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エンデバーエンドワンスオンライン  作者: 言離 猫助
第ニ章。大スノー域戦登録!
120/126

イエティの洞窟の先。

ハローハローマイワールド。私は帰ってきた!(何回目)

今回は炎姉妹回です。さぁ焼き尽くそう!



「ということで、視認できる限りでのイエティの出入りしている洞窟は3つだね。ココとココは結構近いけど、こっちのは一つだけ離れてる。2~3kmくらいかな。洞窟と洞窟の間に道はないし移動は結構手間取ると思う。しかも今日は結構な猛吹雪だね。と、取り敢えず僕から提供できる情報はこのくらいかな。皆はどう思う?」


 と、リコリスは問う。といっても選択肢はそう多くないが。隣りにいるカンナが口火を切る。


「別に全員で一つずつ攻略すれば良いんじゃないのか?確実な殲滅ができれば、そんなに急がなければならない案件だとも思えないけど。もとより私たちは火力過多な傾向があるが後衛不足感が否めない。下手な分散は戦略上有効だとは思えない。」


 いやいや。とファイアーシスターズの妹の方が反論する。


「それはちょっとどうでしょうか。こちら側はすでに本拠地への襲撃までかけられています。人的な被害が無いというだけの話ですよね。ここはPT会話を密にしながら3つの洞窟全てに同時アタックをかけるのがいいかと思いませんか?元よりその3つが絶対に当たり…という確たる証拠があるわけでもありませんし。兵は拙速を尊ぶのではありませんか、カンナさん。」


「どうでござるかなぁ。正直拙者はあまり分割策は好まないでござるなぁ。どうチーム分けするのかも問題になりそうでござるし。」


 パイロスターターの意見にも夕月の意見にも一理ある。そして、パーティを3つに分けるのならば姉妹と僕・ロッサ君組とカンナ・夕月組だろうか。正直カンナと夕月組のポテンシャルが強すぎて他二つの組が霞むなぁ。姉妹をバラすか?しかし、あの二人は若干戦力が不安な上に、裏切りの可能性があるので背後も気にして戦う必要が…なんで獅子でもないのに身中に蟲を抱えて戦ってるんだ僕たちは。


「リコリスさん。もしも足手まといであればボクは村に残っても…。」


「いや、別にロッサ君は足手まといじゃないよ。っていうか…大丈夫なの炎姉妹(おまえら)


「はぁん!てめぇリコリス!なめてんだな?やるってんならやってやろうか!」


「姉さん、潰そう。こいつ潰そう。」


 いきり立つ二人に、さり気なく立ち位置を下げて巻き込まれないように離れる夕立。勿論ロッサ君の手を引いている。如才ない。


「嘗めるもなにも、一回反乱企ててボッコボコに負けたの忘れたのかよ。ここはあえて苦言を提させてもらうけど?」


 一触即発の状態を止めたのは珍しくカンナちゃんだった。


「いや、どう考えてもリコリスが言い過ぎだろう。確かに3つに分けるのは少し分散が過ぎるにしても、2つに分けて両方外れなら、残り一つを全員でアタックすればいい話じゃ無いか。」


「いや、ダメだねカンナちゃん。」


 カンナちゃんのせっかくの提案だが、姉妹側からの却下が入る。


「今結構普通に酷い事言われたよ私たち。っていうか前から思っては居たんだけど、1回の敗北で軽んじられすぎだし。装備の差がと未練がましく言うつもりは無いけれど、それでも私たちの本式の戦い方を見ずしてこのまま言われっぱなしってのは気に入らないっ!」


