕は男女差別はしない。女だからだとか男だからとかそんな矮小な理由でモブを区別したりはしないさ。」
僕の発言を受けて、呆れたようにカンナが呟く。
「とりあえずドヤ顔で私の後ろに隠れるのはやめろリコリス。別に他のプレイヤーに対してどんな発言をするかはリコリスの勝手だけど。発言に責任を持つのは人間の基本だ。」
カンナちゃんに言われちゃあ仕方ない。僕は渋々表に出て目一杯胸を張った。
「はい。という訳でリコリスです。ピンクのおねぇちゃん、僕らと情報交換しようZE☆」
「私の事をピンクピンクと呼び回すのはやめろ。私にだって名前くらいはある。」
「デネロブ」
「デネスロオブ。それが私の名…って。え?今なんで。」
「君の名前はデネスロオブ。少し昔のゲームのキャラクターからとった。全身を桃色に纏って毎回毎回PVPの大会の要所でうちのギルドと対立してた大手ギルドの幹部だろ。」
「…お前は誰だ。」
「だからリコリスだって。何度も君とも切り結んできた。」
「さっぱりわからん。誰だお前は。あ、プレイヤーネームが違うとか?いっつも何て名前でゲームしてた?」
「だからリコリスだってるんだろチクショー!うわあああああ!」
泣き崩れる僕をちらと見ながら夕月が前に出る。
「すまないでござるな。うちのパーティリーダーは少し自意識過剰で、少し自信過多で、多分に精神不安定なんでござるよ。まぁ害はないので時々悪口を言うモブだって思ってもらって構わないでござる。」
「ボクはモブじゃない!」
泣きながら反論を試みるが、夕立に半笑いで無視された。あと、邪魔だからってロッサ君に少し端っこに移動させられた。解せない。
「大丈夫ですよ、リコリスさん。僕はリコリスさんが強いって事を知ってるし、味方ですからね!」
尻尾を振り振り鼻息荒く力説してくれる小さめの大型犬くらいの大きさに成長しているロッサ君を抱きしめながらふて寝をする。ふーんだ。あんなやつらしらん。
毎日の疲れからか意外と温度調整がしっかりとされているからか、うとうとしてしまう。まぁ他の奴らもいるしいいか。そう思って僕は簡単に意識を手放した。
あ、あのね。後書きで書くことか。そうそう。家には血統書付きのトイプードルと、拾ってきたふかふかの猫ちゃんがいるんですが、この猫ちゃんはもうびっくりするくらい私になつかないんですが、逆に懐き過ぎて困るくらいのワンちゃんの方がお尻を押して猫を私の方に寄せてくれるんです。いいこ。ジャーキーあげちゃう!って事で猫をじっと見ていると突然勢いをつけて私の鼻を噛みにに来ました。こ、これが絶天狼星抜刀牙!
…あの。ちょこっと歯形が深く入り込んでませんか?そんなに嫌い?
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