情報収集(夕立視点)
ロッサ君復帰回です。
ううむ。相変わらず女子扱いに慣れぬ夕立です。じゃなかった。夕立でござる。
いやぁ、私のロールプレイングが固まらないのも理由の一つではあるのだが、パーティ全体がちょっとそわそわしている。それを払拭するためにもこの間の茶番は必要でござった。だが、カンナ殿の敵視が凄い。別に拙者はリコリス殿に、性的な意識は持っていないので勘弁してほしいものである。いや、それどころかカンナ殿の好き好きオーラ見て何も感じないとかリコリス殿は石木の類か、恐るべき大器でござろう。鈍感なのは言うまでもなく。
さて、閑話休題。リコリス殿が外敵に目を配ってくれている間に、仕事をするでござる。何の仕事かって?適材適所でござるよ。下っ端仕事をせっせこ、こなすでござる。
「だれかー、責任者の方はおられませんかなー?」
待つこと暫し。難民キャンプみたいになっている村長宅跡地にて声をかける。既に知り合いであるらしいリコリス殿やカンナ殿ならばともかく、知らない人間が家を失い疑心暗鬼になっている者たちの傍に寄って碌な事にはならないことぐらいは容易に想像がつく。
「はーい、すいません。今村長は留守にしておりまして…」
でてきたのはロッサ君くらいの大きさのメスのコボルトだ。なんかペコペコと頭を下げている。ううむ。怖がらせてしまったか。でも、この忍者スーツは忍者のトレードマークだからなぁ。脱ぎたくないでござるなぁ。
「いや、拙者はリコリス殿の遣いで参りまして…ほら、ご存じないですか?ロッサ殿というコボルト族と一緒に少しの間、冒険をしていたのでござるが。」
「ロッサですか?ロッサならそこにいますよ。おーいロッサー。」
ぴょこぴょこ跳んで現れたのはロッサ殿。うん、この毛並み間違いない。大きさは成犬サイズより一回り小さいが、拙者たちと旅をしていたからか毛並みが周囲の者たちより段違いに良いのだ。
「どうしたのキッス、大きな声出して。あ、忍者さんじゃないですかー。無事だったんですね!」
正確に言うと死に戻りしたので無事では無いでござるがビビらせるのも良くない。まぁ言わぬが花でござる。
「うむうむ。ロッサ殿も無事に逃げられた様子で何より。今はこちらのキャンプに?」
「はい、家族もいますし、皆が困ってるときには協力しないとなので!」
健気系コボルトのロッサ殿は健在なようでござる。頭なでなでするでござる。
「拙者実は夕立って名前なのでござる。内緒は終わりにしたでござるよ。それで、リコリス殿を主として主従関係を結んだでござる。なので、今はリコリス殿の使いっぱしりをしているのでござる。責任者の方は居られんですかなぁ。村長殿の不在は先ほどそちらの方に聞いたのでござるが。」
「あー…えっと。はい、理解しました!突飛なことが起きてるみたいですけど、リコリスさん絡みで突飛じゃなかったことの方が珍しいですしね。いま、村長のヴィヴィットさんは隣村に若い衆と協力要請に行っています。他の責任者は、前村長のワンダントさんと、そこにいる村長の娘のキッスです。でもキッスは責任者って感じじゃないし、交渉事ならワンダントさんですかね。」
「ロッサ殿、どうして交渉事と?」
「違うんですか?リコリスさんの遣いと言われていたので、てっきり。また、リコリスさんが素敵な悪企みをしていると思ったのですが。交渉じゃないならキッスでも大丈夫だと思いますよ。」
さすがロッサ殿。よく、リコリス殿を理解しておられる。まぁ今回はリコリス殿ではなく拙者の悪企みなのでござるが。
「そうでござるな、まぁ交渉でござる。なのでそのワンダント殿と一度お話がしたいでござるな。あと、一々説明が大変なのでロッサ殿が着いて来てくれると大変ありがたい。拙者ここではただの不審者なので。」
「いいですよ、ちょっと抜けるねキッス。ワンダントさんのとこに行ってくる。あと、この忍者さん…夕立さんの他にも赤い服着た背の高い女の人間の人と、背の低いちょっとひらひらしてる服を着た赤い女の人が来るかもしれないから、その人たちもリコリスさんの仲間だから心配しなくていいからね。じゃ、行ってきます。」
ここに居ないメンバーの特徴まで伝えてくれるロッサ殿。気が利くがその二人はリコリス殿の仲間って言うと多分リコリス殿微妙な顔すると思うよ。裏切られてたし、まぁ知らないもんね。
「じゃー案内しますね夕立さん。えへへ、今まで忍者さんって呼んでたので慣れないですね。」
可愛らしい先立ちを手に入れたところで、また雪の中をザクザク歩くでござる。おや、前村長殿はこのテントにはいないのか。どこにいるのでござるかな?
あれ、これは…情報収集してない!でも切りがいいのでここで。待て次週!(明日予定)
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