「ではどうする?」


「ならば、とりあえず1つのダンジョンを君たちが見ている前で私たち二人の力でクリアしよう。その上で判断しろリコリス。」


 思わぬ負けイベントフラグに困惑するリコリス。


「いや、普通にカンナの案でいいじゃないか。言い過ぎたよ。悪かったって。」


「やーだー!目に物見ろよリコリスー!言いっ放しなんて卑怯だぞ!」


 完全に駄々っ子のそれをみて、カンナはのんきにつぶやく。


「いや、そいつらは充分に強そうだけど。装備も揃ったし、むしろ私は後学のために戦い方を観察したいね。」


「しょうが無いなぁ…。」


 人のためと見せつつ、向学心あふるる脳筋の助け船により、パーティとしての方針としてひとまず少し離れたところにある方の洞窟に向かうことになった。


================================================================

「で、僕たちはどうしたらいい?」


「邪魔にならない程度に離れて見てればいいんじゃないですか?使えないって判断したらその時点で言ってくればいいでしょう。そうしたらバーターでも何とでも呼べばいいです。でもそれなりに働けると思えば待遇の改善を要求します。」


「よし、それで行こう。」


 ここまで来ればいっそ清々しいフラグ立てで、初戦からボコボコにされるとか、泣きながら助けを求めるなんて残念な結果になるとちょっぴり。いや結構なレベルでそうなると踏んでいたが、いやさ、侮っていたと言わざるを得まい。何だかんだと言ったとて、僕とカンナちゃんが居れば戦闘力は問題がなく、探索も夕立と僕の二人で同じく事足りると。だから、いつもそこで夕立のおまけのように突っ立っているファイアーシスターズの神髄をなめていた。今僕が嘗めているのは驚愕だが。


「姉さん、左前方から敵影2。接敵までカウント15。右正方敵4。こっちは私が足止めするから、終わったら参戦して。じゃあカウント5・4・3・2・1・GO!」


「ははは!いくぞぉ!」


 引き回し術(カイティング)


 前衛防御ディフェンド


 急所攻撃クリティカル


 前後衛交代スウィッチ


 当然、戦闘センスの塊であるカンナちゃんは個人プレイの範疇でなら幾つかの技術はすぐに会得できるだろう。


 だがしかし、彼女たちの技術は。『本気』のプレイングスキルはそう簡単に真似できない奥義の位置に達していた。特に見事なのはお互いのスキルの隙間を縫う波状攻撃で、僕たちとの戦闘時には装備がほとんどなく、彼女たちの本来持っていたプレイングスキルは発揮出来ていなかったとみるべきだろう。それ程までに美しい連携だった。僕のように、スキルを前面に押し出す魔法使いスタイルでもなく。カンナちゃんのように全てを受けきり、なおかつ一撃必殺の切り込みがあるわけでもなかったが。


 敢えて言うならば、その戦闘スタイルは蝶のようで。さらに言葉を重ねるならば炎のようでもある。


「お、あれリコリス見とれてるんじゃねぇの。妹?」


「釘付けだね。ファイアーシスターズの面目躍如だね。姉!」


 ただ、すぐに調子に乗るところが玉に瑕と言えなくもない。だがしかし、敵の本拠地の一つであろうと目されるこの洞窟の前で彼女たちが見せた美しいコンビでの殲滅戦はかつて別のゲームでギルドバトルという物を統べて居たリコリスにすら尊敬の念を抱かせる(レベル)だった。


「どうだリコリス。あいつらも中々やるもんじゃないか。」


 興味深そうにカンナちゃんが呟く。その言を僕らは否定できない。


「確かに。ココまでの連携をこなせる奴ら(ゲーマー)は本当に一握りだ。普通に尊敬に値する。」


「そうでござるな、これは拙者も人物を見誤っていたと言わざるを得ないでござる。」


「すごいですねお二人とも!」


 三者三様の感想を述べている間に、探索を終えた2人が近寄ってくる。


「とりあえず横道は全部潰した。この先にどうやらそれなりに大きな伽藍堂がありそうだな。そこにどれだけの戦力があるかは分からないがここまでも決して少なくはない数だったからな。本拠地である可能性も否めないと思うけど。…なんだよ。言いたい事があるならはっきり言えよ。」


「いや、今までの態度を反省する事しきりだよ。お手本のような綺麗なコンビネーションだったよ。個としての戦闘力が高すぎるからカンナには今まで好きに戦闘させてたけど、僕が教えるべきだったのはこういうきちんとしたスタイルだったんじゃないかとそこまで考えちゃうくらいに凄かった。こりゃあ僕とカンナちゃんのコンビと戦ってもひょっとしたら5分も目がないかもしれないな。」


「…なめられるのは気に入らないけど、そこまで褒められると逆に疑り深くなってしまうな。」


 なんか普通に照れてる姉の方はほっておいて、一先ず妹と話しをする。


「で、もう十分に実力は見させてもらったけど。どうする?この先は総力戦にする?」


「いえ、どうせここまで2人でやったんですから、よほどの戦力差でもないかぎりこのままやらせて貰いたいかな。」


 皆特に反対する理由も無く頷く。

もとより、このダンジョンは決して弱くはない敵、パワーモンスターであるイエティをたった二人で殲滅戦を仕掛け、そして成功したのだ。ここからどんな手助けをしてもMVPは彼女たちに送られるべきだし、下手な手助けは彼女達の名誉を奪う結果にもなりかねない…。


「あ、ちょっと待ってくれ。」


 カンナちゃんが声を掛ける。


「洞窟に入ってからこの方、村を襲った襲衣兵とやらが見かけられていない。運が良ければイエティ共とは別組織でたまたま共闘しただけって可能性もなくはないのだが。まぁないだろう。最悪はこの奥にわんさか溜まっている可能性がある。こちらは否定できない所かかなり可能性が高い。注意してくれ。また、数が多すぎれば迷わず共闘に入る。悪く思わないで欲しい。」


「その一言は以前はなかったモンだろ?信頼の証として受け取っておくぜ。」


 にやにやと、しかし油断無く洞窟最深部の索敵を始める2人。だがしかし、その結果は思わぬ物だった。


「この先、少なくても視認、知覚出来る範囲内には敵がいない。いや、正確には一人だけ…。正面最奥に座ってる悪趣味なヘビーアーマーの鎧が一つだけだ。」


 たぶん、悪趣味なヘビーアーマーさんも全身真っ赤な二人組には言われたくはなかっただろうが、このメンバーの中でも僕だけにしか使えないミニマップ上にも生体反応は1つしか無い。つまりは洞窟最奥の間にて氷の玉座に居する全身総桃色(ピーチ)のフルヘビーアーマーを纏った人物のみだった。


「えっと…倒して良いの?」


「…貴様らばらに問おう。」


≪彼女は告げる。なにゆえ、悪しきコボルト共に協力をして、我らのクエストの邪魔をするのか。≫

≪彼女は告げる。我が覇道妨げるならば、正義の名の下に悪し腹を食い散らすと。≫


 だがしかし、「正義の」「悪の」という話に今さら動揺を受けるような生半可な炎姉妹ではなく。むしろ彼女たちはこう叫ぶ。


「悪で結構。私たちは悪鬼で羅刹。刹那カワイイ、ファイアシスターズ!」


「覇道?王道?くそくらえ!そんなもん道である以上、私たちが踏みにじってあげるよ!正義は欺くもの。道は踏みにじるもの。ファイアーシスターズいっきまーす!」


 嬉々として戦闘を始める2人と1人。観戦に魅入る3人。しかし、リコリスは混乱の中にいる。あの。あの趣味の悪いカラーリング。防御メインでさりとて隙を突く攻撃はほとんどがクリティカル。彼女が僕の思っているプレイヤーならば、おそらく現時点で最高級の防御力を用意しているだろう。青臭い正義こそ彼女の誇り。となれば最高の盾と、最高のコンビネーションのぶつかりあい。


 一人だけ、ほぼ正解であろう敵の名前を胸に、リコリスは不敵に笑う。

うちの最高のコンビの性能はどうだ。次に控える、最強の武との勝負はどうだ。

暗中に悦楽主義者の笑みがわく。やっぱり人が増えると楽しくなるなぁ。さあ次は何が出る?

いやさいやさ、皆々様方には申し訳ないと思っております。でもねちょっとリアルが忙しかったりとかしたわけですよ。言い訳ですね。すいません。でも、宣言しないとまたさぼるので、とりま次は月曜までに書きます。まじだよ!書き溜めなんてないけどね!

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